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【小阪裕司コラム】第159回:「取引終了」がなぜ「5倍の売上」に?②

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

信用できる会社になることが重要

 今日は前回の続き。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある人材派遣会社からのご報告。「取引終了」が「5倍の売上」となった「お客さんから選ばれる理由」。その1つには顧客への情報提供があるが、同社には、派遣に至るまでの過程や派遣後にも特色がある。
 まずは派遣前の過程。通常はお客さんからの問い合わせに始まり、依頼内容の確認→見積もりの送付→商談という流れだが、近年同社では商談の前に加えたものがある。それは、「挨拶(顔合わせ)」だ。
 この「挨拶」で行っていることは、自己紹介と、同社に対してお客さん側が気になることについての質疑応答が中心だ。その内容は同社の歴史や事業のスタンス、こだわりや強み、人材に対する考え方など多岐に渡るが、派遣のことより会社や社長自身のことを聞かれることが多いという。彼に会う前にお客さんがHPなどから触れた情報、感じたことと、目の前の彼自身が話す内容を、雰囲気も併せて整合性を取り、自社と合った業者かどうかを確認しようとしていることが、相手の質問の言葉の端々や態度などから感じられるという。
 実際、あるお客さんに尋ねてみたこともあるが、想像通り、「信用に足る業者かどうか、商談に入る前に確認しておきたい」とのことだった。さらに掘り下げ質問すると、「派遣について良い印象がないので心配」「問い合わせの電話でぞんざいな対応をされた」「現場も見ずに人材を派遣しようとしてきたので怖くてやめた」等々、苦い経験から業者選びに慎重になっているとのこと。
 「お客様の不安をもう一歩踏み込んで考えると、この場で行われていることは『この人から買って大丈夫か?』という確認作業」だと社長は言うが、お客さんはそのことこそが重要なのだ。
 また同社では派遣後も社長自ら派遣先を回る。自社が派遣したスタッフが元気に働いているかどうかを確認し、派遣しているスタッフとの良い関係を維持し、長く愉しく働いてもらうためと社長は言うが、派遣先企業から見てもそれは「丁寧で安心できる対応」であり、「選ぶ理由」に値する。

どんな理由で選ぶのか。どんなことを行えば選ばれるのか。

 実は近年当会では、業種を問わず、今回のような事例が増えている。今日のお客さんはどこを見て、どんな理由で選ぼうとしているか。何に目を向け、どんなことを行えば選ばれる会社になれるか。今回の事例を題材に、あなたにも考えてみていただきたい。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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