想定していた客層とのギャップ…客単価が高い嬉しい誤算もあれば、人材繰りに苦労も…
SHOP DATA
- サポート
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- 貝や ほくと
- 阿部和雄
中央区八丁堀1-8-6カサイビルB1
- エリア
- 東京八丁堀
- 業種
- 和食・食堂・レストラン
- ロケーション
- ビジネス街
- ターゲット
- 大人向け
- 業界経験
- 10年以上
- 開業時の年齢
- 40代
- 目標月商
- 100万~200万
- 開業資金
- 1,000万~1,500万
- 坪数
- 10~20坪
- 家賃
- 20~30万以下
開業を目指すきっかけ
- まずは、お店のコンセプトについて教えてください。
- 「貝や ほくと」はその名の通り貝料理の店ですが、私自身、貝が好きだということもあって専門店にしました。これまで地鶏やうなぎなどの専門店で働いた経験もありましたが、やはり自分が好きなものを、美味しいお酒と共に味わってもらいたい。
貝に絞ったのは都内では専門店が少ないということも大きかったですね。
- 飲食業界で仕事をされてきたとのことですが、独立を決めた理由について教えてください。また開業すると決めてから、最初にどんなことに着手されましたか?
- 20代から飲食業に携わっていますが、いつしか自分の店をやりたいという願望が芽生え、少しずつ開業資金を貯めてきました。本腰を入れて開業の準備をしようと思ったきっかけは、手伝っていた知人の店が規模縮小を決め、それに伴い私が退いたこと。ぼんやりながらも貝にまつわる店をいつかやりたいと考えていたので、開業に向けての第一歩として、勉強も兼ねて貝の専門店で1年ほど働いた後、違う専門店でバイトとして働きながら、物件探しなどに時間を割くようにしました。
開業準備での課題と解決方法
(物件探し・資金集め, etc.)
- 「貝や ほくと」は中央区八丁堀に店を構えていますね。エリアについてはどのようなこだわりをもって探したのでしょうか。
- 立地については、ビジネス街で、特に日本橋や茅場町、八丁堀近辺に絞って探していたんです。以前、働いていたお店は日本橋にあったのですが、このエリアのお客様は経済的に余裕があり、舌の肥えた方が多い印象だったんですよね。地の利もあったし、ゆくゆくはビジネス街で自分の店を開きたいと考えていました。
- では物件探しでこだわった点は?
- 当初はビジネス街の物件で路面店であることを条件に探していたんです。ビジネス街は昼間の時間帯になると、ランチができる店を探して人で溢れていますし、路地裏でも1階であれば認知されるんじゃないかという目論見がありました。だけど、その条件にこだわって探していたら予算と折り合う物件がなかったんですよね。それでエリアの希望は変えず、2階や地下にまで広げて、2年ほどかけて探しました。物件を決めた当初は、思い描いていた店より狭いかな……と少し思いましたが、今考えるとこの広さで良かったですね。
- 開業準備にあたり、誰かに手伝ってもらったり、サポートを受けたことは?
- 開業といっても何をすればいいのか全く分からなかったので、最初はネットや本を見て勉強していましたが、初歩的なことしか身につかなかったと思います。より具体的な部分はネットで知ったUSENの開業セミナーを受けることで補いました。個別相談では細かい部分まで質問できましたし、担当者の方とは電話やメールなどマメにやり取りできたので、本当に助かりましたね。自力でやっていたら、もっと時間がかかっていたと思います。
- ちなみにUSENの開業サポートで最もよかった点はどんなことでしたか。
- 物件探しに同行してくれたことです。すでに決めていた物件があって、担当者の方に相談したら、「止めた方がいい。もっとたくさん物件を見て決めましょう」と言ってくれたんですよね。実はその物件、自分でもいいのか悪いのかよくわからないまま、何となく決めていたもの…。担当者の方に不動産屋では何を聞くべきかアドバイスをもらいながら、改めて物件探しをしました。不動産屋に同行してくれたのは1軒だけですが、非常に参考になったし、安心感も得られました。勢いで自分だけで決めなくてよかったと思っています。
- 事務的な準備はUSENのサポートを受けながら進めてこられましたが、店の実務にあたっては、どのように準備を進めましたか?
- 築地市場の貝の仲卸業者で働いていました。目利きや原価、保存の仕方など貝にまつわるたくさんのことを学べましたね。うちの食材は、その仲卸を介して仕入れています。
開業後の気づき/今後の課題
- 晴れて2019年11月に「貝や ほくと」がオープンとなりました。無事、自分のお店を開業できたときの気持ちを教えてください。
- 開業を決めた当初、物件探しや開業資金など、何をどうすればいいのかわからなかったことを考えると、やっとここまできたか……という安堵感ですね。飲食業界は2、8月売上が落ちるといわれていますが、今年はオリンピックもあるので期待している部分はあります。ただ先日、外国の方が飛び込みで来られたのですが、英語のメニューを用意していなかったので、帰ってしまったんですよね。それが本当に申し訳なくて。英語と中国語、韓国語の対応は必要だなと痛感しています。
- オープン間もないですが、今のところ手ごたえはいかがでしょう。
- 想定していた客層が違うので、少しずつ修正しているところです。最初は飛び込みのお客様が多いかなと考えていたのですが、ふたを開けてみると予約がほとんど。落ち着いて食事ができるということもあって、接待が多いですね。カジュアルにお出ししていた料理も、今の客層に合わせて再考しているところです。当初より客単価が高いのは、嬉しい誤算でした。
- それは素晴らしいですね!お店の経営が順調ということであれば、特段困りごとはないのでは?
- いやいや、困りごとはたくさんありますよ(笑)。そのひとつが人繰りです。小さいお店なので、妻と二人で切り盛りしていますが、手が足りない時には手伝いを頼んでいます。ただ、そんな時だけ都合よく来てくれるわけでもないし、かといって人を雇える状況ではないんですよね。忙しい時とそうでない時の差が大きいですし、経営自体はまだまだ不安定です。
- オーナーとして、将来のビジョンをどのように描いていますか?
- 貝は取り扱いが意外と難しい食材なんです。調理人も相応の知識と経験がないとダメですし、多店舗などの展開は考えていません。次のステップはしっかりと経営の地盤を固めてから考えたいです。ビジョンというほどではないですが、日本の方と外国の方、両方のお客様から貝の料理教室をやってくれと言われているんです。魚のさばき方はあるけど、牡蠣やホタテなどシンプルな貝でも料理が難しいようで。タイミングが合えば、貝の開け方やちょっとした調理方法などの料理教室の開催は考えています。
- では最後に、開業を考えている方に向けてアドバイスをお願いします。
- 何をしていいのかわからない方は、サポートが受けられる開業セミナーに行くことをおすすめします。本だけ読んでもわからないことだらけです。プロに相談にのってもらえる環境や安心感は何より大切。最初は誰もが素人なので、準備に手間取ったり、間違った方向にいってしまいがちですから。「何としても開業するぞ!」という意気込みは大切ですが、固執するあまり、空回りに終わってはいけませんよね。計画なんて思い通りには進まないものですし、想定外のことなんていくらでもある。そんな時に対応できる柔軟性が経営者には必要なのかなと思います。