全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
ホームページにも変化をもたらす、ワクワク系的な視点
今回は、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の、ある卸業での事例。新規客向けの自社ホームページ(以下、HP)の見落としていた点を、ほんの少し改善しただけで注文件数が3倍以上に伸びたお話。
同社では法人の新規客はHPからの問い合わせが99%。検索してHPを見てから電話で問い合わせ、という流れになることが多いのだが、今回、この流れをよりスムーズにすることを考えた。
1日にアクセス件数が2千件はあり、これを倍の4千件にすることは簡単ではない。しかし、HPを来訪してくれた方が次に電話で問い合わせする割合を倍にすることはできるのではないかと、その点をワクワク系的に改善することを考えた。
そういう視点でHPを見ていると、問い合わせフォームのあるくだりに目が留まった。そこには何気なく「お急ぎの場合はこちらからお電話ください」とあり、続きの文中に小さく電話番号が書いてある。以前は気に留めていなかった点だが、ワクワク系的に見ると、お急ぎの方以外は電話してくれなくていいようにも読める。そもそも、新規客には電話で問い合わせしてくる方が多いにも関わらず、だ。しかも「お急ぎの場合」とは誰に対して言っているのかも不明瞭だ。
そこでこの点を軸に改善することにした。まず電話番号の位置を文中から移動させ、大きく表示。誰に対して伝えたいのかも明確にして、大きく「検討中の企業様へ」と表示した。さらには、「電話の際はHPを見た、と言っていただけるとスムーズに対応可能です」と具体的に表記、電話の受付時間も表示した。HPの改善と言ってもこれだけのことだが、これだけで問い合わせ電話の件数は増え始めたのである。
そこで、HP上の他の同様のポイントも次々と改善。その結果、問い合わせ件数が大幅の増加となり、それに伴い注文件数も増え、3倍以上の増加、もちろん売上も増加となったのだった。
ビジネスの相手は人間である
ワクワク系のメソッドには「行動のガイド」というものがある。文字通りお客さんが行動しやすいようにガイドしてあげるものだが、この点は意外と見落としやすく、同社の場合もアクセス件数の増加など、マーケティング的にいかにも目が向きやすいところに懸命になっていた。しかしビジネス、常に相手は人間。こういう点の改善で、お客さんの行動は大きく変わるのである。
〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
