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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
顧客に送り続けている絵手紙がお店のイベントに発展
今回は、顧客に送り続けている絵手紙が、ほっこりしたイベントへと発展したお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、薬局からのご報告だ。
この絵手紙は店主が、顧客へ毎月送付しているニューズレターに同封したり、商品購入時のメッセージを書くため、独学で始め書き続けているもの。2018年8月に暑中見舞いとして送ったのが始まりで、それ以降、毎月1~3枚書き貯め、様々な機会に活用してきた。
そんなある日、ある顧客から「自分の手元にある絵手紙が100枚を超えた」とお知らせをいただいた。当の本人は枚数を気に留めていなかったが、これがきっかけとなり、何かできないかと考え、思いついたのが、「絵手紙総選挙」。調べると、ちょうど2月3日が「フミの日」と分かり、それに乗じてイベントとして行うこととした。
まずは、店の公式LINEでこのイベントを告知。LINE上に、絵手紙に書かれている題材別にカテゴリー(植物・食べ物・その他)に分け、番号(1~105)をつけて表示。インスタグラムでも同じく画像で番号を表示。店頭でも、カテゴリー分けしてパウチし、見てもらうようにした。そして、LINEとインスタグラムのメッセージ、メール、店頭で、気に入った絵手紙の数字を3つ投票してもらったのだった。
始めてみるとは想像以上に多くの方が参加し、結果、80名の方が投票してくれた。そうして順位が決まると、次は発表。こちらもLINEやニューズレターで発表すると共に、1位から10位に選ばれた作品は額に入れて店頭に展示。その他の作品もすべて店内に掲示した。発表後も、「私が選んだのが入っていた」「この花には思い出が…」など様々な感想が寄せられ、特に店頭では、この話題で大いに盛り上がった。「いただいた絵手紙は全部取ってある」という声も多く、「冷蔵庫に貼ってある」「トイレに貼ってある」との、多くの声をいただいた。業績に関係なさそうな活動が業績の基盤を作る
この絵手紙は、「1.ニューズレターの開封率を上げるはたらき」、「2.お客様とのコミュニケーションを広げるはたらき」「3.自分に親しみを感じていただくツール」になっている、と店主。今回、「絵手紙が地道に活動を続けている」ことが分かり、顧客との絆も改めて深まったと言う。こうした、一見商売の業績には関係なさそうに見える活動が、結局は業績の基盤を作る。その基盤は、人と人との関係性で支えられているのである。
〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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