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【小阪裕司コラム】第105回:思い込みに気づいて前年比6倍に

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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

アピールの見直しで売上UP

 今日は、あなたのお客さんは、もしかするとあなたが売っているものを知らないかもしれない、というお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、食品卸業を営む会社の社員さんからのご報告だ。
 あるとき、同社の社長から彼女たちに、次のような指令が下った。「自社・自店の活動の中で、何か思い込みに囚われて見直していないものがないか、あれば一言で価値化できるものがないか、当社の勝手な思い込みはないか考えてみましょう」。
 そう問われて社内で意見を出してみると、多くの「思い込み」が書き出された。そこでその中のひとつ、「(わが社は)八百屋じゃないけど野菜も売っていることをお客さんは知っている」の思い込みに挑戦し、扱っている野菜を改めてアピールすることにした。同社は特に魚の扱いで知られている会社ゆえ、である。
 折しもいちじくが入荷したところだったことから、これをアピール。具体的には、チラシを作り配達の際に手渡しする、店頭では発砲スチロールの箱の蓋に「いちじく入荷しました」と書きお客さんが通る通路に置く、インスタグラムでも入荷したことを伝えるなどのことを行った。
 するとお客さんからは、「こんなの売ってたの?」「今日入荷したんか!」「おたくはいつ八百屋になったの?」「インスタに載ってたやつください」などと言われ、いちじくの売上は前年の3倍に!そこで気を良くした彼女たち、次に自慢の舞茸が入荷して来たことから、これにもチャレンジ。いちじく同様のアピールを行った。
 すると早速、「これは、いつ入荷するの?予約できる?」と大人気。たまたま他県から買い付けに来ていたお客さんはこの舞茸を見て、「どうしたのこれ!?めちゃくちゃ良いね!」と大興奮。やはりその後には「いつおたくは珍味屋から八百屋になったの?」と言われたとのことだが、売上は前年比6倍。上々の成果となったのである。

お客さんからの信頼があってこそ施策が光る

 ここでの学びはズバリ、どの会社にもこういう思い込みがあり、改めてアピールすることが成果を生むということだ。そしてもう1つ大事なことがある。彼女たちは今回の成果を、八百屋ではない同社から舞茸などを買ってくれただけでなく、値段を聞かずに買った方や、口頭の説明だけで現物を見ずに買った方もいたことから、いかに同社が信用されているかが分かったと言うが、これは重要なポイントだ。日頃の信頼に足る商いの上にこそ、今回のような施策が光るのである。

〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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