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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
地元百貨店に関する考察
前回、前々回と、「店」というものの本来の役割、そこはお客さんにとって「スペクタクル」なのだ、という話をしてきたが、今回もまたそれに通ずるお話。今回は事例ではなく、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員からいただいた、地元百貨店に関する考察だ。
その方は地方で長く専門店を営んでいるが、地元唯一の百貨店が来年閉店することに決まったとのこと。それにより、地元にある大きな商業施設は大手企業によるショッピングセンターだけとなるが、報道では、その閉店の原因が次のように語られていたという。
・そのショッピングセンターに中流層をごっそり持っていかれたことが大きかった
・それに対抗して若者向けのテナントを誘致しようと百社以上当たったが、実らなかった
それに対し彼は、次のように疑問を呈する。
・これまでのような全方位的なマスマーケティングでなく、客層を絞ったマーケティングに注力できていれば、違う結果で存続が出来ていたかもしれない。
・日本も上流と下流で二極化し中流が無くなってきているとすると、中流層の売上は今でも昔のような大きな市場規模があったのかどうか。
・百貨店からも近いそのショッピングセンターには若者向けのテナントが多く入っている。この町の市場規模で百貨店が同じ若者向けのテナントの誘致を目指したことがどうだったのか。
そして彼はこうも言う。「地元の百貨店が閉店されるのは誠に残念なことではありますが、百貨店の多くの顧客であろう、価格訴求でなく、品質の良いものを求めるお客様の売り場がこの町からなくなるこの状況は、地元小売店や商店街にとってチャンスであるととらえて、まずはお店の特徴や専門性をアピールしてお客様を少しでも誘導するべきではないか」お客さんは面白いお店を待っている
私もこの意見に賛成だ。そして彼の考察についてこう思う。この百貨店がオープンしたとき、ここは町の人たちにとって「スペクタクル」だっただろう。もちろん時代は変わる。だからこそどの店も、ならば新たな時代に自分たちが町の人たちに見せられるスペクタクルは何だろう?と考え、試行錯誤していくべきなのだ。ここ2回のコラムで書いたように、それはささやかなことでも実現できるのだから。
いつの時代も「面白い店」であろう。お客さんはそんなあなたを待っているのだから。〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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