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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
顧客からの信頼があれば、人の心を動かすセールスコピーは作れる
今回は、前回の続き。お客さんに何を言えば「買いたい」の気持ちにスイッチが入るのか、のお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の美容サロンが物販の売上を伸ばすためまず取り組んだのは、店主自身が使って良いと感じている洗顔料だった。まず考えた訴求ポイントは「たった5秒で洗顔できます!」。しかし結果につながらず、次に訴求を変えたところ、4倍売れるようになった。
この事例からは気づきが多いが、まずは同じ商品でも、訴求点を変えれば大きく売れ行きが変わるということ。ゆえに、売りたい商品が思ったように売れないときは、訴求点を見直すことをまず考えることだ。まして同店は、取り組み前、店頭に商品は並んでいたものの何の訴求もしていなかったとのことで、それでは売上は生まれない。事実今回の取り組みの際、もう4年間通ってくれている顧客から「化粧品、売ってたんですね!」と言われたとのことだった。
また、今回の例で注目すべきは、お客さんの心が動いた訴求点が、「たった5秒で」のような機能にまつわるものでなく、「私が6年も使い続けている素晴らしい化粧品があるにもかかわらず、皆さんにきちんとお伝えできていませんでした」だったことだ。この訴求が心を動かすには不可欠なものがある。それは、店主に対する信頼だ。それがあってはじめてこの訴求が力を持つ。そういう意味では、顧客からの深い信頼があれば、必ずしもセールスコピーのテクニックを駆使しなくても売上を作れることも分かる。「あなたに紹介すべきものがあります」だけでも、人の心は動くのである。
もうひとつ、店主は訴求点を変えた後、売り場にある改善を行った。それは先の訴求点で作ったPOP(店頭販促物)の横に「サンプルが欲しい方は『サンプルありますか?』と、お声がけください」と書いて貼ったことだ。こういう一言がお客さんに発信されているかどうかは案外重要なのである。訴求点を考え、改善を加えることで結果は生まれる
今回の取り組みを経て店主は、そもそも売っていることのアピールができていなかったこと、商品やパンフレットをただ並べているだけでは風景になってしまうのだと痛感したという。そして、訴求点を考え、改善を加えることで結果は生まれ、さらに普段からの信頼があれば、より良い結果となる。それが「売れる」ということなのである。
この記事の執筆
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
小阪裕司
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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