沖縄で一番の居酒屋を目指す若きオーナーが、修行で得たものとは？

大学卒業後料理の勉強のために上京し、その後、地元・沖縄で囲炉燻し焼きのお店をオープンさせた渡嘉敷翔太さん。沖縄という土地での開業は、東京をはじめとする他の地域での開業に比べると何か違いはあるのでしょうか。将来の多店舗展開を目指して日々奮闘する渡嘉敷オーナーにお話を伺いました。

実は沖縄で獲れる魚はあまり美味しくない。だから築地で見て味わってきたレベルの魚を自分の店で提供したかった

ーー社会人になってから、開業までのキャリアについて教えてください。
大学までは沖縄だったのですが、将来は漠然と地元の沖縄で店をやりたいなと考えていたんです。それで料理の勉強しようと上京して、フレンチのビストロに４年、炉端焼きの店に2年、修行をしたのですが、2軒目に移った時に同じような業態の店を開きたいと具体的に思い描くようになったんですよね。その後、沖縄に戻り１年半ほど居酒屋を経営する会社に勤めてから自分の店を開業するに至りました。

ーー東京での修行期間、どんなことが役立ちましたか？
まず自分の舌で試し、納得した上で、美味しい料理や酒を出したいと思っていたので、その期間は勉強だと思って色々なお店で飲み食いを徹底してやりました。そのために貯金が底を尽きましたけど（笑）。実は沖縄で獲れる魚はあまり美味しくないんですよ。だからこそ、築地で見て味わってきたレベルの魚を自分の店で提供したかったんです。酒もそう。沖縄だから泡盛じゃなくて、全国各地の日本酒や焼酎を取り揃えています。

国際通りで居酒屋を…ちょっと離れたけど条件に見合う物件を自分のアイデアで内装

ーー沖縄での開業準備はどのように進めましたか？
資金づくりですが、沖縄は東京に比べると借りやすいかもしれませんね。頭金がなくても自分の信用を担保に融資を受けることができました。物件は沖縄の繁華街を中心に探していたのですが、少し離れた場所で条件に見合う物件を見つけることができたんです。この店は倉庫として使われていたものだったので、自分がアイディアを出しながら内装・施工業者の方たちと作り上げました。

国際通りあたりは観光客が多いけど、この居酒屋は地元の人に来てもらう店を目指して

ーー「若獅子」は2017年4月にオープンしたばかりです。ご自身の手ごたえは？
売上の目標値は高く設定していましたが、自分が想像していた以上の出来かなと思います。東京の修行時代、数字に関してはシビアに見積もることを教えられましたし、今でも数値管理をしっかり行っているので、そこから外れることは今のところありません。やりたいことと、やっていることが噛み合っているので、結果として出ているのだと思います。
経営上、心掛けているのは利益をいくら出すかという裏付けがあった上で顧客満足度も上げていけるシステムづくりです。料理長と相談しながら利益が出せるメニューを日々充実させたり、あとはいかにしてリピーターを増やせるかということ。場所柄、観光客の方も多いですが、近隣住民の方が気軽に何度でも来てくれるような店づくりをしたいと考えています。

ーーオーナーとして、今後はどのような展開をお考えですか？
どれだけ利益を伸ばせるかということに注力して、それから多店舗展開につなげたいと考えています。ただし、焦らずに時間をかけてです。最終的な目標は沖縄で一番になることですが、僕のビジョンに共鳴してくれるスタッフと共に成長していきたいんです。多店舗展開がやりたいから人を増やすのではなく、人がいるから多店舗で、という考え方。業態もスタッフによって変わってくるかもしれないけど、人とのつながりや絆を大事にしながらビジネスをしていきたいですね。