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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
「出会ったら、つながる」を実践した結果…
あなたの会社やお店には、お客さんから贈り物が届くだろうか?お客さんが購入したものより高い金額の贈り物が届いたらどうだろうか?今回は、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員企業からの、そういうご報告。
ある日この会社にお客さんから菓子セットが届いた。報告にはその外観の写真も載っていたが、たいそう立派な箱詰めのもの。価格にして3千円くらいはしそうなものだ。近年、お客さんからお礼のお手紙やメールなどはしばしばいただけるようになった同社だが、さすがにこのような立派な贈り物は珍しい。そこで、どんなお客さんなのかを確認して驚いた。この方は同月初旬に、電話でご注文いただいた方なのだが、今回が初めてのお買い物。しかも、お買い上げ金額は1280円の方だったのだ。つまり、お買い上げいただいた金額よりずっと高い金額の贈り物(+送付料)が届いた。これには、今回報告をくださった同社専務も、「一体全体何が起きている?」と大いに驚いたとのことだった。
では、彼らはそのお客さんに何をやったのか。何か特別なことをして、それに感激したお客さんがお返しにこういうことをしたのだろうか?
同社はワクワク系を実践しているゆえ、ワクワク系のセオリーに則って、「出会ったら、つながる」を実践している。ワクワク系にはそのための基礎手法があり、調べると、このお客さんにも、通常通りそれを行っていた。具体的には、同社では次のようなものだ。お買い上げいただいた商品を送る際、商品に手書きのメモと、自社および専務らの「自己紹介レター」を同梱する。次に、10日後に手書きのメッセージを添えた「感謝」と大きく書かれたハガキを送る。さらに20日後に、われわれが「ミッションレター」と呼ぶ、先の自己紹介レターより少し踏み込んで自社の思い・考えなどを綴ったレターを、手書きの一言メモと共に送る。行ったことはそれだけ。ワクワク系的には特別なことではない。しかし結果として、同社にとっても特別なことが起こったのである。人と人とのコミュニケーションには大きな力がある
こうした人と人との、人間らしい、温かいコミュニケーションには、これほどの力がある。そして一方で、このお客さんが、自分が買ったものよりずっと高い金額のものを送りたくなるほど感激したであろう事実は、それほどに、こうしたことを行う会社が少なく、普段の買い物とのギャップの大きい感動体験だったことも物語っている。大いに考えさせられるエピソードである。
この記事の執筆
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
小阪裕司
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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