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注目の街、蔵前でセレクトショップ開業。「好きなものを売って、事業を成り立たす」
誰かの何かのきかっかけの場所をつくりたかった。
- 秋山 香奈子/SUNNY CLOUDY RAINY
ファッション通販サイトの仕事から、自分の好きなモノだけを集めた店を持ちたいという夢に背中を押され、2015年に開業した秋山さん。「好きなモノを売って、事業として成り立たす」という究極を追求する仕事はどのような考え方が必要なのでしょうか?
洋服も雑貨も食べ物も!?来るたびに変化のあるセレクトショップ「SUNNY CLOUDY RAINY」
ーー「SUNNY CLOUDY RAINY」はどのようなコンセプトでスタートしたショップなのでしょうか?
お店の名前になぞらえて、「天気のように毎日変化のあるお店」を目指して始めたセレクトショップです。私自身が欲張りなので、お店では洋服も雑貨も食べ物も取り扱っているのですが、その日の気分でアイテムを選んでもらって、来る度に変化があって新鮮な驚きを感じてもらえるような店づくりを心がけています。
店を始める前はファッション通販サイトで9年ほど働いていました。そのサイトでは5つのセレクトショップを担当していたのですが、限られた予算の中で売り上げを達成させないといけなかったし、思い入れのある洋服ばかりを扱えるわけではなく、次第にズレを感じ始めていたんです。長年温めてきた自分の好きなモノだけを集めた店を持ちたいという夢にも背中を押され、2015年の開業に至りました。ーーモノを売るにしてもネットとリアル、勝手が違うと思うのですが、戸惑うことはありませんでしたか?
ネットは制限なく商品を見せられたのですが、店舗は場所に限りがあるので、最初のうちは商品をどれくらい発注すればいいのか悩んだり、見せ方のバランスがつかめずに苦労しました。店舗の展示方法にもコツがあって、設置場所によって売れ行きが変わるというルールなどは販売員をやっていた友達が教えてくれたんです。たとえば、お客様が店内に入ってすぐ目に飛び込むモノは手にとってもらいやすいので、売りたい商品はそうした場所に置くようにしています。注目の街“蔵前”に開業。人を選ぶこの街が気に行ったんです。
ーーお店に入ってまず感じたのが、広い空間を素敵に演出されているので思わず写真を撮りたくなる雰囲気だなと。実際に店内の様子などを投稿しているインスタグラムのフォロワーは7500人と多いですね。
集客・宣伝という意味でインスタグラムはとても力を持ったツールだと実感しています。お客様が店で撮影した写真をインスタにアップしてくれて、それを見た方がフォローしてくれたり、店に来ていただけることが多いんです。SNSですが、入荷情報など具体的なお知らせはツイッター、フェイスブックで行い、ブランディングとして店や商品の世界観を伝える手段はインスタグラムを使っています。インスタグラムに関しては、宣伝臭が強すぎちゃうとフォロワーが付きにくいような気がします。お店のアカウントをつくるのであれば、運営する人の気配や顔が見えてくるような要素があるとよいかもしれません。ーーお店があるのは台東区蔵前。商業エリアというイメージはさほど強くはないような気がしますが、最近メディアで取り上げられることが多いようですね。
最近、蔵前は明らかに人の流れが変わりました。店も増えたし、雑誌やテレビで街が紹介されることが増えたので、うちの店もその恩恵を受けているのかもしれません(笑)。蔵前を選んだのはたまたま自分の条件にハマる物件があったから。路面店ではないけど、古い建物の雰囲気と、窓の三面から光の入る感じが気に入ったんです。ただ、2階なので良くも悪くも存在に気付いてもらえないんですよ(笑)。万人に向けてやってはいないので、お店に興味を持って本当に好きな方が来てくれたら嬉しいですし、結果として2階でよかったなと思っています。
この街は昔ながらの問屋街もあり鞄や帽子などのアトリエも多く、古さと新しさが混在しているのが魅力。渋谷原宿のように混雑はしていないので、ゆっくりと店を見て回れるのがよいところですが、それゆえに梅雨や真夏の時期は外歩きも辛いので人が少なくなりますね。企画展で1日に100人を集客!変化のある店であり続ける。
ーー意識的に行っている集客のための施策はありますか?
来店のきっかけづくりとして、企画展を月1で開催しています。テーマはその時々で違うのですが、蔵前はわざわざ来るという街ですし、またお店に行ってみたいなと思ってもらえるように、内容には力を入れています。ちなみに人気の作家さんの器を扱った企画展では1日に最高で100人ほどのお客様に来ていただきました。こうした試みはやっていて私も楽しいですし、変化のある店づくりをすることで、いつ来ても新鮮なイメージを感じてもらえると思います。ーー「SUNNY CLOUDY RAINY」のようなセレクトショップを開きたい方にアドバイスをお願いします。
自分の好きにまっすぐいるべきです。トレンドに流されるのではなく、気になるものがあれば自分の目でちゃんと確かめて、使ってみること。商品を提供する側の実体験がないとお客様に説明できないし、よさを伝えることができません。それに自分が生半可な気持ちで仕入れたものは売れなかったりするんですよね。やっぱりこれが好き!と強い気持ちで仕入れたものほど売れるものです。
儲けようと思ったら、この仕事は難しいと思います。店を回すために利益を生むことはもちろん大事だけど、それよりも私は〝誰かの何かのきかっかけの場所〟をつくりたかった。お店に来て新しい発見があったり、企画展を通して作家さんやお客様の交流が生まれる瞬間を目の当たりにして、私はこういうことがやりたかったんだと喜びを感じます。秋山 香奈子
1982年、秋田県生まれ。印刷広告会社を経て、ファッション通販サイトでバイヤーとしてセレクトショップの運営に携わる。9年間在籍した後、2015年3月に「SUNNY CLOUDY RAINY」をオープン。
SUNNY CLOUDY RAINYhttp://sunnycloudyrainy.com/
東京都台東区蔵前4-20-8 東京貴金属会館2階オーナーの秋山さんが惚れ込んだ洋服、日用雑貨、食品など常時20ほどのブランドを取り扱うセレクトショップ。毎月、展示内容が変わるイベントなども開催。
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