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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
アプローチ次第で「人の行動」は生み出せる
前回、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、リユース&リサイクルショップの事例をご紹介した。「どんな高級旅館も、どんな高級ホテルも、お客様がお帰りになったらベッドまでは入れ替えません」の一言で、お客さんの「買う」を生み、売上を倍にした実例だ。その実践報告を読んでいて、ある事例を思い出した。同じくたった一言で、それまでお客さんがしてくれなかった行動を生んだ実例だ。
それは、ある清掃会社の方からのご報告。同社のお客さんはオフィスビルや店舗などの利用者だが、悩みがあった。それは、ペットボトルや空き缶のごみが、飲み残しが入ったまま捨てられることだ。ゴミ箱が汚れたり、清掃係の手間もかかる。
そこで考えた。どうすれば飲み残しを捨ててから、ゴミ箱に捨ててくれるだろうか。ワクワク系では、商売現場で「買う」「(店などに)来る」など売上に直結する行動を生んだ事例が多いが、缶やペットボトルの「飲み残しを捨ててから、ゴミ箱に入れる」のも「人の行動」だ。ならば同様のアプローチで、こちらが望む行動を生むことができるのではないか。
そこで、次のような貼り紙を作った。A4サイズの紙を用意し、大きな文字で一言、「飲み残し捨てた?」。そしてかたわらに、子猫がおじぎをしているように見える可愛らしい写真を添えて、小さく、「面倒かけてごめんね」。そうして実際貼り出してみると、貼る前は毎日何本も飲み残しが入ったまま捨てられていた缶やペットボトルが、貼った週から一気に減り、週に1、2本となったのである。自らが望む結果を創り出していくことが商売の真髄
「お客さんの心に働きかけて行動を生む」これは、ワクワク系の代表的な活動のひとつだ。そして、たった一言でも、その働きかけが巧みであればあるほど、意外なほどお客さんはこちらの期待通りに行動するようになる。それが「買う」という行動なら売上が上がるし、「行く」という行動なら客数が増える。「飲み残しを捨てる」という行動も然り。そうして、自らが望む結果を創り出していくことが商売の真髄だとも言える。
ちなみに同社、別の清掃先で今度は手洗いを奨励したいと考え、同じ考え方で貼り紙を作り、行ったところ、こちらも水石鹸が一気に減っていくようになった。こういった活動はまた、このように、実践しながら巧みになっていくものだ。そうして、楽に望む結果を出せるようになってもいくのである。〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。- NEW最新記事
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