ネットでみつけた物件が突然の契約破棄…町内会のおかげで無事に開業、コロナ禍でも通用する経営を実現

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下町たまご食堂 一卵亭
吉井信興

東京都文京区根津2-37-1

エリア
東京根津
業種
和食・食堂・レストラン
ロケーション
ベッドタウン
ターゲット
大人向け
業界経験
10年以上
開業時の年齢
40代
開業資金
300万以上
目標月商
1,000万~1,500万
坪数
10坪以下
家賃
20万以下

開業を目指すきっかけ

「下町たまご食堂 一卵亭」は店名にもある通り、卵にこだわりを持つお店とのことですが、卵をメインにしたお店を開業した理由について教えてください。
もともと僕は映像や舞台に関する仕事をしながら料理人として飲食店で働き、妻は接客業をしていました。いつか自分たちの店を持ちたいねと話し合う中で、忙しい毎日でも手軽にパパっと美味しく栄養のあるものを食べたいという妻のアイディアからスタートしたのが一卵亭です。卵は「完全栄養食」といわれるほど栄養価が高く、値段の変動がほとんどないので安定して仕入れることができる食材。料理のバリエーションも豊富です。だからなるべく安く、美味しく、みんなに食べてもらいたいという気持ちで店をはじめました。妻がとりわけ重視していたのは、近隣の高齢者。店がある東京・根津には独り暮らしの高齢者も多いので、特にそうした方に来ていただけると嬉しいですね。毎日一人分の食事をつくるのも手間ですし、コンビニでは味気ない。うちの店で気軽に栄養をとってもらえたら、という思いもあります。
主力食材である卵はどのように選んだのでしょうか。
卵かけごはんをつくるなら、どんな卵を使うべきか、という気持ちで選定しました。こだわったのは黄身にインパクトがあるということ。たくさんの卵を試食した中で選んだのは、群馬にある三喜鶏園で生産されている卵です。黄身が濃厚で、僕らが希望していた仕入れ値とマッチしたのも決め手になりました。卵かけご飯や親子丼、オムライスといった庶民的な料理を、庶民的な価格で提供したかったですし。

開業準備での課題と解決方法
(物件探し・資金集め, etc.)

開店準備は物件探しから始めたそうですが、手痛い経験があったとうかがいました。
出店場所は妻が生まれ育った東京・根津と決めていて、ネットである物件を見つけたんですが、「早く決めないと他に取られてしまう」と不動産屋にせかされ、言われるがまま手付金を振り込んでしまったんです。しかし、それだけでは足りないし、融資を受けるべきと言われ、慌てて書類も作成。銀行に行く前日に不動産屋から「大家が知り合いに貸すからこの話はなかったことにしてほしい」と一方的に断られたんです。仕事も辞めていたので、頭が真っ白に……。お金は戻ってきたけど、騙されたという気持ちが強かったですね。その後、別の不動産屋に紹介してもらった物件もあったのですが、ここでも不動産屋のペースで話が進んでしまい、家賃などの交渉が上手くいかず僕の付け焼刃の知識では太刀打ちできなかった。2度にわたる失敗で自信をなくし、不動産屋にも不信感を持ってしまったんです。

開店準備は物件探しから始めたそうですが、手痛い経験があったとうかがいました。

そこからどのように開業への気持ちを立て直したのでしょうか。
その頃、根津の町内会の方々と仲良くなり、お祭りにも参加して神輿を担ぐようになったんですよ。長年住んでいたけど、そこまでの親交は持っていなかったんです。会合にも顔を出すようになり、地元の顔役でもあった材木屋の方と知り合ったことがターニングポイントになりましたね。店の内装はその方にお願いしたのですが、この物件を見つけることができたのも、彼と繋がりのある不動産屋に紹介してもらえたから。地元で出店するにはコネクションづくりが大切なんだと痛感するとともに、縁ができたことで相談にものってもらえたことも大きかった。頼りになる人が近くにいるのは心強いものです。
物件探しでつまずいたものの、そこから得たものは大きかったのですね。
ひとえに勉強不足が招いたことなのですが、学びはありました。ひとつ挙げるとしたら、思い込みが強すぎてしまったということです。どういうことかというと、初期費用を抑えられると思い、居抜き物件だけに絞って探していたんですが、これが大きな間違いだった。居抜きを選んだとしても、長いことやっていた店はそのまま使える設備がなく、一度スケルトンにしてから改めて工事が必要というケースがほとんど。気に入った物件でも、ふたを開けてみたら諦めざるを得ないことが多くて、「居抜きじゃなきゃだめだ」と思い込んだ物件探しは止めました。居抜き物件を選んだ場合、店舗資産譲渡料を支払うケースもありますが、かえって高くつくことになり、使えない設備をゴミとして置かれてしまうこともあるので気を付けないといけません。USENの開業セミナーをもっと早く知っていたら、こんな遠回りはしていなかったかもしれませんね(笑)。
USENの開業セミナーを利用するようになったのは、どんなきっかけで?
この店を候補物件として紹介してもらった頃、ネット広告で無料セミナーがあることを知ったんです。開業セミナーは別のところで受けていたのですが、時間も経ってしまっていたので、改めて勉強しようと参加しました。当時は店舗運営についてまだわからない点があり、講師の方がダメな事例を挙げながら説明してくれたのが参考になりました。セミナーを通じて自分に何が不足していたのか客観的に見ることもできました。
物件探し以外で苦労されたことといえば、どんなことがありましたか。
事業計画書の作成です。経営者視点を持つこと自体初めてでしたし、そんな経験もないので、出てもいない売上をどうやって出せばいいのか上手くイメージができなかった。銀行に納得してもらえるような数字をいかにして計画書に落とし込むか、苦労しましたね。当初は夢見がちな数字ばかりだと、現実を見ているのか?と言われると思ったので、シビアに書いていたら、「それでは売上がなさすぎだ」とアドバイスされたんです。そこそこの儲けを出すことを想定しつつも、現実を見ていない数字はダメ。税理士やUSENの方からアドバイスをもらいながら、何度も書き直して無事に融資を受けることができました。特にUSENはメールで質問を送るだけで、すぐに返答をいただけたので助かりました。

開業後の気づき/今後の課題

1月にオープンした後、新型コロナウィルス拡大で緊急事態宣言が発令されました。お店にとってもまさかの事態だったのでは…。
そうですね。ただ、営業時間は朝8時から夜8時までなので、営業時間の短縮要請はあまり関係なかったんですよ。開業前からテイクアウトは行うつもりでしたので、慌てて準備するといったこともなく、オペレーションもできていました。在宅勤務が増えた3月から5月にかけてテイクアウトは右肩上がりの売上でしたが、緊急事態宣言が解除されると、売上も落ち着き、かといって店内利用が戻ることもなかった。テイクアウトよりデリバリーの方が需要は高いのかなと思ったけど、宅配専門業者に頼むと、1品を数百円で販売しているうちみたいな小さな店の売上はほぼないに等しい。デリバリーに関しては悩ましいところがあります。
オープンから半年が過ぎましたが、経営課題は見えてきましたか。
カウンター5席の店なので、たとえ3人しかいなくても、密を避けたい方は店に入るのを躊躇されることも少なくありません。仕方ないですが、何かしらの対応を考えねばいけません。ただ、少しずつですが口コミなどによる新規のお客様が増えているなとも実感しています。小さな店なので、仮にお客様が急増しても受け入れることができないので、じわじわと広まるようにしていきたいですね。文京区は飲食店向けのテイクアウトとデリバリー支援があるようなので、そうした制度も利用することを検討しています。
一卵亭さん開業ストーリーを聞いていると、「つながり」という言葉を強く感じますね。
僕はもともと人とつながることが苦手でした。すぐに仲良くなれる人を見ると羨ましかったけど、苦手ゆえにつながりを敬遠してきてしまったんです。今回、開業準備をする中でコネクションの大切さを嫌というほど痛感させられたのが、自分が変わるいいきっかけになったと思います。町会に参加していろんな人との縁を持つことができ、結果として開業につながった。人とつながることが大事だと改めて感じたし、人を頼るということも。USENさんに頼ったのも同じです。地域に密着して商売をするからには、共助の精神を大切にしていきたいですね。
下町たまご食堂 一卵亭
  • 東京都文京区根津2-37-1

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