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全国・海外から約1,500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。
リピーターを育てる手立て
今回は、鮎の塩焼きが名物の、あるドライブインでの、リピーターを増やす取り組みのお話。ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員からのご報告だ。
ドライブインという業種柄リピーターが少なくなりがちであることは、利用したことがある方ならピンとくるところだろう。実際私もドライブインを利用するのはどこかにレジャーで行ったときであり、その後再びそこを訪れることはまずないし、思い出すこともない。しかし、ワクワク系では常に、どんな業種でも、リピーターを増やすことに力を注ぐ。それが商売の基盤だからだ。
同店でも昨年初めに当会に入会して以来、そのための取り組みを様々に進めてきたが、最近ではリピーターが順調に増えてきているとのこと。
その取り組みのひとつが、初回来店された方にお礼のハガキを送るものだ。業種がドライブインであるだけに、送る枚数も多い。昨年3月から今年の8月までに送ったハガキは実に2638通。1通あたりのコストを考えると経費的にも無視できない数字だ。しかし、と店主は言う。この2638通の中で一番多かった声は、「ハガキが届いたからまた来たよ」なのだと。このハガキこそが、着実にリピーターを育てる手立てとなっているのである。セールではない「お礼」ハガキの力
店主自身も、最初は謎に感じた言葉だった。そんなことが来店動機になるのだろうか?そもそも、自分が他店でお客さんの立場のとき、そんな気持ちになったことがあっただろうか?
そう思って振り返ってみると、そもそもハガキが届くようなことがほとんどないことに気づいた。あるいは届く場合もセールなどの売り込みが多く、同店のように「お礼」ではない。
また前提として、ハガキを送ろうと思えば、住所などの個人情報をいただく必要がある。同店では今年1500名の顧客リストを新たに作ることを目標に掲げていたそうだが、これも9月には達成した。それだけまめに個人情報をいただく努力を重ねているのだが、そういう店がどれだけあるだろうか。
さらにその前提として、お客さんが自分の住所などをその店に残そうとする動機が必要だ。かみ砕いて言えば、個人情報を残してもいいという気持ちになる店である必要があるが、同店では、例えば来店客に大好評の「ワンチャンステッカー」など、お客さんの心をくすぐる様々なアプローチがある。それらはどんなものなのか。この続きは次回に。〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。- NEW最新記事
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