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閉店していくフラワーショップが多いなか、16年以上もの長きにわたり同じ場所で商売を営む「Perfume」。「開業しやすい反面、続ける事がとても難しい」と語る窪田オーナーに、息の長い経営をする秘訣について、お話をいただきました。
住宅街のお花屋さんが教える立地選びの秘訣!
ーー最寄り駅から少し離れた住宅街にお店がありますが、なぜこの立地を選んだのでしょうか?
決め手となったのは庭のある家の軒数です。庭がある家は花を植える事が多いので、それだけ需要があるのではないかと考えました。また、お店のすぐ近くにはスーパーマーケットがあります。買い物帰りにフラっと寄って、1本だけでもいいので、買ってもらえる。花に対してそんな気軽さを感じてもらいたかったこともあり、ここに決めました。
ちなみに、物件を決める前は最寄り駅の乗降客の数を数えてみたり、お店の近所を歩き周辺環境を見て回ったりました。「いい空き物件がある」と聞いたら、あちこちと見に行きました。立地環境にはかなりこだわりましたね。花屋は、ライバル店と取り扱う花に大きな違いはありませんし、フラワーアレンジメントの技術もそこまで大差はありません。他店との差別化が難しい商売だからこそ、立地が成功を左右すると思います。ーー理想の立地を見つけ、いざ開業! となったわけですが、実際に経営をしてみてどんな事を感じましたか?
もともと、店頭に立って接客するお店がやりたくてこの商売を始めましたが、独立してみて実感したのは、『続けていくことの難しさ』です。花は、原価率を低くする事ができて利益の出しやすい商品ですが、デリケートで傷みやすくロスが多いことがデメリットです。生鮮物で暑い時期には傷みやすいため、廃棄も多く仕入れ量が難しいんです。花屋は特別な資格がなくても開業できますが、続けていくのには根気もいるし、努力や経営の能力など、いろいろなことが必要だと思います。長く花屋を経営するコツはブレること?
ーーここにお店を構えてからどのくらい経つのでしょうか?
16年が経ちました。(2016年時点)
ーー16年ですか!長く経営する秘訣は何かあるのでしょうか?
常に"やり方"がブレていることじゃないですかね(笑)。初めから「絶対にこうするんだ!」と力んでしまうと、それに自分自身が縛られ、がんじがらめになって、苦しくなると思います。縛られていないからこそ、いろいろなことにも挑戦できるんだと思います。失敗も多いですけど(笑)。2店舗目の花屋を出店したが、失敗…。何年も閉店しようか悩んだ
ーー例えば、どんな失敗がありましたか?
実は以前、この近くにもう1店舗がありました。立地もよくて、勝算もありましたし、実際売上げも悪くはありませんでした。店舗を増やすことで大量仕入れができるといったメリットがあり、2店舗目を構えたのですが、固定費や経費などが大きな負担となって、気が付いたら経営を圧迫していました。こういう時って、意外とズルズル行きがちで、何とか盛り返そうとしてしまうのですが、何年も悩んだ上で閉店を決意しました。
この失敗によって、ようやく経営者としての意識が芽生えました。家賃や人件費などの固定費や経費は、売れようが売れまいが発生します。価格設定の仕方ひとつ取ってみても、今までは経営への意識が低かったので、利益率を考えない、どんぶり勘定で価格を設定していました。しかし、それでは経営者としては充分でなく、今では「配達のガソリン代はいくらかかるから、この価格にしよう」といった具合に考えられるようになりました。
ほかにも、定期でしている仕事でもちょっとした失敗がありました。ーー定期の仕事だと安定した収入に繋がると思うのですが……。
はい。そう思って飛びついたのですが……。実は、お金の入金が数ヵ月後なんです。この定期の仕事をやるには、入金されるまでの運転に耐えられるだけの資金が必要です。一度できてしまった赤字を埋めるためには、次の月に倍の売上げが必要になります。でも、実際には、いきなり売上げが倍になるなんて無理ですよね。それが分からないままスタートしてしまったので、赤字が増えていく一方で……。始めてから5年くらい経ちましたが、ようやく累積していたマイナスが減ってきました。今では、キャッシュフローを念頭に置いて、うまく収支をコントロールできるようになりました。やりながら感覚で覚えていった感じですけれど、そういうインプット作業も大事だと思います。ーーSNSを拝見させていただきましたが、有名人の方へのスタンド花をアップされているのが印象的でした。
ブログやSNSにアップすることで、そこからアーティストやファンへと広まっていくことを期待しています(笑)。お店がある世田谷代田は渋谷や下北沢といった劇場などがある地域に近いので、楽屋用のスタンド花の注文が入りやすいです。まだ目に見えた集客や売上げには繋がっていませんが、地道な販促活動も大切だと思って続けていますね。窪田 直秀
1967年生まれ。お花屋さんでのアルバイト、花市場勤務を経て、2001年、世田谷区代田に「Perfume」をオープン。近年ではブライダル用のアレンジメントや、楽屋用のスタンド花にも力を入れている。
Perfume(パフューム)http://perfume-web.com/
東京都世田谷区代田1-34-15世田谷の住宅街にあるフラワーショプ「Perfume」。ホームユースの花から花束、アレンジメントなどのギフトフラワーを扱う。店内には多くの花屋で見かけるショーケースなどがなく、バケツに活けられた花、そしてオーナーの趣味だというアンティークが並び、おしゃれな作りになっている。
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