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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
意外と気がつかないお客さんのストレス
今回は、お客さんにいらぬストレスを与えないよう考えたことで、売上が伸びたお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、あるリサイクル・リユース店の店長からのご報告だ。
ある日、各店の店長が集まる会議で次の話題が共有された。同社内のある店でのこと。自転車の購入を検討されているお客さんに、スタッフに申し訳なさそうに「試乗してもよいですか?」と聞かれることがしばしばあり、お客さんにとってストレスではないかと気づいた。そこでそれを回避するため、「試乗できます!」と書いたPOP(店頭販促物)を貼るなど工夫したという話だった。
それを聞いて今回報告をくれた店長も考えた。たしかに自分もプライベートでお客さんとしてどこかの店に行った際、この自転車のようなことは何度もあった。店員さんに聞きたいけれど、まだ買うとは決めていないし、なんだか聞きづらいというストレスだ。そこで次に、自店でそれに当たるものは何かと考え、そのストレスを回避すべく、具体的に現場に落とし込んでみた。
例えばエアコンの売り場だ。このコーナーでは、お客さんからしばしば、「買っても取り付けはどうすればいいのか?」と尋ねられる。考えてみれば、家電店ならおよそ買った店で取り付けまで依頼できる。しかし自店はリユース店ゆえ、工事までは行わない。そこで工事の案内POPを作った。具体的には紙面に大きく「エアコン取り付け工事ご相談ください」と書き、「当店から取付業者のご紹介もできますので、お困りならご相談ください」と書き添えた。
さらに液晶テレビのコーナーでは、「これはどういう画質なの?」と聞かれることが多い。こちらも、家電店なら多くのテレビは映像を映してあるが、同店はリユース店、全台そのような展示は難しい。そこで、「テレビ映像確認できます」と大きく書き、「映像・画質確認できますので、お気軽にお声掛けください」と書き添えたPOPを作成した。他にも幾つか思いついたので、計8枚のPOPを作成して貼ると、早速当該商品に動きがあり、売上につながったのだった。お客さんの心理的ハードルを下げることで売上アップも
お客さんにストレスがある場合、それを乗り越えてくれることは珍しく、「売れない」という結果を招いてしまう。そこでその心理的ハードルをあらかじめ予想し、今回の例のようにPOPなどで回避できるようにすることが望ましい。あなたの売り場、販売現場には、どんなお客さんのストレスがあるだろうか?
この記事の執筆
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
小阪裕司
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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