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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
お客さんは「人」を見ている
前回、お客さんに何を伝えればあなたの会社・お店が選ばれるかというお話を、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員のリフォーム店を題材にお伝えした。
お客さんが店主に言った一言は、「葉っぱの写真投稿をいつも見ていたら、きっといい仕事をしてくれそうだ、と感じたんです」だった。この業界でもとかく「安さ」が強調されるが、このお客さんが店主を選んだ理由はそこではない。この言葉から推察するに、1つには「美的センス」のようなものがあると思われる。
業務が業務だけに、美的センスがどうか、そのセンスが自分の感性と合っているかどうかは、お客さんにとって重要な“選ぶ基準”であることはうなずける。もちろん業界でもそこを考え、多くの会社では施工事例を発信しているし、店主ももちろん、自店のHPに施工事例を掲載していた。しかしこのお客さんがセンスを感じたのはそこからではない。「葉っぱの投稿写真」からだ。ここがこの事例のさらに学びになる点だ。
「美的センス」は数値化されないし、免許や等級があるわけでもなく、どこの会社・お店にセンスがあるかははっきりしない。しかしお客さんにとっては重要な判断ポイントゆえ、お客さんは何かでそれを判断しようとする。
それが「葉っぱの投稿写真」なら、まずは写真そのものがセンスを物語るし、店主がどんなものを美しいと感じるかも分かる。また、義務でも業務でもない投稿を続ける店主の、こういうことに対する姿勢も分かる。お客さんが見ているのは施工事例から分かる技術やセンスのレベルだけでなく、店主がどんな人間で、どんなことに興味を持ち、自分の家を手掛けてもらうときどんなやり取りができ、何をやってくれそうな人なのかなど、つまりは「人」なのである。自己開示をきっかけに選ばれることもある
店主も言う。「意図的、意識的につくり込んでいくブランディングのような、いわゆる一般にいうところの『世界観』も大切ですが、自分の好きなコトや無意識に表現している『世界観』というのは、意図的な手が加わっていないので、究極の自己開示といえるのかもしれませんし、むしろそちらの方が大切なような気がしました」。
お客さんに選ばれるために何を発信すべきか。お客さんは何を見聞きして、何を期待し、あなたから「買う」ことを決断するか。この機会にぜひ考えてみていただきたい。〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。
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