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【小阪裕司コラム】第172回:「忘れられる」ことがもたらす損失とは

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

行動したからこそ得られた売上

 前回、補聴器専門店の事例で「忘れられない」ことの大切さをお伝えした。この事例では、店主自身が「忘れられないことを常に意識する必要性あり」と反省していたが、読者諸氏の中には、ビジネスにおいて「忘れられる」とはどういうことか、そこに疑問を持たれた方がいらっしゃるかもしれない。そこで今回は、この点を深掘りしたい。
 ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のあるリフォーム会社の社長から、次のようなご報告をいただいた。
 同社は、実践会に入会してまだ2か月足らず。しかし果敢に学び、できそうなところから実践していく中で、既存客へのアプローチを行った。10年~15年前に塗装工事した、社長いわく「全く放置してあったお客様」へ向けてレターを作成し、送ったのだ。
 そのレターはA4一枚の簡素なもの。内容は、「以前、外壁塗装工事をやらせていただきました、○○(社名)と申します」で始まり、塗装の施工間隔の目安が15年くらいであること、まずは外壁塗装診断がおすすめであることなどで、売り込み度合いは弱めのものだ。その数およそ100軒。すると早速2軒の顧客が反応し、成約に至った。その額約250万円である。
 このレターを送らなければ、おそらくこの売上はなかっただろう。というのは、お客さんは「忘れていた」であろうからだ。あなたは、10年以上前の工事のことを頻繁に思い出すだろうか?よほどの不具合が起こらない限り思い出さないのではないだろうか。しかも、「塗装の施工間隔の目安」も知らず、意識にもない中で。
 また今回、すぐに2軒のお客さんが反応したことから、同社の仕事への満足度は高いことが伺える。良い仕事をしているのだ。しかしこうした同社からの働きかけがなければ、新たに営業に来た別の業者に依頼したかもしれない。

人は満足していても忘れる

 あなたは、数か月前に夕食を取った店を最近思い出しただろうか?そこがとても美味しかったとしても、まだ一度だけの利用だとしたら?「人は満足していても忘れる」―このことをよく覚えていてほしい。そうしてお互いにとっての「次回」が無くなることは、良い仕事をしている人、それに満足した人双方にとって、とてももったいないことなのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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