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4年連続「食べログ100名店」受賞!ラーメン×鯛めし×鯛茶漬け?「銀笹」にメニュー誕生の秘密を聞く
これは「鯛めし」を食べてもらうためのラーメン。料亭で覚えた技を強みに、銀座で勝負に挑んだ
- 笹沼 高広/銀笹
銀座8丁目、昭和通りの南側。汐留のオフィス街にも近い料亭密集地帯に「銀笹」はあります。店主は都内のさまざまな料亭、和食店で18年間も腕を磨いたベテラン職人・笹沼高広。惚れ込んだ味は修行先だった「銀座あさみ」の鯛めしと鯛茶漬けでした。その味を多くの人に知ってもらうために、笹沼氏が選んだのはラーメン店の道。添え物としての鯛めしではなく、ラーメン、鯛めし、鯛茶漬けという、三位一体となった美味しさを届け、今や行列店となっています。
ラーメン店開業ノウハウはコチラ
>>ラーメン店を始める前に知っておきたい4つのポイントラーメン屋開業のきっかけはリーマンショック
ーー笹沼さんは板前だったそうですが、なぜ、ラーメン店を開いたのですか?
僕は和食を18年やっていましたが、その間、自分の店を持つという考えはとくに持っていなかったんです。雇われの身で、料理長に成れればいいのかなと。ただ2008年以降、リーマンショックの影響で、高級志向があまり好まれない風潮になって、「単価が高い商売はもう難しいのかな」と、薄々思っていたんですね。
ラーメンは昔から大好きで、休みの日などは1日に2~3軒食べ歩くこともありました。僕はいつもラーメンとライスをセットにして食べていたんですが、ある時、思いついたんです。ラーメン×鯛めし×鯛茶漬け。メニューはどのようにして誕生したのか?
ーー今のお店に関することですね。
実は僕の修行先のひとつが、すぐそこにある「銀座あさみ」さんなんですけど、そこは鯛めしと鯛茶漬けが名物で、これがすごく美味しいんですよ。「ラーメンとセットのライス、これをあの鯛めしで出したら、美味しいんじゃないのかな」って。「鯛めし」をもっと気軽に楽しんでもらいたいなってことは常に思っていました。だから今の僕のラーメンは、鯛めしをセットにして、途中から鯛茶漬けにして食べてもらうようになっています。銀座という土地でラーメン店を出す理由
ーー銀座という場所にこだわった理由は何ですか?
「お金が無い」とか、「勝負ができない」という理由で、山手線の外へ行くのが嫌だったんですね。もともとこの辺りで働いていたので、ランチが食べられる店が足りていないってことは知っていましたし、「ここならランチで勝負できる」という確信はありました。人が少ない地域で朝から晩までやるよりは、人の集まる場所で、短時間の勝負をしたほうが、自分には合っていると思ったんですね。
「銀座あさみ」に近いのは偶然です。もともと「坪単価3万円まで」という条件を決めて、銀座で探していて、たまたま、ここに物件が出たんですよ。ーー開店までに一番苦労した点を教えてください。
一番苦労したのは、スープの味を決めることです。開業前、家で5人前、10人前を作るのと、実際の厨房で営業用に100人以上の量を作るのでは全然勝手が違って、味が安定しないんですね。結局、お店の引き渡しの1週間前になってもスープが完成しなくて、最後は4日間泊まり込みました。諸先輩方には、「オープンを延ばそうかと思って」と相談もしましたが、「営業しながら味はできていくものだから、大丈夫」と励まされて、何とかオープンにこぎつけました。ーー開店後に一番苦労した点、想像と違っていた点を教えてください。
和食は旬がありますから、「旬のものを美味しく」ということで、日々違う料理を出してもよかったのですが、ラーメンは「1年を通して同じ味、同じ値段」なので、そこが大変でした。
冬になれば水の温度も変わるし、寸胴の下を冷たい風が通って、お湯の湧き方も変わるんです。温度によってスープの出方も変わりますから、すべてが違う条件の中で、一定のものを出さなきゃいけなくて。価格についても、特に鯛の値段は季節で大きく変わりますから、どうやって同じ値段で提供するかという、コスト管理も大変でした。
和食ではひとり1万円、1万5千円という世界でしたが、ラーメンはひとり千円の世界ですから、とにかく杯数を出さなきゃいけないんです。すごく頑張っているのに、全然利益を出せないんです。「ラーメンってこんなに大変なんだ」っていうことは、店を始めてから思い知らされました。銀座という場所はラーメン店であっても「おもてなし」が大切
ーーお客様はどのような方が多いですか?
やっぱり、この辺りで働いているサラリーマン、OLの方が多いですね。雑誌やテレビで紹介されてからは、土曜日に、遠くから来てくれるお客様も増えました。こういう点も、銀座に店を開いてよかった点だと思っています。銀座に遊びに来た時に、ここまでなら「ちょっと足を伸ばしてみようかな」って思える距離ですし、マスコミも銀座にある店だと、紹介しやすいでしょうし。
最近は特に女性のお客様が増えています。うちは「銀座らしさ」をとても大事にしていて、温かいおしぼりも出しているし、清潔感や気配りも大切にしていますから、そういう点も見ていただいているんだと思います。ーー人気繁盛店となった今でも、「スープが切れ次第閉店」という開業時から変わらぬスタイルを貫いていますね。その理由は何でしょうか?
基本的にはここで「細く長く」商売をやりたいと思っているので、敢えて杯数を絞っています。実は開業して2年目に、過労で倒れたことがあったんです。僕が身体を壊しては、元も子もないですから。ーーこれからラーメン店を開きたいという方に、アドバイスをお願いします。
まず、誰にも負けない「自分だけの強み」を持つことと、「とりあえずやってみる」という決断力ですね。その上で、強い芯を持って「この味にする」というものを作り上げて、その味をブレずに提供することです。それには色々な味を出すのではなくて、ひとつに決めたほうがやりやすいでしょうね。他人に影響されないように、自己資金で始めることも大切だと思います。
お店を始めるというのは、怖いことだと思います。それなりの借金もすると思います。でも、借金をしてでも勝負に出るんだという「覚悟」を持つことが、成功には必要なことだと思います。怖いですが、やらなければ始まらないんです。自分だけの「強み」を作って、それを持って、どこまでできるか挑戦する、冒険する。そういう気持ちが大切だと思います。ーー笹沼さんの今後の「夢」について、教えてください。
当初の目標が「この場所で10年やる」ということだったので、あと4年、頑張り抜くことですね。今、新たに目標にしているのは「カップラーメンにする」ということです。誰か、声をかけてくれませんかね(笑)これから始めるという方も、現実的な目標を作ったほうがいいと思います。そうすれば、仕事にも張り合いが出ますから。ラーメン開業ノウハウを知る!
笹沼 高広
1975年、福島県生まれ。18歳から和食の道に入り、都内の割烹や料亭を渡り歩いて腕を磨いた。2001年から「銀座あさみ」で修行。2004年からは「六本木ヒルズクラブ」の和食部門に勤務。2010年に「銀笹」を開業。趣味はラーメンの食べ歩きと陶芸。店で出している片口の丼は、陶芸の師匠の手作りしてもらったものを使っている。
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