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【小阪裕司コラム】第132回:お客さんに声をかけるだけでも

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

声をかけたらリピーター率アップ!

 今日は「声かけ」というささやかなことが、リピーターを着実に増やすというお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、キャンプ場経営者からのご報告だ。
 彼はあるときこう考えた。「キャンプ場だって宿泊施設なのだから、旅館みたいにお客様全員に挨拶して回ってもいいんじゃないだろうか」。そのとき彼がイメージしていたのは、旅館で女将が各部屋を回って挨拶する、あの感じだった。
 そこで、ミーティング時にスタッフに話してみると、「は?キャンプ場で声かけするんですか?」「何かきっかけがないとそれはちょっと・・」「静かに過ごしたい人にとっては不愉快だと思います」などの反対意見が。
そこでまずは一人でやり始めることに。とはいえ彼自身、それまで一切やったことがないこと。試しに何度も利用している方から始めたそうだが、それでもガチガチに緊張し、お客さんの中には「何か注意されるのか?」と怪訝な顔をされる方もおられたとのこと。
 しかしそれも続けていくと慣れてくるもの。お客さんからも、「声をかけてくれて嬉しかった」「他のキャンプ場ではあり得ない」など喜びの声が増え、対象者を徐々に増やし、ついに昨年から、当初の目標だった、来場したお客さんすべてに声をかけるようになった。
 それはどんな結果をもたらしただろうか?
2020年、こういったことをまったく行っていなかった頃の同キャンプ場の、1年間の利用者の中でリピーターが占める割合は19%。しかし、声かけを行っている現在は38%。着実にリピーターは増え、効果は上がっている。
彼は言う。「正直言って以前は『そんなやぶへびなことをして苦言を呈されても困るしな』という懸念から、むしろ会話を避けていたフシもありました。しかし次第に声かけの重要さが身に染みて分かるようになり、結局今ではご来場いただいた全員に声かけするようになりました」。

ささやかなことが、リピーターを増やす妙策にもなり得る

 出会ったお客さんに声をかけない。その後も何もコンタクトしない。そういう会社やお店も増えているように思う。もしかするとそれは、「そんなやぶへびなことをして」と、かつての彼のような考えが背景にあるのかもしれない。しかし逆に、「声をかける」だけのささやかなことでも、リピーターを増やす妙策になり得るのである。

この記事の執筆

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者_小阪裕司

博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者

小阪裕司

1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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