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巨匠・落合 務シェフの基で腕を磨いた加藤政行シェフ。イタリアでの修行を経て、帰国後には新しいタイプのイタリア料理を学び、落合シェフのお店を任されて独立と、経歴は計画通りの順風満帆に見えるが、長い修行時代が。ここでは加藤シェフに、経営者としての喜びや独立前に決めておくべき覚悟についてお話をいただきました。
修行期間はなんと20年!青山の人気イタリアン、オーナーシェフが独立までに抱いていた想いとは?
ーーイタリアンの世界に飛び込んでから独立するまで、かなり長い期間があったそうですね?
私たちの時代は「独立するには10年の修行が必要」と言われていました。でも私の場合は20年近くも修行期間がありました。ここまで独立までの期間が長いのは、かなり珍しいはずです。今の若いシェフは、5年くらいで独立している人も多いと思います。私はシェフの中でも異色なんですよ(笑)ーー独立を考えずに修行期間を長くしていたのですか? イタリアに行って修行してみたり、帰国後に新しいタイプのイタリア料理をとことん学んでみたり、落合シェフの人気店を任せていただいたりと、若いころはとにかく色々な経験を積むことを優先していましたからね。正直な話ですが、自分のお店を持つために意識して行動を起こしたことがないんですよ(笑)。自然の流れと言ったら変かもしれませんが、独立に向けて自分から積極的に行動したという感覚がないんです。今、振り返ると結果的に独立まで20年かかったというのが正直なところです。
ーー将来、独立をすることは深く考えていなかったのですか?
あの頃は、「一人前のシェフになるためにマスターしておくべきこと」を強く意識していました。自分の弱い部分をしっかりと認識して、胸を張って「一人前のシェフです」と言えるために何が必要なのかをいつも考えていました。自分にとって足りない部分はデザートでしたので、そこを重点的に鍛えていましたね。
もしかすると心のどこかで、「いつか自分のお店を構える時、これができないとマズイな」という意識があったのかもしれません。普通のシェフよりも独立までに時間はかかりましたが、私は、「今なら自信を持って自分もお店を持てる!」というベストなタイミングで独立できたのかもしれませんね。立地も開業資金も重要ではない。と語る青山の人気イタリアン、オーナーシェフが大切にしているものとは?
ーー飲食店は立地が重要だと言いますが、物件選びで重視したことはありますか?
物件を探す時、この外苑前という立地は特に重視していませんでした。「いい物件がある」と言われたから見に来て決めたくらいですから(笑)。
極端な意見かもしれませんが、流行っているお店はどんな場所でも流行りますよね。シェフ仲間のそういう例をたくさん見てきましたが、立地はそんなには重要ではないかと思っています。もちろん立地だけでなく、開業資金も私はそこまで大切なこととは思っていませんでした。「開業資金を貯めるぞ!」なんて一度も考えなかったですよ(笑)。ーー加藤シェフの考える独立する際に1番大切なものとは何ですか?
「これだけは絶対に守りぬきたい」というものを、起業前にしっかりと決めておくことが何よりも大切ですね。私が守るものは大切な家族です。それぞれ何でもいいと思うんですね。その守るべきものに対する覚悟を持てるか、これさえしっかり決まれば、後はどうにでもなるんだと私は思います。次の一手は、イタリアンでなくてもいい、場所も、国内でなくても。ただ、絶対にブレたくないものは…
ーーシェフという立場から、セントベーネで共同経営者、
共同オーナーになって心情的な変化はありましたか?
経営者って大変だなと心の底から思います。共同経営とはいえ自分のお店を構えている以上は、シェフだけでなく経営者としての責任も求められます。飲食業界は浮き沈みが激しい業界なので、常に忙しくて右肩上がり、順風満帆というわけにはいきませんからね。
不調が続くとどうしても過去を振り返って、「あの時のアレがいけなかったのかな?」と考え込んでしまう辛さがありますね。そうすると気持ちが沈んでしまい、料理への情熱やお客様への感謝がなくなってしまいます。これがシェフとしても経営者としても一番いけないことです。ーーそういう苦しい時は、加藤シェフはどうやって乗り越えているんですか?
無理矢理に元気を出しています(笑)。「えいやっ!」と気持ちのアクセルを踏み込んで、エンジンをふかしています。これはとても苦しいですが、スタッフもたくさん抱えていますので、私がいつまでも落ち込んでいるわけにはいきませんよね。
後はプライベートでやっているサッカーですね。これが最高の息抜きですし、異業種で働く同世代のサッカー仲間がたくさんいるので、情報交換にもなりますし、気持ちの切り替えになっています。ーーこれからの経営テーマを教えてください。
もっとお店を増やしたいですね。次の一手は、イタリアンレストランに限定しなくていいと思っています。バルやテイクアウト専門店でもいい。もっと言えば、場所は国内に限らなくてもいいと思っているくらいです。でも絶対にブレたくないのは、自分の手でお店を作るということ。これだけは絶対です。それ以外は自由に楽しくやりたいですね。加藤 政行
1965年埼玉県生まれ。イタリアンの巨匠・落合 務シェフに師事する。代官山「アントニオ」、「グラナータ」を経て、02年に「ラ・ベットラ ペル トゥッティー」を開店。2011年独立して外苑前に「セントベーネ」を共同経営者とともに開店。
セントベーネhttp://www.sento-bene.com/
東京都渋谷区神宮前3-1-28 ベルタウン青山2階「難しくなくて気取らないイタリアの家庭料理」、それがセントベーネのコンセプト。提携農場から届けられる有機野菜や、季節の厳選素材で作られるのは、心までも温まる料理。中でも1日わずか15食限定の「ラザーニャ」は、売り切れ必至の人気メニュー。「みんなで楽しく騒ぎながら、気軽にフラッと立ち寄れるお店でありたい」と加藤シェフが語るように、家庭的な雰囲気のイタリアンレストラン。
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