- Tweet
店舗を開業するためにはある程度の資金が必要となりますが、自己資金だけでまかなうのは難しいケースが大半です。開業を目指す方の中には、金融機関から融資を受けて開業資金に充てようと考えている方は多いでしょう。
金融機関からの融資はただ申し込めば受けられるわけではなく、申請した上で審査に通過しなければなりません。審査に通過するためには、金融機関がどのような点に注目して審査を行うのかを知っておく必要があります。
この記事では、創業融資を受ける際の金融機関の判断基準や、開業資金として融資を受けられる金額の目安、融資を受けやすくなるための対策などについて説明します。
参考記事:開業資金はいくら必要?費用の内訳と調達方法を解説
目次
創業融資の種類
起業したり店舗を開業したりする際に利用できる資金調達方法はさまざまありますが、主な選択肢としては、日本政策金融公庫の融資や金融機関における信用保証付きの融資などがあります。
日本政策金融公庫では、新たに事業を始める方や事業を開始して間もない方に、無担保・無保証で融資を行う「新創業融資制度」を取り扱っています。新たに事業を始める方であれば、幅広く利用を検討することができる制度です。
また、一般の金融機関から融資を受ける場合、融資の種類は「プロパー融資」と「信用保証協会の保証付き融資」に分けられます。
プロパー融資は、銀行と融資希望者が直接契約を行う方法で、万が一融資の返済が滞った場合には、その分の損をすべて銀行が負う形となる融資です。銀行と何度か取引を行ったことがある場合にしか利用できないケースが多く、審査自体も非常に厳しく行われます。
一方の信用保証協会の保証付き融資は、銀行と融資希望者の間に信用保証協会と呼ばれる組織が入る形で行われる融資です。返済が滞った場合には信用保証協会が銀行に対する返済を肩代わりするので、銀行にとってもリスクが低い融資となっています。
これから開業を控えており、事業に対する実績がとくにない場合は、信用保証協会の保証付き融資を活用するケースが大半です。
創業融資を受ける際の判断基準
金融機関はすべての融資希望者に対して融資を行っているわけではなく、いくつかのポイントを踏まえた上で、融資を行っても大丈夫かという判断を下しています。
創業融資を受ける際に金融機関が判断基準とするポイントは、主に以下の通りです。
・ 自己資金
・ スキル
・ 資金使途
・ 返済方法
それぞれのポイントについて、内容を説明します。
●自己資金
自己資金とはその名の通り、開業を目指す人が自分で用意しているお金のことです。融資を受けるためには、ある程度のお金を自己資金として用意しておく必要があります。
ひとつ例を挙げると、日本政策金融公庫の新創業融資制度では創業資金の10分の1の自己資金が必要です。つまり創業資金として1,000万円が必要で、足りない分を新創業融資制度でまかなおうとしている場合、自己資金として少なくとも100万円を用意できていなければ融資は受けられません。
自己資金に関しては、起業や店舗の開業のためにコツコツ貯めてきた形跡があるかという点が、通帳などから確認されます。
起業・開業に向けてきちんと下準備を進めているほうが金融機関からの印象はよいので、誰かから一括でポンと振り込まれたようなお金をもとにして起業や開業を目指そうとするのは、あまり好ましくありません。
●スキル
始めようと思っている事業の経験や、店舗経営・運営の経験なども、審査において重視されるポイントのひとつです。
金融機関としても安心できる相手に対して融資を行いたいと思っているため、これまでに経験のない事業を始めようと思っている場合には、審査で若干不利になる可能性があります。
実際に起業や店舗の開業を目指す前に、同業種のお店で働いて経験を積んでおくことも検討するとよいでしょう。
●資金使途
融資を希望している金額が妥当なものであるかという点も、審査の通過可否に大きく関わる要素です。
審査を受けるためには、購入・導入を予定している設備の見積書や、物件の家賃がわかる書類などを提示しなければなりませんが、それらの金額と自己資金の金額から、融資によって調達しなければならない金額のおおよその目安は判断できます。
その目安と融資希望額の間に大きな差異があると、計画を立てて事業・店舗運営を行っていく能力に難があると判断され、審査に落ちてしまう可能性が考えられます。
●返済方法
開業直後で利益があまり挙げられていない時期には、自己資金から融資の返済を行う形になりますが、それ以降は事業で得られた利益から返済を行うのが基本です。
そのため、事業や店舗運営から得られる利益によって、融資を受けた金額をきちんと返済できるかという点は厳しく確認されます。
返済に関する計画書を提出し、その計画が理にかなっているか、実現可能かなどが主な判断材料となります。
融資を受けるためには創業計画書の提出が必要
一般的に、融資を受ける際には事業計画書の提出が必要です。
しかし、開業時にはまだ事業の実績がないため、事業計画書ではなく創業計画書を提出することが多くなっています。
創業計画書に記載すべき項目として挙げられるのは、主に以下の通りです。
・ 創業の動機
・ 経営者の略歴
・ 取り扱い予定の商品やサービス
・ 予定している取引先
・ 必要な資金とその用途
・ 事業の見通し
創業の動機は事業に対する熱意を計る上で重要であり、経験やスキルなどを記載する経営者の略歴は、上述したように審査でも重視されるポイントです。
取り扱い予定の商品やサービスは事業や返済の確実性に関わってくる項目で、予定している取引先は、起業・開業する前からどの程度計画的に取引先や販路を確保できているかを判断する材料となります。
必要な資金およびその用途も審査における判断基準のひとつで、事業の見通しからは「どれだけ客観的に事業のことを把握できているか」が判断できます。
まだ不確実な内容を多く含むものではありますが、創業計画書をどれだけ具体的に記載できるかが融資可否の鍵を握ると言えるでしょう。
開業資金としてどれくらいの融資を受けられるか
融資を受けられる金額は一定ではなく、融資希望者によりケースバイケースです。
日本政策金融公庫の新創業融資制度の場合は、上限が3,000万円(うち運転資金は1,500万円)と定められていますが、上述したように自己資金として用意できている金額によって融資可能な金額の上限は異なります。
また、事業や店舗の規模や内容も判断材料になるため、希望している金額を借り入れられないケースも考えられます。
融資を受けるための対策
融資を受けられる金額は人それぞれ異なりますが、希望している金額の融資を受けられなければ、起業・開業が難しくなる可能性もあるでしょう。
希望している金額の融資を受けるための対策として、主に以下のことが挙げられます。
・ 自己資金の準備や通帳の管理
・ 保証人を準備する
・ 面談の準備をする
・ 複数の融資を受ける
それぞれの対策について、詳細を説明します。
●自己資金の準備や通帳の管理
上述したように、自己資金は創業資金の融資を受ける上で非常に重要な要件のひとつなので、十分な金額の自己資金を用意した上で融資の申し込みに臨む必要があります。
通帳の出入金をきちんとチェックし、不審に思われるお金の流れがないことを確認し、お金の出入りに関してはすべて説明できるようにしておきましょう。
●保証人を準備する
創業資金の融資は、保証人が必要な場合もあれば必要ない場合もあります。
必要ない場合でも、保証人を準備することで審査通過の可能性を高められることもあるため、融資を受けやすくしたいのであれば念のため保証人を準備しましょう。
ただし、保証人は返済が滞ったときに「代わりに返済を保証する人」という立ち位置であり、保証人だよりにならずに自分で返済を行うことが大前提です。十分に計画を練ってきちんと説明を行った上で、保証人に迷惑をかけることがないよう努めてください。
●面談の準備をする
創業資金の融資を受ける際には、必ず金融機関の担当者と面談を行います。面談の場では、創業の想いや今後のビジョンをしっかり語り、担当者に納得してもらわなければなりません。
また、資金を管理する能力があるとアピールするために、経営に関する各種数字に関しても理解していることが求められます。
創業計画書や返済計画表の内容をきちんと把握して、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
●複数の融資を受ける
ひとつの金融機関からの融資だけでは、希望している金額をまかなえない可能性も考えられます。そのようなケースでは、複数のところから融資を受けることで乗り切りましょう。
複数の金融機関から融資を受けることが難しいのであれば、補助金や助成金の活用やクラウドファンディングの利用なども検討することをおすすめします。
補助金や助成金を受けるには審査に通過する必要があり、クラウドファンディングはリターンを用意する場合もあるため、利用したい制度の詳細や返済の有無などを事前に確認することを忘れないでください。
参考記事:開業資金の融資審査は厳しい?落ちる理由や通るためのポイントについて解説
銀行などの金融機関から開業資金の融資を受けるためには事前準備が重要
開業資金を調達するために金融機関から融資を受けようと思っているのであれば、金融機関の融資審査に通過するための事前準備を行うことが大切です。
金融機関は、自己資金・スキル・資金使途・返済方法といった点を判断基準にして審査を行うため、これらをいずれもクリアできるように準備しなければなりません。
開業へ向けた準備を自分だけで行うのが難しいと思う場合は、開業準備を支援してくれる「canaeru(カナエル)」のようなサービスを利用しましょう。
canaeruでは、物件の取得や資金に関する相談を無料で受け付けています。canaeruを利用して、創業融資の審査に万全の状態で臨みたい方は、以下の公式サイトも参考にしてください。
ご相談はこちら
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
-
-
2024/12/02
-
2024/11/29
-
2024/11/29
-
- おすすめ記事
-
-
2024/10/24
-
2018/08/31
-
2018/07/13
-
2017/11/13
-
2020/03/04
-
2022/02/01
-
- 人気記事
-
-
2022/01/28
-
2024/07/23
-
2024/06/24
-
- canaeru編集部おすすめセミナー
- お役立ちコンテンツ
-
-
開業・経営に関する記事
飲食店を開業するには?必要な準備の4ステップをわかりやすく解…
-
先輩開業者の声
シェアキッチン型飲食店『shitagoya』がオープン!新た…
-
セミナー情報
【第9回】月刊食堂・通山編集長の外食経営塾|リーダーシップ論
-
セミナー動画
開業までの課題を解決する無料セミナーを動画で配信中!
-
店舗物件検索(首都圏)
ただいまの登録件数4,914件
-
店舗物件検索(大阪)
ただいまの登録件数654件
-
店舗物件検索(北海道)
ただいまの登録件数118件
-
店舗物件検索(東海)
ただいまの登録件数541件
-