「美味しい」より「旨い」と言われたい!複数の有名ホテルで料理長を担っていたシェフが餃子専門店を開業した理由
SHOP DATA
- サポート
-
- 資金
- 物件
- 内覧
- 手続き
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- 餃子専門 丸虎
- 吉田大介
埼玉県さいたま市浦和区北浦和4-6-1ポピー北浦和A号
- エリア
- 埼玉北浦和
- 業種
- 居酒屋
- ロケーション
- 繁華街
- ターゲット
- 大人向け
- 業界経験
- 10年以上
- 開業時の年齢
- 40代
- 目標月商
- 200万~300万
- 開業資金
- 500~1,000万
- 坪数
- 10~20坪
- 家賃
- 20万以下
開業を目指すきっかけ
- オーナーの吉田さんはホテルのシェフとして長らく腕を振るってきたそうですが、ご自身で開業しようと思ったきっかけについて教えてください。
- 高校時代、ラーメン屋でバイトをしていたのですが、料理をしたりお客様と会話をしたりといった時間がすごく楽しくて。それが飲食業界に入るきっかけとなりました。その後、調理師専門学校を卒業してからはグランドハイアットなど3つのホテルでフレンチを中心に洋食のシェフとして働いてきたんです。大きな職場ですから、お客様の数は多いものの、直接会話する機会はほとんどなく、ホテルの仕事に追われる中で、「飲食は楽しい」という想いも次第に薄くなっていったんですよね。当時、ホテルの料理長を務めていたので給料は悪くありませんでしたが、一皿一万円もする料理をモヤモヤした気持ちで作り続けるのはこれ以上無理だと思ったんです。そういった理由に加えて、僕自身、いつか小さな居酒屋を開きたいという夢もあったので、開業へと踏み切りました。周囲からは、なぜ料理長の座を捨ててまで、と言われましたが、お金も大事だけど、やりたいことをやった上でお金がついてくればいいと思いましたし、家族が快諾してくれたことも背中を押してくれました。
- これまで洋食のシェフとしてキャリアを積み上げてきた吉田さんが2018年にオープンした『丸虎』は餃子専門店。まったく異なる料理ジャンルへの転換ですね。
- 料理を評価するとき「美味しい」という言葉を使うのは高級料理だけど、「旨い」はB級料理が多いですよね。開業を真剣に考えたら「旨い」という言葉が思い浮かんだ。そして「旨い」を追求したら、餃子に行き着いたんです。そもそも、餃子は作るのも食べるのも好きでしたし、僕のこれまでの経験を活かせば、中華にとらわれることなく、さまざまなエッセンスを取り入れた餃子を作れるのではないかと思ったんです。「餃子の可能性は無限大である」。これが僕のモットーです。
開業準備での課題と解決方法
(物件探し・資金集め, etc.)
- 開業準備はどんなことから始めましたか。
- 開業に関してはまったくの素人。何をしていいのかまったくわからなかったので、開業に関する情報収集から始めました。その中のひとつがUSENの開業サポートだったんです。試しにアポをとってみたら、担当の方が居酒屋経営を経験されていたことがあると聞いたので、それならばぜひ相談にのってもらいたい、とやり取りを始めました。
USENの開業サポートの扉をたたいてからが、本格的な開業準備をスタートした、という感じですね。中でもよかったのは開業までのスケジュールを一緒に考えてくれたこと。逆算して、どのタイミングで何をすべきか、アドバイスをもらいながら、ひとつひとつクリアしていきました。USENに相談していなかったら、こんなにスムーズに進めることはできなかったと思います。時に厳しいことも言われましたが、自分の甘かった考えを正すことができました。
- USENの開業サポートでは最初にどんなことを相談したのでしょうか。
- 資金面ですね。まずは現状を伝えることからはじめ、自分が希望する規模の店をやるならいくら必要かということを指南してもらい、資金調達はどこからすべきか、それには具体的にどう動いていくかといったことを教えてもらいました。おそらく店をやりたい人の大半の悩みが資金だと思うんですよ。そもそも僕は開業するのに必要な金額すらわからなかった。単純にあればあるほどいいと思っていましたがそう簡単ではなく、現実的なお話を聞けたのは非常に参考になりました。
- 『丸虎』は埼玉の北浦和に出店されていますが、この場所を選んだ理由について教えてください。
- 出店の第一条件は自宅から通えることでしたので、そうしたエリアを中心に探しました。本当は浦和を希望していたのですが、残念ながら予算にハマらなかった。たまたま合致したのが北浦和のいまの物件だったんです。決断するまで30以上の物件は見て周りましたね。物件探しはもはや趣味です(笑)。
実際の物件探しでは、絶対に譲れない条件を30個ほど箇条書きにして、その条件と紹介してもらった物件の条件を合わせながら決めていきましたね。
- 今、あらためて開業準備期間を振り返ってみて、やり残したことや反省点はありますか。
- すべてにおいて見積もりが甘かったと思います。不測の事態は起きるという前提で準備は進めるべきでしたね。僕の場合、あらゆることをシミュレーションしましたが、その通りにいかないことが多かった。多くあったことの一つを例に挙げると、餃子や他の料理を作ることに重心を置いてしまっていて、思ったよりも保管のスペースの算段を甘くしてしまったことです。オープン直前にそれが発覚して大わらわでした。施工が進まないと厨房の完成形が見えてこないし、実際の動きも読めないですからね。
開業後の気づき/今後の課題
- コロナ対策はどのように行われていたのでしょうか。
- 緊急事態宣言が成立した3月はまだ忙しかったんですが、4月に入った途端、急激に客足が途絶えてしまったんです。うちはお酒を出すので、夜営業が全くダメ。売上が6割ほど落ち込んだので、ランチ営業を4月からスタートさせました。1日30食限定のつけ麺がおかげさまで好評で、ランチを始めていなければ6割減どころでは済まなかったかもしれません。昼間は水餃子のみ提供しているんですが、「餃子専門店なのになぜ」と訝しがられることもありました。でもかえって集客に繋がり、焼餃子を食べたいと夜に来てくれるお客様が増えたのはよかったですね。
- 『丸虎』の2店舗目を出店する予定が、コロナで方針転換を余儀なくされたと伺いました。
- 今年中に都内で2店舗目を出す予定で、人を雇いたいと考えたいたのですが、一旦取りやめにしました。コロナは私たちの生活様式を変えてしまったし、飲食店の利用の仕方も変わっていくでしょう。都内への出店は最終的な目標にして、コロナと長く付き合うことを考え、次の出店は工場の要素をもった店舗がいいという考えに至りました。
- 工場兼店舗というと、和洋菓子メーカーの「シャトレーゼ」がありますが、これに近い形ですか?
- そうですね。車でも来てもらえるようなロードサイドやもう少し地代の安いところに、工場兼店舗を出店できればいいなと。餃子づくりを工場に集約させれば他のことに時間を使えますし、多店舗展開もしやすくなる。そういう意味では出店の目線を変えたことはよかったかなと思っています。コロナで今までのやり方は通用しなくなってきているからこそ、別視点で考えることは大切。餃子はお持ち帰りに向いている料理ですし、住宅地にテイクアウト専門の小さな無人店舗を出すこともできるかもしれません。コロナとはもう少し長く付き合うだろうし、Go To Eatキャンペーンも一時的なものです。高齢社会になっていくのに若者向けの店だけでやっていけるのかという懸念もあります。『丸虎』を長く続けるためにも、テイクアウトとネット販売を主軸に添えた業態を考えているところです。
- 吉田さんが思い描く『丸虎』の将来像についてお聞かせください。
- 北浦和の店舗は夜のお客様もついてきたので、現状維持が目標ですが、サービスの質を落とすことなく、「旨い・楽しい」店づくりを続けていきたいですね。Go To Eatキャンペーンで来てくれるお客様も増えているので、そうした新規の方がリピーターになっていただけるようサービスに努めていきたいです。あとは新店づくり。工場化が実現すれば仕込みの量が変わってきます。それにより店内オペレーションやお客様サービスの時間を有効に使うことができるので、次なる出店に向けて着々と準備を進めていきたいですね。