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夏が近づくとよく耳にする「土用の丑の日」。土用の丑の日といえばうなぎを思い浮かべる方が多いと思いますが、なぜこの日にうなぎを食べるようになったのかご存知でしょうか?また、そもそも土用の丑の日って何の日?と疑問に思っている方もおられることでしょう。
この記事では、意外と知らない土用の丑の日の意味や由来、うなぎを食べる理由、うなぎ以外の土用の丑の日に食べる食材などについて、詳しく解説します。
目次
2022年の土用の丑の日はいつ?
土用の丑の日(どようのうしのひ)というと、夏の1回だけだと思われがちですが、実は年に数回、四季ごとに土用の丑の日が存在します。2022年の土用の丑の日は以下の通りです。
2022年の土用の丑の日
冬:1月24日(月)
春:4月18日(月)、4月30日(土)
夏:7月23日(土)、8月4日(木)
秋:10月27日(木)
土用は、立春・立夏・立秋・立冬の前18日間のことを指し、その期間中の丑の日を「土用の丑の日」と呼ぶため、年によっては期間中2回存在する場合があります。土用の丑の日が2回ある場合、それぞれを「一の丑」「二の丑」と呼びます。
四季ごとに存在する土用の丑の日ですが、うなぎを食べる風習が根付いているのは夏の土用の丑の日だけです。2022年の夏の土用の丑の日は、一の丑:7月23日(土)、二の丑:8月4日(木)であり、この2日間に多くの飲食店・小売店がうなぎを提供することになります。
そもそも、土用の丑の日とは?
■「土用」の由来は陰陽五行説
土用とは、古代中国で考案された二十四節気の四立「立春・立夏・立秋・立冬」の前18日間を示す言葉です。
古代中国に唱えられた陰陽五行説では、この世の全ては2つの陰陽と5つの元素「木・火・土・金・水」で成り立つと考えられていました。
春:ぐんぐんと成長する「木」
夏:燃える「火」
秋:実りの「金」
冬:静けさを表す「水」
と四季に当てはめ、残った「土」は季節の変わり目の象徴として、立春・立夏・立秋・立冬の前18日間に割り当てられました。季節の変わり目であるこの期間は土の気が盛んになるといわれており、元々は「土旺用事」と呼ばれていた言葉が略され、「土用」に変化したといいます。■「丑の日」の由来は十二支
「丑」は十二支の丑(うし)のことです。昔から年、月、日、方位、時刻などさまざまなものを表す言葉に十二支が用いられてきました。すなわち、土用の丑の日とは、土用の期間中に巡ってくる丑の日のこと。土用は毎年異なるため、土用の丑の日も毎年変わります。
土用の丑の日にうなぎを食べる理由は?
■うなぎは、日本古来のスタミナ食材
うなぎは、ビタミンA、B1、B2、D、E、コラーゲン、DHAなどを豊富に含む、夏バテ防止に最適なスタミナ食材です。特にビタミンAは目や皮膚の粘膜を健康に保ち、体の抵抗力を強める役割がありますが、脂と一緒に摂ることで吸収率が上がります。うなぎは脂肪分が多いため、ビタミンAを効率的に摂取することができるのです。
日本におけるうなぎの食文化は縄文時代にまでさかのぼり、縄文時代に作られたとされる貝塚から、うなぎの骨とうなぎを食べた痕跡が見つかっています。さらに、日本最古の和歌集「万葉集」にも、うなぎを食べる習慣があったことがわかる歌が残されています。
「石麻呂に 吾物申す 夏痩せに よしと云ふ物ぞ うなぎ取り召せ」大伴家持
「夏バテで痩せているなら、うなぎを食べなさい」という内容で、奈良時代からすでに、うなぎがスタミナ食材として知られていたことがわかります。
■キーパーソンは、江戸時代の学者・平賀源内
しかし、なぜ夏全般ではなく、土用の丑の日にうなぎを食べるのでしょうか?理由は多説ありますが、最も有名なのは、江戸時代の蘭学者・平賀源内が考案したキャッチコピーによるものという説です。
うなぎを食べる習慣が一般庶民にも広まったのは、江戸時代。この時代に濃口醤油が開発され、現在のようなタレで味をつけたうなぎが食べられるようになったといわれています。
天然うなぎの旬は、冬眠に向けて養分を蓄える秋の終わりから冬の初めにかけて。旬のうなぎは脂のりが良く味も濃いですが、夏のうなぎは脂や旨みが少なく、あまり売れなかったそうです。
そんな夏の売上低迷に困ったうなぎ屋から相談を受けた平賀源内は、うなぎ屋の店先に「本日丑の日」という貼り紙をすることを提案しました。現在のキャッチコピーにあたるもので、丑の日に「う」が付く食べ物を食べると夏バテしないという言い伝えにあやかったものでしたが、結果的に大盛況に。他のうなぎ屋も次々と真似たことで、土用の丑の日にうなぎを食べる風習が根付いたといわれています。
土用の丑の日に食べる食材
土用の丑の日に食べる食材として、全国的に浸透しているうなぎ。しかし、土用の丑の日に食べられているものはうなぎだけではありません。昔から、頭に「う」のつくものを土用の丑の日に食べると病気にならないという言い伝えがあり、一部地域では今もその風習が残っています。
■瓜
キュウリ、ゴーヤ、スイカ、ズッキーニ、カボチャといった瓜科の野菜も、土用の丑の日に食べられる食材です。カリウムを豊富に含み、塩分の摂り過ぎを調節してくれる効果が期待できます。また、体の熱をとったり、利尿作用で体内の水分バランスを整えたりと、夏バテ防止にも効果的です。
■うどん
うどんの原料である小麦の収穫期は夏。ツルッと食べられて消化に良く、胃に優しいうどんは、夏バテ時にも最適です。ミョウガや大葉など旬の香味野菜を添えると、食欲も湧きます。
■梅干し
クエン酸を豊富に含む梅干しは、疲労回復や食欲増進に効果的な食材です。梅干しは、6月に収穫した梅を塩漬けにし、梅雨が明けた後、3日間天日干しにする「土用干し」を経て完成します。
土用干しとは、夏の土用の期間に衣類・書籍・田んぼ・梅などを干す風習のこと。梅の土用干しには、太陽光で梅を殺菌して保存性を高める、梅の実をやわらかく仕上げる、色鮮やかに仕上げる、身離れが良くする(種から外れやすくする)といった効果があります。■土用餅
土用餅も夏の土用に関係する風習です。土用餅とは、餅をあんこで包んだあんころ餅(あんこ餅)のことで、北陸や関西地方では今でも土用にあんころ餅を食べる風習が残っています。
古くから小豆の赤色には厄除け・魔除けの力があるとされ、力持ちの意味合いを持つ餅と一緒に食べることで、無病息災を祈願していたそうです。
■土用しじみ
オルニチンというアミノ酸を豊富に含むしじみの旬は夏と冬の2回。冬の寒しじみと夏の土用しじみとして有名です。夏に採れる土用しじみは、産卵期にあたるため栄養価が高く、夏バテ予防にも最適。肝臓の働きを助けることから「土用しじみは腹の薬」とも呼ばれています。
土用の丑の日には体をいたわり、精のつくものを
土用の丑の日とは、土用(立春・立夏・立秋・立冬の前18日間)の期間中に巡ってくる丑の日のこと。土用の丑の日=うなぎというイメージだけが先行しがちですが、季節の変わり目にあたるこの期間には、昔から体をいたわり精がつくものを食べる風習が根付いてきました。
2022年の夏も酷暑になるといわれていますので、うなぎをはじめ、頭に「う」のつく食べ物をメニューに加えて土用の丑の日を盛り上げてみてはいかがでしょうか?
ライター:上田はるか(フリーライター)
大学卒業後、輸入食品商社に勤務し、新規店舗の立ち上げや自社直営ティーサロンのメニュー開発を経験。その後、大手ギフト会社の企画開発部、広報宣伝部を経てフリーランスに。現在はWEB媒体をメインに、食ジャンルの原稿執筆を行う。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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