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真空パック包装による食材保存について解説します。
多くの飲食店経営者の悩みのひとつが、廃棄食材による経費のロスではないでしょうか。
料理として提供できないので、コストパフォーマンスが下がり、ごみ処理の経費も掛かってしまいます。
2020年、新型コロナウイルスによる自粛の要請で、飲食業は大きな変化を迫られる結果となりました。
テイクアウトやデリバリーの需要が一気に増え、また、営業の自粛によって食材仕入れの難しさが浮き彫りになっています。
また、ここ数年、一部でと取り上げられていたフードシェアはなかなか困難な状況に。
食材ロスと保存、そして、衛生の関係性はより結びついて検討しなければならない事項となり、それは、もはや経営戦略とも言ってもいいでしょうか。
ここでは、食材の真空包装の基本とともに、衛生面、お店の営業や経営についてもまとめます。「真空包装機」ってどんなもの?
真空包装機は食材や調理済みのメニューを専用の袋に入れて、専用器具で真空にする器具のこと。
食品が傷む原因は空気との接触による酸化と、細菌の繁殖による腐敗が挙げられます。
食材を真空パックにしてから冷凍保存すれば、酸化や雑菌の繁殖を防ぎ、鮮度や味を落とさず長期保存が可能です。
真空包装機の機種によっては、中の空気量の調節や、不活性ガスの封入など、さまざまな機能があります。
真空包装機は、ノズル式とチャンバー式の大きく2つに分類されます。それぞれの違いを見ていきましょう。ノズル式
ノズル式とは、袋の口の部分にノズルを差し込んで、袋の中の空気を脱気した後に密閉するタイプです。
短時間で脱気できるのがメリットで、袋の口の部分のサイズさえ合っていればどんなサイズのものでも真空パックにできるのが特徴です。
また、価格も比較的安価であるため、手軽に導入しやすいのもメリットと言えるでしょう。チャンバー式
チャンバー式とは、真空状態を作るチャンバーという箱の中に食品を入れた袋を設置して蓋を閉めて箱の中を真空にすることで、袋の中の空気も真空になり密閉が完了するタイプです。
ノズル式と比べると、高い真空状態にできるほか、脱気する際に袋の中の液体が外に漏れる心配がないことがメリットです。
一方で、ノズル式と比べると包装に時間がかかってしまうことがデメリットと言えます。
食品の真空包装は、ノズル式とチャンバー式のどっちでも問題ないため、予算や使いやすさなどに合わせて選ぶようにしましょう。真空パック包装のさまざまなメリット
食材保存のメリット
真空包装でのメリットは何といっても食品の味を落とさずに長期保存できること。
形を崩さずに保存することで、長距離輸送の際に破損するリスクも軽減できます。
また、食材の仕入れでは、まとめ買いによるマージンで仕入れ値を抑えられる場合がありますが、生の肉や魚は、そのまま冷凍保存しておくと味が落ち、提供する料理の品質にも影響が出てしまいます。
しかし、新鮮なうちに真空パックしておけば、冷凍しても味を落とさず、食材を有効活用できます。経営面でのメリット
飲食店で頭の痛い所は、曜日などによって来客が一定しないところでしょう。
金曜の夜から週末にかけては混むけれど、平日は比較的空いているというところが多いなど。
また、急に大人数での予約が入った場合、仕込みや調理時間、人手、食材などの不足で泣く泣くお断りする事態も想定できます。
そんな時、食材や仕込みの済んだ料理を、真空パック包装で保存しておけば対応可能な場合があります。
多めに仕入れたのに痛んで無駄になってしまったということはもちろん、食材そのものを無駄なく使いきることにも有効。
切り落としの肉や出汁に使う魚の頭、肉の端の部分などを真空パックで保存しておけば、後日の仕込みにも活用できます。店舗営業のメリット
真空包装では調理済みの食材も保存できます。
ビーフシチューなどの手間のかかるメニューや、比較的注文の多いカレーなどは、大量に作ったあとに小分けにして真空パックしておけば、味を落とすことなくお客様に手早く提供できるのです。
そのため、サービスの提供スピードや回転率の向上に繋がります。また、真空パックでの保存なら、調理者が厨房にいなくても、お客様に安定した味の料理の提供が可能となります。
食材ロスの防止に加え、人件費の削減や調理者の急な欠員が出ても、お店の営業が可能だということです。真空パック保存と衛生面について絶対知っておくべき3箇条
比較的、細菌の発生しにくい真空包装保存ですが、絶対安全という訳ではないため、衛生面での配慮が必須です。
真空の環境下で繁殖する細菌も存在するため、衛生管理は徹底しすぎるということはありません。
いくら真空パック包装を使うといっても、最低限、以下の3点の衛生管理を意識しましょう。調理後に室温で放置しない
器具や調理台はこまめに除菌
真空保存の際は使い捨てのビニール手袋を装着
真空包装の種類は主に3種類
真空包装は主に以下の3種類に分けられます。
真空パック
専用器具でフィルムの中の空気を抜き、真空にするシンプルなタイプ。
真空にすることで酸化や雑菌の繁殖を防ぎ、食材の変色や腐食を防止します。
減圧して体積が縮小するため、かさばらず、運搬時の振動の影響も小さいと言えます。
主に生鮮食品や加工食品、嗜好品など、幅広い食材に対応していますが、生野菜や柔らかい食品などは不向きです。ガスパック
フィルムの中を真空にしたあと、窒素ガスや炭酸ガスなどの不活性ガスを封入します。
空気の代わりに不活性ガスを封入することで、酸化やカビを防止し、ガスがクッション替わりになるため、柔らかい食品も形を崩さず保存できます。
そのため、カステラ類やお茶の葉、生麺、スライス肉、ナッツ類、干しシイタケなどの食材の保存に向いています。脱気パック
食品の種類に応じてフィルム内の残存空気の量を調節するタイプです。
パックに要する時間が非常に早く、保存に多少の空気が必要な食材の保存にも使えます。
空気量の調節により、形が崩れやすい食材の保存も可能です。そのため、生野菜や果物、カット野菜、焼売、餃子などの保存に最適です。真空包装する際の注意点
真空包装を活用することによって、運用コストが抑えられる、回転率を上げることができるなどのメリットがありましたが、真空包装を行う際には気を付けなければならないことがあります。
それは、脱気のしすぎと揚げ物の真空包装についてです。
どんな点に気を付ける必要があるのかについて見ていきましょう。脱気のしすぎに注意
強めに脱気を行った場合は、袋の中にある食品が潰れてしまったり、冷凍した肉や魚などを解凍する際にドリップが多く出てしまったりするので注意が必要です。
ドリップが生じる原因は、強く脱気することによって肉や魚などに強い圧力がかかって潰れてしまい、水分が押し出されるためです。
冷凍前の食材にドリップがなくても、冷凍や解凍によって、食材の組織が緩んで水分が押し出されやすくなるので注意しましょう。揚げ物の真空包装は潰れないか確認
肉や魚、スープなどの液体、ペースト状の食品などは、脱気しやすいため真空包装に向いていると言えます。
一方で、揚げ物や焼き物、点心といった立体的な食品は、脱気することで潰れてしまう可能性があるので、真空包装に向いているとは言えません。
「それでは商品を真空包装できない…」という場合には、揚げたり焼いたりする前の素材の段階で真空包装すると、形状を気にせずに真空包装することが可能です。
また、揚げたり焼いたりした後に、一度冷凍して真空包装するという選択もあります。
揚げ物や焼き物を真空包装する場合には、うまく工夫する必要があると言えるでしょう。まとめ
真空パック包装は使い方によって運営コストをグッと抑えられる可能性を秘めています。
また、お店によっては調理した食品を真空パックし、ネット通販などに活用しているところもあります。
使い方次第で利益にも繋げられるため、購入の際は用途に合わせた機能が付いたものを選びましょう。【焼肉屋】の開業方法はこちら≫「焼肉屋を開業するには?開業資金や準備、繁盛するための対策とは?」
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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