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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
新たな価値を生み、売ってみる
今回は、売れない商品を「売れる」に変えるお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある直販農家からのご報告だ。
この農家ではズッキーニを栽培し販売しているが、今年の暑さゆえ作物の成長が速く、大きく育ち過ぎたズッキーニができてしまった。業界ではこういうものを「はじき」と言い、売り物にならないとして自家消費するそうだが、店主は違った。ワクワク系の先達の事例を参考に、新たな価値を生み、売ってみようと考えたのだ。
そこで参考にしたのは、商品を擬人化して、お客さんへのメッセージを語らせることだ。具体的には、その大きなズッキーニを店頭に並べ、脇にPOP(店頭販促物)を立て、こう書いた。「あのね、ぼくみんなとカクレンボしていたらねちゃってね。こっそりこんなに大きくなっちゃったんだ。エヘヘ」。すると早速来店客が「私、こういう仲間はずれの子、ほっとけないのよね」と、1本購入。しかも価格は、このズッキーニのサイズが大きいことから、試しに通常の300円より高価な500円にしていたが、問題なく、この価格のまま買っていただいた。
さらに店主、この日、自分でもこのズッキーニを使って漬物に調理してみると、いつものズッキーニと味わいが異なることを発見。特に歯ごたえが大きく異なり、むしろキュウリに近い。ここでまた彼女は考えた。いつもの品質とは異なるが、これはこれでむしろ美味しい。漬物に調理すれば、サイズが大きいため、キュウリよりお得感もある。その価値をより伝えるべきだ、と。
そこで早速レシピを作り、大きく育ち過ぎたズッキーニを「ズッキのズッちゃん」と名付け、レシピあります」と表示。レシピ付きで売り出してみるとお客さんの反応はさらによくなり、「ズッちゃん」残り4本は完売。その後もレシピに惹かれ通常サイズのズッキーニをまとめ買いする方も現れて、結果、いつもより多くのズッキーニを売ることができたとのこと。どんな商品にも伝えるべき価値はある
この例で分かるように、どんな商品にも伝えるべき価値はある。常に重要なことは、その価値を見出し、適確にお客さんに伝えることだ。そして、その過程で気づいたことは加え、販売現場をどんどん改善していく。この繰り返しで商品は「売れる」ようになる。売上とはこうして「創る」ものなのである。
〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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