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【小阪裕司コラム】第245回:ささやかな改善が大きな成果に

【小阪裕司コラム】第245回:ささやかな改善が大きな成果に

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

お客さんにとっての「意味」を想起させる工夫

 今回は、ささやかな実践のお話。ささやかなことながら見落としやすい、あるいは気づきにくい改善点を見つけて改善すると、案外大きな成果になるというお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のある生花店からのご報告だ。
 あるとき同店に小さなガジュマルの鉢植えが入荷した。手のひらサイズでロットは24個。店主が試しに値段を貼っただけの状態で販売すると、1週間で売れたのは2個だけだった。
 そこでワクワク系の活用だ。店主は次のように考えた。この小さなガジュマルはかわいい。手ごろな値段のかわいい観葉植物を買って一緒に心地よく暮らすことは、お客さんにとって意味があること。その「意味」がお客さんの頭に生まれやすくするべく、小さなガジュマル自らが発する「かわいい」を増幅するような改善案を考えた。
 それは、店頭のA型看板に大きくこう書くことだった。「ちっちゃいがじゅまる君あります!」。さらに続いて、「おすすめの理由3選 1.小さくてかわいい 2.愛らしい・癒される 3.金運が上がる」。
 すると、お客さんの言動に変化が生まれた。「がじゅまる君」と名付けたことで愛嬌が増したのか、看板の前に人が立ち止まるようになり、親子や友人と見受けられるお客さん同士の会話で、「がじゅまる君、がじゅまる君」という言葉がやたら聞こえてくるようになったのだ。そして10日間で、残りの22個は完売したのだった。
 店主はさらに実験する。次に入荷したのは小さなあじさい。この小さなかわいいあじさいを見て、花と暮らす瑞々しく豊かなライフスタイルを想起してもらおうと、再びA型看板に次のように書いた。「かわいいテーブルあじさいあります」。
 この商品に元々「テーブルあじさい」という名前が付いていたわけではない。部屋のテーブルにちょこんと素敵なあじさいが飾られてある情景を頭に浮かべていただきたい、と店主が名付けたものだ。こちらは女性に人気となり、ほどなく完売となった。

お客さんの心を動かす改善点に気づけるか

 この実践は「ネーミングの効果」を使ったものだが、ささやかな改善だ。しかし、そこに添えられたたった一言でお客さんの心は動く。そして、こういう改善点に気づき、改善できるようになると、応用範囲は広い。今回の例で言えば、入荷した商品や制作したアレンジメントすべてに応用していける。そして、それは売上全体の底上げなど、大きな結果へとつながっていくのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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