更新日:

【連載】飲食店に届けたい労務コラム|第22回 飲食店のパワハラについて考える②パワハラの当事者にならないようにしよう

【連載】飲食店に届けたい労務コラム|第22回 飲食店のパワハラについて考える②パワハラの当事者にならないようにしよう

社会保険労務士で(株)リーガル・リテラシー代表取締役社長の黒部得善氏がお届けする、飲食店経営にフォーカスした労務コラム連載。

スタッフを雇用する店舗経営に欠かせない業務のひとつである労務管理。特にコロナ禍以降の外食業界は深刻な人材不足に悩まされ、「せっかく採用したのにすぐに辞めてしまう」「そもそも応募が来ない」といった悩みのほかに、アルバイトがSNSを使ったトラブルを起こす事例もたびたび耳にするようになり、安定経営とリスク回避という二つの側面で労務管理の重要性が高まっています。

第22回は、『飲食店のパワハラについて考える』シリーズの第2弾。「パワハラの当事者にならないようにしよう」をテーマにお届けします。

当事者にならないために

前回は、パワハラ以前に罪を犯さないようにしよう、という話をしました。
今回は、スタッフを管理する中で、あなた自身がパワハラの当事者にならないための3つのポイントについて話をします。というのは、パワハラ問題への対応を通じていつも思うことは「自分はパワハラをする人ではない」と思っている方がとても多くいることです。「私はパワハラしています!」と自覚を持って言い切る人にはその行為を制止させられるのですが、ほとんどのパワハラ問題は自分が当事者である自覚がなく、悪意をもってやっていないことがほとんどです。
なお、今回は本連載で取り上げたいくつかのテーマの応用編にもなっていますので、過去の記事も参考にして読んでみてください。

ポイント①無意識に加害者になっているケース

これは、自分にとって良かった経験を、当然のように部下に行うというケースです。

(例)
店長(40歳):

俺がお店に入った頃は先輩からの暴力なんかはあたりまえだった。今振り返ると、やはり社長からのあのパンチがあったから今の自分になれている。あの経験が甘かった自分の心を鍛えてくれて、そして成長させてくれたんだ。だから俺の暴力はお前のためを思ってやっているんだ。
部下(20歳):……

自分がされてよかったことを人にすることは絶対ダメ、とは言い切れませんが、時代は変化するので方法が昔と同じでよいということはありません。昔だからといって暴力が許されていたわけでもないのですが……。前回も書きましたが犯罪です。しかし、愛のムチが相手のためにやっていること、という価値観が信じられていた時代でもあります。このように「昔良かったから今もいい」は通用しないということを知ってください。なお、今許されていることが未来に許されているという保証も全くないということも理解しておきましょう。

ポイント②性格的に加害者になるケース

人には長所もあれば短所もあります。短所をうまく受け入れ、それが問題にならないようにしなくてはならないのですが、なにせ飲食店は忙しい。そして、指揮命令の頻度がとても多い職場です。忙しい中、自分の地雷を踏まれて爆発!ということが起こりやすい職場ともいえます。

これを回避するために必要なこと、それは、自分の怒りのポイントを知り、そして、みんなにも知ってもらうことです。「第10回人手不足なのか人が辞めすぎなのか⑤」のなかでも取り上げたジョハリの窓という古典的な理論から言わせると、「お互いがお互いのこと事を知り合えば、リーダーシップを発揮しやすい」のです。自分で自分の短所を知り、知るだけでなく、どういうときに怒るのかまで知ることが大切です。
第10回の特典でお渡しした私の会社が提供している個性診断にあった「(自分が)嫌いなこと・イライラすること」「(自分との)トラブルを避けるには」という項目を活用してみてください。そして、あなたがスタッフの「嫌いなこと」「イライラすること」「トラブルを避ける方法」を知るだけでなく、スタッフにも知ってもらってください。なお、今回も期間限定で個性診断をプレゼントします。詳細は文末でご案内します。

【連載】飲食店に届けたい労務コラム|第10回 人手不足なのか人が辞めすぎなのか⑤


【連載】飲食店に届けたい労務コラム|第22回 飲食店のパワハラについて考える②パワハラの当事者にならないようにしよう_記事画像1

ポイント③まじめだから当事者になるケース

人それぞれにやる気のもとがあります。(やる気のもとの探し方は第8回を参照)
【連載】飲食店に届けたい労務コラム|第8回 人手不足なのか人が辞めすぎなのか③

相手を思い、これを勘違いして相手の成長のためにと真剣に向き合った結果、パワハラを生んでしまうことがあります。相手から期待した反応が得られなかった場合に「これだけあなたのことを思ってやってあげているのに」「あいつには何を言っても無駄」と期待が怒りに変わり、パワハラを招いてしまうのです。こちらも「第9回 人手不足なのか人が辞めすぎなのか④」で触れたことです。人それぞれに9つのモチベータ(やる気のもと)があり、相手のやる気のもとを刺激することでモチベーションを高めて成長させる、という内容です。相手のやる気のもとと自分のやる気のもとは違うので、自分の成功体験を良かれと思って押し付けてはいけないのです。
ポイント①とポイント③で共通しているのは、自分が相手のために良いことをしている、という勘違いです。確かに相手のことを思っての行動ですが、これは一方的な思いであって、きちんとした対話が生まれていません。押し付けだけの関係はパワハラにつながる可能性が高まります。相手をきちんと観察して相手が成長するように接することが大切です。

【連載】飲食店に届けたい労務コラム|第9回 人手不足なのか人が辞めすぎなのか④

【プレゼント】個性診断の無料体験

私が代表を務める会社で提供している、お互いでお互いのことを知り合うための個性診断を1ヶ月1月無料開放しますので、ぜひ活用してみてください。

サンプル受験サイト

結果のサンプル
※パスワード:jyuken

今回のキーワード:無意識にパワハラの当事者になる可能性があることを知っておく

この記事の執筆

㈱リーガル・リテラシー 代表取締役社長_黒部 得善

㈱リーガル・リテラシー 代表取締役社長

黒部 得善

1974年名古屋市生まれ。1997年明治学院大学法学部法律学科卒業。同年社会保険労務士合格。
大野実(現:全国社会保険労務士会連合会会長)事務所で修業後、㈱日立国際ビジネスにてSAP・R3のHRモジュールのコンサルを経て、2002年9月㈱リーガル・リテラシー創業。
飲食店の「長時間労働だから人が辞めるのか、人が辞めるから長時間労働なのか」を解決すべく、労務を“見える化”するためのフレームワーク手法”労務マトリクス“開発や、労務AI技術の開発をおこない、労務環境改善に奮闘。

<主な著書・論文>
「お店のバイトはなぜ1週間で辞めるのか」(日経BP社)
「就業規則がお店を滅ぼす」(日経BP社)
「勤怠データのデータマイニングを通じた労働集約性の高い飲食業の労働環境の改善」(日本マネジメント学会誌経営教育研究vol.25no.1)

<公式サイト>
(株)リーガル・リテラシー

<労務AI 公式サイト>
労務AI

canaeruは年間300件以上の開業サポート実績!

メールアドレスの登録で
開業までのサポート完全無料で受けられます!

個人情報の取り扱いについて

メールアドレスを入力してください

無料会員登録でできること
① 「日本政策金融公庫」の創業融資をはじめとする資金調達の相談が出来る!
② 開業時に必要な事業計画書の作成サポートが受けられる!
③ 店舗開業や運営に関するさまざまな疑問点・お悩みを何度でも相談可能!
※ 金融機関出身者、元飲食店オーナーら店舗開業のプロが対応します

PAGETOPへ