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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
お客さんの「買いたい」のスイッチ
今回は、お客さんに何を言えば「買いたい」の気持ちにスイッチが入るのか、のお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の美容サロンからのご報告だ。
店主の近年のテーマは「物販をいかに伸ばすか」。というのも、施術が中心の業種だけに、自分の技術や使う化粧品などの知識については徹底的に学び、高めて来た。しかし自店で使用している化粧品などの品質の良さは分かっているものの、なかなか販売に結びつけられないでいた。かつては店内に何となく商品を並べていただけで、POP(店頭販促物)もプライスカードもついていなかったのだ。ワクワク系に取り組み始め、施術前後にお客さんが座るソファー前のテーブルにパンフレットを置くなど始めてみたが、さらにしっかり販売に結び付けたいと、取り組みのギアを一段上げることにした。
対象商品は、自分が6年使っていてとても良い商品だと思っている化粧品。中でもまずは洗顔料に注力することにした。そこでポイントになるのが「お客さんに何を言えば『買いたい』の気持ちにスイッチが入るか」だ。店主は考えた。この洗顔料はジェル状で泡立てる必要もなく、そのまま顔に付けてすぐにすすげば汚れは落ち、必要な潤いは保ってくれる。この、簡単・時短でもある点は価値ではないか。そこで、POPで「たった5秒で洗顔できます!」「面倒な泡立て不要で、忙しい朝にいいですよ!」と訴求してみた。
しかし始めて4週間、お客さんからの反応はまったくなかった。この訴求では「買いたい!」とはならなかったのだ。店主は再度、別の角度から考えてみた上で、まったく訴求点を変えて、自分が6年使っていることを訴えることにした。具体的には、POPなどでこう語りかけた。「誠に申し訳ございません。私が6年も使い続けている素晴らしい化粧品があるにもかかわらず、皆さんにきちんとお伝えできていませんでした」。お客さんの「買いたい」スイッチは訴求ポイントでこうも変わる
お客さんは、これには大きく反応した。そしてさらに改善を加え、3ヶ月で、本商品はそれまでのおよそ4倍売れるようになったのである。
この実践からは基礎的ながら大事なこと、見落としがちなことが学べる。最初の訴求と次の訴求の違いは何だろうか?今回大きな反応に結び付いたのには「お客さんに何と言うか」に加えて決定的な要素があったが、それは何だろうか?そして店主が加えた改善とは。続きは次回に。この記事の執筆
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
小阪裕司
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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