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意外な盲点あり…飲食店開業における保健所での手続き、何をすればよい?

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メニューやコンセプトを決めたり、内装を考えたりといった飲食店の開業準備は楽しいもの。
でも、その準備の中で決して忘れてはいけない大切な作業が保健所など関係各所での申請手続き。地味な作業ではありますが、うっかり怠ってしまうと開業できなくなるなど最悪の事態も……。必要不可欠な開業手続きについてみていきましょう。

参考記事:飲食店の開業に必要なこととは?開業までの準備を紹介

飲食店開業には保健所での手続きが必要である

飲食店開業にあたって欠かせないのが、「飲食店営業許可」の取得です。
飲食店営業許可は管轄の保健所の審査を通過して得られるもので、基本的に店で調理を行った食品を販売する場合には、必ず取得しなければなりません。
また、飲食店営業許可の取得は食品衛生法で定められており、違反をした場合2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられてしまいます。

事前におさえておこう!営業許可の流れ

では、実際に営業許可を申請するためには何をすればよいのか。
その手順について追ってみていきましょう。

保健所への事前相談

施設基準に合致しているかなどを確認するために行う事前相談。
この時、設計図面など店舗内部の様子がわかるものを持参します。
事前相談のタイミングとしては内装工事の前がよいでしょう。

保健所への必要書類を提出

内装工事が完了する約10日前までに以下の必要書類を提出します。
また営業許可申請を行う際、同時に手数料を納める必要もあります
(金額は保健所によって異なりますが、16,000円~19,000円程度のところが多いよう)。

・営業許可申請書
・施設の大要・配置図
・登記事項証明書(法人の場合)
・食品衛生責任者設置届
・食品衛生責任者であることを証明するもの(食品衛生責任者手帳など)
・水質検査成績書(井戸水や貯水槽の水を使用する場合)

店舗確認検査

保健所の担当者が店舗施設の確認検査を行うため、その日程などについて打ち合わせを行います。
この検査は店舗の設備などが管轄の保健所が定める基準を満たしているかどうかをチェックするもので、店舗のオーナーもしくはその代理人の立ち合いが必要です。
施設基準に適合しない場合は営業許可が下りず、不適事項については改善し、後日改めて再検査を受けることになります。

営業許可書交付

施設基準に合致していることが確認できた場合、「営業許可書交付予定日のお知らせ」が交付されます。
営業許可書交付予定日になったらこのお知らせと認印を持参し、保健所で営業許可書の交付を受けましょう。交付までには数日かかりますので、開店日を決める時には注意が必要です。

営業開始

許可書が交付されたら、晴れて営業が開始できます。
食品衛生責任者の名札(10cm以上(幅)×20cm以上(高さ))を施設内に掲示することをお忘れなく。
また、施設等に変更を生じたり、廃業した際には、保健所まで届け出が必要です。

間違うと営業できない?…営業許可の種類とは?

食品衛生法第52条の規定により、公衆衛生に及ぼす影響の大きい営業として、飲食店営業をはじめとした34の業種については都道府県知事の許可が必要となります。
その業種ですが、まずは調理業(飲食店営業、喫茶店営業)、製造業(菓子製造業、めん類製造業、酒類製造業など)、処理業(乳処理業、食肉処理業など)、販売業(乳類販売業、食肉販売業など)の4つに分類され、そこからさらに法許可業種が34に分けられています。
これらの営業許可を取得するためには,その施設を管轄する保健所に申請を行い、その施設が各都道府県の条例の定める基準に適合する必要があります。
この34業種については東京など各自治体のホームページなどで一覧を確認できます。

まだまだ他にもある!開業に必要な免許や資格とは?

「調理師免許」がないと飲食店を開業できないのでは……?
このように考えている方は少なくありません。
実はこれは誤った認識です。
そもそも開業時に必要なのは、店舗において食中毒や食品衛生法の違反が起きないように管理・運営をする「食品衛生責任者」の資格。食品を扱う営業を行う場合、営業許可を受ける施設ごとに1名以上、食品衛生責任者を置かなければならず、この資格がないと営業許可書を受けることができません。
食品衛生責任者は管轄の保健所で定期的に実施される講習とテストに合格することで取得可能。講習は1日で終了し、費用も1万円程度で済みます。

また店舗の収容人数が従業員を含め30人を超える場合は、火災発生の予防と火災が起きたときの対応を中心となって実践する「防火管理者」を少なくとも1人選定する必要があります。
店舗の延床面積が300平米以上の場合は「甲種防火管理者」、300平米未満の場合は「乙種防火管理者」と呼ばれ、店舗所在地を管轄する消防署で開かれる講習を受けることで、これらの資格を取得できます。
受講費はテキスト代として3,000~5,000円程度、講習期間は通常、甲種は2日、乙種は1日となっています。

絶対に忘れてはならない!保健所以外の手続き

飲食店の営業に関しては、保健所への申請以外にもさまざまな手続きが必要。
開業時に必要な申請についてまとめます。

関連記事 飲食店を起業!必要な手続きや書類をまとめて解説
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消防署

先述の「防火管理者」以外に申請が必要なのは次の通りです。
建物や建物の一部を新たに使用し始める場合は、「防火対象設備使用開始届」を使用開始7日前までに届け出ます。
内装業者が行ってくれるケースが多いようですが、届出が必要かどうか、所轄の消防署に問い合わせてみましょう。
「火を使用する設備等の設置届」は、火を使用する設備を設置する店舗が該当。
カフェなら必要となるところが多いでしょう。
設備設置前までに届け出るようにしてください。

税務署

個人で店を経営する場合、つまり個人事業主であれば「個人事業の開廃業等届出書」が必要です。オープンから1カ月以内に提出しましょう。
法人を設立するのであれば「法人設立届出書」を設立2カ月以内に提出することが求められます。
また、法人設立届出書は税務署以外に、都道府税事務所と市町村村役場(※東京23区を除く)に設立後1カ月以内に提出します。

労働基準監督署

社員を雇う場合は「労災保険」の加入手続きが必要。
業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。
雇用日の翌日から10日以内に行いましょう。

公共職業安定所

社員を雇う場合、もう一つ必要なのが「雇用保険」。
雇用日の翌日から10日以内に加入手続きをします。
アルバイトやパートのスタッフの加入に関しては、「1週間の労働時間が20時間を超える」「31日以上継続して雇用される」という、2つを満たす必要があります。

社会保険事務所

店の名義を法人にした場合は「社会保険」に必ず加入しなければなりません。
この時、従業員がゼロであっても加入は必須です。
ちなみに個人事業主でも5人以上の従業員を抱えていれば、社会保険への加入義務づけられていますが、これは一般企業であるケース。
飲食店の場合は社会保険加入義務のある法廷業務とみなされていないため、個人事業主でも社会保険に加入するかどうかはオーナーの裁量で決めることができます。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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