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例えば、会社員を辞めて独立開業する場合、「資格」を持っていると選択肢が増えたり、独立開業に有利だったり、また、資格があることで経営が成功する可能性があります。
また、独立開業のために資格が必須な事業もあり、これは、確実に取得する必要があります。
独立開業に向けて、業態をまたがる場合、例えば、今はやりの「ヘアサロンとカフェが一緒になっているお店」や「美容関連と健康関連のサービスを一緒に提供するお店」など、資格はどのように取得すればいいのでしょうか。目次
まずは抑える!独立開業に必須の資格とは?
新たに事業を始める際に、「業務独占資格」や「必置資格」という資格が定められている事業で開業する場合には、資格取得は必須です。
業務独占資格とは、「ある業務対して、定められた資格を有する者のみが事業をおこなうことができる」と法令が定められている業務を行う場合に、必要な資格です。
分類される事業や職業としては、医師、司法書士、弁護士、税理士、土地家屋調査士、公認会計士、不動産鑑定士、行政書士、建築士、薬剤師、はり師、通関士などがあります。
必置資格 とは、一定の事業場等において、有資格者を管理監督者などとして配置することが義務付けられているものをいいます。
分類される業務や職業の例として、美容室における管理美容師、飲食店やスーパーにおける食品衛生管理者、老人ホームにおける介護支援専門員などがあります。
そのほか、安全管理者、清掃作業監督者、クリーニング師、医療用具販売管理者、保育士、訪問介護員、など必置資格も多岐にわたります。開業における資格取得の目的と資格不要の事業例
「事業を行う許可を得るために必要な取得する」のが、開業のために資格取得をする目的です。先ほど紹介したとおり、業務独占資格や必置資格が必要な事業であれば、開業前に資格を取得しなければなりません。
しかしそれ以外の業種の場合には、「資格はあっても良いが無くても開業はできる」という開業の可否に直接関わらない事業もあります。
そのような事業の場合、持っていると有利に働くのが実務経験です。
実務経験や持っているスキルを活かして開業できる事業には、塾や語学教室などの運営、ネットショップ、代行サービス、Webデザイナーやプログラマー、コンサルタント、雑貨店やセレクトショップなどといった業種があります。
実務経験や持っているスキルを活かして開業できる事業の中でもコンサルタント業は、会社員時代の実務経験や人脈を活かすことができる事業の代表格といえます。
シニア起業家として、経済産業省の中小企業白書 内でも紹介されている、株式会社イーズ・グループ代表の古舘博義さんのケースは良い実例です。
国際的な大手電機メーカーの社員として34年間勤務し、そこで培ったノウハウと実務経験、企業ネットワークを活かして、企業間のマッチング(取引先や共同研究開発先を紹介する)サービスを提供するコンサルティング会社を経営し活躍されています。
このように資格が不要の事業であれば、開業自体はすぐにでも可能ですが、事前に準備しておくべきこととして「見込み客の形成や販路の開拓」「開業のための自己資金の貯蓄や資金調達」「財務・税務・法務に関する知識」「従業員の教育や育成をどのようにするか」などがあります。
これらの項目は、開業後に多くの経営者が苦労することとしても挙げられており、できる限り開業前に準備することをおすすめします。業種別でみる開業に必要な資格とは?
飲食店
飲食店を開業する場合に必要な資格に「食品衛生責任者」「防火管理者」があります。
食品衛生責任者は、各都道府県の食品衛生協会が開催している講習を受講した人で、公衆衛生学や食品衛生額などを勉強します。11店舗につき最低11名の有資格者を設置する必要があります。
保健所に店舗の営業許可申請を出す際には、資格取得後に交付される食品衛生管理者手帳などを提出するため、開業する33ヵ月ほど前には取得しておくと良いです。
取得期間は11日、費用は10,000円で食品衛生協会から申し込むことができます。
(2019年7月調べ)
防犯管理者 は、多数の人が利用する建物などの「火災による被害」を防止するため、防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理上必要な業務(防火管理業務)を計画的に行う責任者をいいます。
収容人数が30名以上の店舗規模の場合に必須の資格です。
日本防火・防災協会から申し込み可能であり、店舗規模が延べ面積300平方メートル未満の乙種講習であれば、取得期間は11日、費用は6,500円です。延べ面積300平方メートル以上の甲種講習では、取得期間は22日、費用は7,500円です。(2019年7月調べ)
また、飲食店開業で気になる資格に「調理師免許」の有無があるかとおもいます思いますが、調理師免許は基本的に必須ではありません。
ただし、免許がなければ「調理師」と名乗ることはできません。
また調理師免許を所持している場合には、食品衛生責任者の講習が免除されます。法務・財務関連事務所
法務・財務関連事務所を開業するためには、開業する業務に関する士業資格を取る必要があります。具体例としては、公認会計士・弁護士・弁理士・司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士などがあり、開業をする経営者自身が資格保持者である必要があります。
士業資格を取得する際に必要な期間や費用において、比較的難関といわれるのは「公認会計士」や「司法書士」です。公認会計士の勉強時間 は5,000時間前後で、予備校などにかかる費用 はおおよそ60万〜200万円程度です。
受験料は合計47,500円です。(2019年7月調べ)
試験情報は公認会計士・監査審査会から確認できます。
司法書士の勉強時間は3,000時間前後で、予備校などにかかる費用 はおおよそ20万〜55万円程度です。受験料は8,000円です。(2019年7月調べ)
試験情報は法務省・司法書士のHPから確認することができます。
また、比較的難易度が低いといわれる士業に「行政書士」がありますが、勉強時間はおおよそ500〜800時間で、費用 はおおよそ6万〜20万円程度で、受験料は7,000円です。(2019年7月調べ)
試験の情報は財団法人行政書士試験研究センターから確認できます。
士業の資格取得の費用は勉強をする学校や予備校、また通学か通信によってもその価格は大きく変わるため事前によくリサーチをしましょう。不動産関連の事業
不動産屋、不動産鑑定事務所、土地家屋調査士事務所といった不動産関連の事業を開業する際には「不動産鑑定士」「土地家屋調査士」「宅地建物取引士」が必要です。
不動産鑑定士 は、地域の環境や諸条件を考慮し「不動産の有効利用や適正な時価」の判定・判断ができる専門家です。この資格を取得することで、公共用地の取得、相続税標準地の評価、固定資産税標準宅地の評価、裁判上の評価といった鑑定評価ができるようになります。
また、不動産に関するコンサルティング業務も可能となります。
資格取得にかかる勉強時間 はおおよそ2,500〜4,000時間です。
費用は書面申請13,000円、電子申請12,800円です。(2019年7月調べ)
試験情報は、国土交通省の土地・建設産業局地価調査課鑑定評価指導室から確認できます。
土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記の専門家であり、依頼を受けて土地や建物に関する調査や、図面の作成や不動産の表示に関する登記の申請手続などをおこないます。
資格取得にかかる勉強時間 は、おおよそ1,000〜1,500時間です。
費用は8,300円です。(2019年7月調べ)
試験情報は法務省・土地家屋根調査士から確認できます。
宅地建物取引士 は、土地や建物の売買や交換、賃貸といった取引に関する実務と法律上の専門知識を持ち、取引が公正におこなわれているかを判断することができます。
宅地建物取引士になるには、試験の合格にくわえて実務経験が22年以上必要であり、経験がない場合は「登録実務講習」を修了する必要があります。不動産屋では、この有資格者を55人につき11名設置しなければなりません。
資格取得にかかる勉強時間 は、おおよそ150〜300時間です。
試験は11日、費用は7,000円です。
登録実務講習が必要な場合は、通信講座11ヵ月、演習・修了試験22日間受け、費用21,000円です。(2019年7月調べ)
試験情報は、一般社団法人・不動産適正取引推進機構確認できます。美容関連
美容院、理容室を開業するためには、「美容師」「理容師」「管理美容師」といった資格が必要です。
美容師は、頭髪のカットに加えカラーやパーマ、トリートメント、メイクアップといった容姿を美しくするサービスを提供することができます。
美容師は、原則カミソリを使用することはできないとされていますが、厚生労働省によると、化粧の一部のように産毛を軽く剃るといった行為は認められています。美容師になるには、専用の養成所や専門学校へ通い、国家試験に受かる必要があります。
理容師は、頭髪の刈り込みや顔剃り等によって容姿を整えるサービスを提供することができます。
理容師は、カミソリを使用してお客様にサービスを行なうことが可能ですが、パーマをかけることはできません。
理容師になるには、理容師のための養成所や専門学校へ通い、国家試験に受かる必要があります。
勉強期間は、美容・理容ともに専門学校であれば22年間、通信制では33年間です。
理容室で働いて技術を習得しながら勉強をするという人は通信制を選択する場合もあります。費用 は、22年制の学校であればおおよそ200万〜300万円、通信制はおおよそ100万円以下あたりが目安です。
美容系の学校に関しては、費用の幅が学校によってだいぶ異なるので事前によくリサーチすることが大切です。
管理美容師は、美容室経営をする際に、美容師の従業員が22人以上となる場合に取得する必要があります。管理美容師は、その美容所を衛生的に管理する者であり、美容師免許取得後の3年以上の実務経験と厚生労働大臣が定める講習を修了しなければなりません。
資格取得にかかる期間は講習33日間(18時間)、費用は18,000円です。(2019年7月調べ)
資格情報は公益財団法人理容師美容師試験研修センターから確認できます。健康・医療関連
病院、鍼灸院、接骨院、整骨院を開業するためには、「医師」「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゆう師」「柔道整復師」の資格が必要です。
医師 は、医療および保健指導を司る医療従事者であり、医学に基づいて患者の治療や病気の予防、健康診断、検診などを行い、それぞれ小児科、内科、外科、消化器科、精神科、皮膚科といった専門の分野を持っています。
勉強時間は、医学部のある大学に入学するまでに4,000〜5,000時間、医学部に入学してからは大学に最低66年間通います。
その後、国家試験を受けて免許を取得した後は、研修医として22年間臨床経験を積むことが必須です。
費用の目安は、国立は66年分でおおよそ360360万円ほど、私立校では学校によってだいぶ差がありおおよそ2,000万円〜4,600万円あたりが目安で、受験料は15,300円です。(2019年7月調べ)
試験情報は、厚生労働省・医師国家試験の施行についてから確認できます
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師は、医師以外の人が「あん摩マツサージ指圧師・はり師・きゆう師」として開業をする際に必要な資格であり、きゆう師 国家試験に合格し、東洋療法研修試験財団から発行される「厚生労働大臣免許保有証」を所持する必要があります。
勉強期間は専門学校で33年間、大学であれば44年間必要です。
費用は、専門学校でおおよそ400万〜550万円、大学の場合はおおよそ500万円〜650万円以上が目安で、受験料は11,600円です。(2019年7月調べ)
試験情報は、公益財団法人東洋療法研修試験財団で確認できます。
柔道整復師 は、ほねつぎや整骨師として知られており、外傷性の原因によって発生する骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などを手術をしない「非観血的療法」によって治療し、人間の持つ治癒能力を最大限に発揮させる施術を行います。
柔道整復師は、整骨院や接骨院を開業をする他にも、病院勤務やスポーツトレーナーとして働くことも可能です。
勉強期間は専門学校で3年、大学であれば4年必要です。
費用 は、専門学校でおおよそ300万〜500万円、大学の場合はおおよそ360万円〜690万円あたりが目安で、受験 料は16,500円です。(2019年7月調べ)
試験情報は、日本柔道整復師会から確認できます。独立開業と資格取得の考え方
業務独占資格、必置資格が必要な事業での開業を検討している場合は、開業準備の第一段階として、資格取得の勉強を始める必要があるのは、言うまでもありません。
勉強期間と試験や講習期間を考慮すると、それなりの時間が必要となるので、計画的に準備を進めることが大切です。
また、資格が必要のない事業の場合は、必要な資金や人脈の確保に向けて行動を起こすことはもちろん、その事業に関するリサーチやセミナー参加、または先人の経験談を聞くなどの情報収集をできる限り行うなどに時間を割いていくのがよいでしょう。
また、「儲かりそうな業態の資格を取得する」という打算的な考えは、実際の開業後の経営が難しくなりやすい…という話しも聞きます。
経営はできても、現場…つまりお客様と相対するスキルや実務の不足が、廃業へ追い込む可能性が高いのです。
本当に自分が「現場として」やりたい事業、業態の資格を取得することがベストである、という理解を忘れずに。
参考記事:独立開業におすすめの仕事19選!資格や成功するためのポイントについても解説この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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