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【小阪裕司コラム】第225回:6年ぶりでもなぜ顧客は戻ったのか②

【小阪裕司コラム】第225回:6年ぶりでもなぜ顧客は戻ったのか②

全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

ニューズレターで美容情報と店主個人の近況を発信

 前回、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のフェイシャルエステ店が、一旦閉店した後6年のブランクがありながら、別の地域で営業を再開すると、以前の顧客のおよそ6割の方から何らかの反応をいただく結果となった話をした。そしてその背景にあるのは、店主がずっと顧客と絆を育んでいたことだと。では、具体的に何をしていたのか。
 行っていたことはたった一つ、定期的にお手紙を出していたことだ。「お手紙」と言っても、一人ひとりに私信を送っていたのではない。送っていたのは、われわれが「ニューズレター」と呼ぶ、顧客に共通して出すコミュニケーションツールだ。
 その内容は、店主からの報告によれば「出産や育児の近況報告、美容に関する情報など」。ただ、美容情報は顧客にとって耳よりかもしれないが、「出産や育児の近況報告」は店主のパーソナルな情報で、顧客には何の関係もないことだ。しかし実際には多くの顧客からお祝いのメッセージやプレゼントが届き、その後もみんなで赤ちゃんの成長を見守るような雰囲気でコミュニケーションは続けられたと店主は言う。
 ではどれくらい小まめに近況報告をしていたのかと聞けば、その頻度は年に1回から2回。それでも顧客との絆は途切れることなく、育まれ続けていたのである。

顧客を繋ぎ止めた「体験価値」と「自己開示」

 そうして6年ぶりに来店した顧客からは、「閉店後に他のサロンにも行ったが、どこにいっても接客も施術も満足できなかった」「癒しを求めて高級エステにも行ったが、ここ以上の場所はなかった」「営業再開の手紙を見た時に、嬉しくて涙が出ました」といった声が次々に聞かれたとのこと。
 ここに、今回の成果の原因が浮き彫りになっている。まずは当サロンの総合的なサービス品質の高さだ。私たちは「体験価値」と呼ぶが、顧客の言葉にあるように、施術だけではないそこでの体験のすべての価値が高いのだ。そして決定的なことは、コミュニケーションを絶やさなかったこと。そしてそこで「出産や育児の近況報告」といった、私たちが「自己開示」と呼ぶパーソナルな情報を伝え続けたことだ。これらの効果は今日絶大だが、実践会員以外で行われている例をほとんど見ない。ではなぜ彼女は、店が存在しない6年間も確信を持って続けることができたのか。それを支えていたのは、以前営業していたころの成果、他の実践仲間の無数の成功事例、そして他ならぬ、顧客からの温かい反応だったのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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