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お客様に受け入れられるメニューを作る!人気ラーメン店、地球の中華そばのこだわり
家族がいるから、”食いっぱぐれる”わけにはいかない。メニュー構成は修行時代にすべて決めてありました。
- 樋上 正径/地球の中華そば(ほしのちゅうかそば)
神奈川県・横浜市の歓楽街のひとつ、伊勢佐木長者町。2014年、その地に突如誕生した「地球(ほし)の中華そば」は、開店するや否や、ラーメンフリークの間で一気に評判が広がり、休日ともなれば県外からも客が訪れる人気店となった。ラーメン専門雑誌では新人賞を受賞するなど、専門家からの高い評価も得ている。しかし地元を蔑(ないがし)ろにするのではなく、平日にはしっかりと近隣客を取り込み、安定した経営に結びつけている。店のオーナーは28歳で大手企業から脱サラし、ラーメン店主を目指した樋上正径氏。頭脳派店主はどのように経営方針を立て、成功に導いたのだろうか。その秘密をインタビューから探った。
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>>ラーメン店を始める前に知っておきたい4つのポイント脱サラをしてラーメンの世界へ。料理の勉強のため居酒屋にも勤務
ーー樋上さんがラーメン屋を目指したきっかけは何でしたか?
大学生の時にラーメン屋でアルバイトをしたことが最初のきっかけです。すごく楽しくて、4年間のめり込みました。それでも、その時は当たり前の流れで就活をして、通信会社で働き始めました。ですが、サラリーマンとして働いているうちに、「喜びのダイレクト感が薄いな」と感じていて……。ダイレクトに感謝の声が届く飲食の世界に、「また戻りたい」という気持ちが芽生えていったんです。結局、サラリーマン生活を4年で区切って、28歳の時に飲食店をやろうと、本気で目指し始めました。
ーー修業時代には何を学ばれましたか?
最初は東京の護国寺にあった「ちゃぶ屋」でした。とても人気があり、すべてがしっかりとした店だったので、調理以外にも心構えや接客など、飲食業のプロとしての基礎を勉強しようと。「ちゃぶ屋」は当時、表参道ヒルズに支店を持っていて、ラーメンの素材を使ったコース料理も提供していました。当時の料理長が現在の「鳴龍」(大塚)の店主の斎藤さんという方で、僕は主に斎藤さんのもとで、食材へのアプローチ方法や味作りを教わりました。
それから一旦、ラーメン以外の料理の勉強のために居酒屋さんで1年働いて、大学生の時のアルバイト先「麺の坊 砦」へ。「砦」の店主の中坪さんには、学生時代にすごくお世話になったので、「独立は絶対に砦から」と決めていました。「砦」では5年間働いて、店長やマネージャーも経験して、味以外にマネジメントの部分もずいぶん教わりました。35歳までにラーメン屋として独立する!
ーー独立のタイミングはどのように決めたのでしょうか?
28歳で飲食をやろうと決めた時に、独立の期限を35歳に設定したんです。「35になったら何が何でも独立する」と決めていました。誰にでも受け入れてもらえるラーメンのメニューを開発する理由とは?
ーー味作りのコンセプトについて教えてください。
物件を探し始める前から「お店をどこに出しても絶対に“食いっぱぐれしない”メニュー」を考えていました。塩、醤油、白湯(パイタン)という、誰にでも受け入れてもらえるようなメニュー構成にしています。客層も絞っていません。あっさりもこってりもあれば、どこの場所に店が決まっても、何とかやっていけると思ったんです。ーー自家製麺をされていますが、メリットは何でしょうか?
麺は袋詰めや麺箱に入れるだけでもかなり劣化してしまうので、この場で作った麺を、劣化のない状態で出せるというのが一番のメリットですね。もうひとつはコスト。自分の労働力はかかりますが、既製麺の約3分の1で済みますし、作る量の調整もできます。自家製麺ということ自体も「本格派」のアピールになると思います。ーー開業後に一番苦労した点は何ですか?
これは良い面とも言えますが、予想の何倍ものお客様に来ていただいて、対応がすごく大変だったことです。最初は「この場所でそんなに売れるわけがない」と思っていたのですが、想像以上にすごく忙しくなってしまいました。
物件にも想定外の問題がありました。ここは前にもラーメン店が入っていた物件なのですが、その前はバーだったそうで、換気のバランスが悪く、ドアがものすごく重くなってしまいました。今も改善できていません。営業して初めて気が付いた点ですね。売り切れは作らない!仕込みをコントロールすることの大切さ
ーー安定して営業を続けるために、気をつけていることは何ですか?
「売り切れを作らない」ということです。お客様が来た時に、「食べたかったこのメニューがない」ということが起こらないように、仕込みをコントロールしています。それには、とにかく量を作っておくことしか対策がないんです。ーー将来はこういうお店にしていきたい、という夢はありますか?
数を売ったり、2店舗目を出すということよりも、今ある味をもっと向上させて、お客様に安定して来ていただける状態を保っていきたいです。目が届く範囲で堅実に営業して、「飽きられない店」にしたいですね。ーーこれから開業したいという方に向けて、メッセージをお願いします。
安易な気持ちで開業するのではなくて、向こう30年、本当に続けていくという強い気持ちで開業することが大事だと思います。30年間を見据えたうえで、しっかり修行をして、味作りもして、店作りをする。それが安定した経営につながると思います。ラーメン店開業ノウハウを知る!
樋上 正径
1979年生まれ、大阪出身。大学1年の時に「新横浜ラーメン博物館」の「博多一風堂」にアルバイトとして入る。その後、同店店長が独立して作った「麺の坊 砦」に移った。就職活動を経て大手通信インフラ系企業に就職するも28歳の時に飲食業界への転職を決意し「柳麺 ちゃぶ屋」に就職してラーメン修行を始めた。その後居酒屋での料理修行を経て、古巣である「麺の坊 砦」に。マネージャー、支店の店長を経験。2014年10月に伊勢佐木長者町に「地球の中華そば」を開業した。店名の由来は妻の旧姓にあるという、愛妻家でもある。
地球の中華そば(ほしのちゅうかそば)https://twitter.com/hoshichuu
神奈川県横浜市中区長者町2-5-4神奈川県横浜市、伊勢佐木長者町の大通り沿いにあるラーメン専門店。塩、醤油、白湯(パイタン)の3種類の味を基本としたラーメンを提供しており、平日は近隣の常連客が、週末には遠方から訪れる熱心なラーメンファンが列を作る。店主の主な修行先は、澄んだスープに自家製麺を合わせたラーメンで人気を博していた「柳麺 ちゃぶ屋」と、本格派の博多豚骨ラーメンの「麺の坊 砦」。その両店をオマージュした毛色の違うラーメンを味わうことができる稀少な店で、若者、家族連れ、年配客など訪れる客層は幅広い。
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