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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
ちょっとしたワクワクを提供した2つの事例
今日は、お客さんとのちょっとした接点をよりワクワクするものに変えるお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員からのご報告だ。
まずは、都内で飲食店を数店舗経営する方からの、沖縄料理店でのこと。ラインの会員登録をしてくれた方にお茶のパックをプレゼントしているのだが、社内会議の際、店長からこういう報告があった。「お茶のパックを渡すだけだと物足りないので、『ちむどんどんする券』をお茶の袋にいれてみました!」。
「ちむどんどん」とは沖縄の方言で「ワクワクする気持ち」を言うが、ではその「ちむどんどんする券」でお客さんは何ができるのかと問うと、「スタッフにみせるとサイコロがふれます。ぞろ目がでると素敵なものがもらえます。お客さんによって素敵なものは変えます」。
次いで、同じく都内で、身体作りのパーソナルトレーニング業を営んでいる方からのご報告。
同社では毎年1月を迎えると月謝袋を新しくする。これまでの月謝袋は、老舗の風情あるものを使ってはいるが、単に氏名が書いてあるだけ。なんだか味気ないなと感じ、今年は卯年ゆえ、うさぎのシールを貼ることにした。するとお客さんからは「おっ!うさぎですね!」「可愛いー」など、思った以上の好評が得られた。
そもそもデジタルな支払いがポピュラーな時代に月謝袋自体が珍しいとも言えるが、月謝を現金で持ってきてもらうことで、この金額を自分の身体に投資しているとリアルに感じ、モチベーションも上がると考えてのこと。その意図を話すと、およそ8割の方は月謝袋を選択するとのことだが、その気分をさらに上げられ、コミュニケーションも深まったと彼は語る。ワクワクが増えればファンになる!
これらの例は、いずれもとてもささやかな取り組みだ。「ちむどんどんする券」は付箋大の紙に「ちむどんどんする券(スタッフに見せてネ!)」と書いてあるだけの簡素なもの。月謝袋の方もシールを貼っただけのものだ。
しかしお客さんの側は案外こういうささやかなワクワクが好きだ。そしてささやかだからこそ、他にもいろいろたくさんできる。また行う方も、行えば行うほど、彼らが「物足りない」「味気ない」と感じたように、ワクワクに敏感になる。そうしてお客さんとのちょっとした接点にワクワクが増えていくことで、お客さんはあなたのファンになっていくのである。〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。- NEW最新記事
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