更新日:

復興にはコミュニティが必要。地元の人たちと立ち上げた特別な食堂。

震災復興活動で福島に入ったのが転機。この場所で「産業をつくる」が自分のテーマ。

  • 押田 一秀/報徳庵

復興にはコミュニティが必要。地元の人たちと立ち上げた特別な食堂。_記事画像

東日本大震災の翌年、復興のためのコミュニケーションの場として福島県相馬市にオープンした報徳庵。そのメンバーのひとり、現在は同店オーナーである押田一秀さんに、この店がある意味・意義などを伺いました。

人が集まる場所…ここでは、誰もがその必要性を感じていた

ーー東京でブライダルビジネスをされていた押田さんが、なぜ福島県相馬市で「報徳庵」をやることに?
震災復興活動で福島に入ったのがきっかけで、そこから現地の方とつながりができました。報徳庵は現地の方々と発足した「NPO法人 相馬はらがま朝市クラブ」によって震災の翌年につくられた食堂ですが、僕がオーナーとして引き継ぎ、現在に至ります。震災後、相馬の魚は原発事故の影響で出荷制限がかかっていたんですよね。地元住民の間で相馬の美味しい魚が食べられないことのストレスもあって、県外から魚を仕入れて報徳庵で出すようになったんですよ。震災以降、人が集まれる場所の必要性を誰もが痛感していて、コミュニティの場として報徳庵が出来たという経緯があります。

人が集まる場所…ここでは、誰もがその必要性を感じていた

ーー押田さんは相馬市をベースに非営利団体・復興支援センターMIRAIの所長としても活動されていますが、このような団体を立ち上げた経緯について教えてください。
この場所で産業をつくるのが僕のテーマです。震災当時、相馬市は原発から近いにもかかわらず避難区域ではないから補助が少なかったんです。原発事故のせいで事業ができなくなったと明確に証明できた人は支援や賠償を受けられたけど、そうではない人もたくさんいました。だからこそ産業の復興が急務となるのは相馬市だろうなと思ったんです。自主避難する方も多い一方で、とどまった方もたくさんいる。この町で根を張って生きていくという気持ちであるにもかかわらず、産業が喪失し、仕事が思うように見つからない現状があったんです。
具体的な活動のひとつに、この地域の産業構造が実際どうなっているか把握するために、年間数百人のボランティアに手伝っていただきながら、市内に拠点を持つ全事業所を調査しています。例えば、どこで誰がどんな仕事をしているのか、それが今どういう状況になっているのか。ヒアリングすることで、地域のニーズが浮き彫りになるんです。

復興にはコミュニティが必要。地元の人たちと立ち上げた特別な食堂。_記事画像2

店から街へ…新しい仕掛けで街を動かしたい

ーーこれからの夢・目標を教えてください。
ロングスパンで考えていますが、大きく言うとこの地域の仕事を正常に動かすことです。ただ、震災前と同じ方法では難しい側面もあると思っているので、新しい仕掛けで地域の人々が食べていけるようにしたいです。そしてもうひとつが地場産業に対する誇りを作っていきたい。例えば相馬の魚は世界で一番美味いと思っていたからこそ、子どもたちは親の仕事を継いで漁業に就くことが当たり前だったのに、今は県外に出て働くことを希望しています。農業もそう。こうした流れが続き、子どもたちが戻ってこないままだとやがては死んだ町になってしまう。だからこそ仕事に対するプライドを作ることが大切だと思っているし、その仕事が第一次産業ではなくハイテクやバイオ関係でもありだと思います。新しい世代がそれで稼げるのなら。
街づくりの参考にしている地域のひとつにニューオリンズがあります。2005年のハリケーンで壊滅的な被害を受けましたが、今では高度な産業が集まっているんです。ニューオリンズは災害によって生じた社会課題も多く、全米のラボラトリーのようにチャレンジする人が集まりました。結果、彼らがけん引役になり全米ではシリコンバレーのように、起業家たちにとっての憧れの地となりました。社会課題でいうと福島県の沿岸部も同じ。やれることがたくさんあるし、実は結果も出やすい場所なんだと思います。それを横展開して、全国各地のローカルを賑わうようにすることが僕の夢かもしれませんね。

店から街へ…新しい仕掛けで街を動かしたい

押田 一秀

押田 一秀

1981年埼玉県さいたま市出身。本業はウェディングプロデューサー。東日本大震災をきっかけに、さまざまな復興支援に寄与。現在は、福島県相馬市が拠点。その活動経験から、地域コーディネーターとして全国各地で講演なども行っている。

報徳庵

報徳庵https://ja-jp.facebook.com/hotokuan/
福島県相馬市中村字塚田62-72

震災の翌年に、復興の礎として開業した食堂。料理は地元の食材を使用、福島県相馬市の名産品なども販売。地域コミュニティの活性化をテーマに、ライブイベントなどを定期的に開催している。

canaeruは年間300件以上の開業サポート実績!

メールアドレスの登録で
開業までのサポート完全無料で受けられます!

個人情報の取り扱いについて

メールアドレスを入力してください

無料会員登録でできること
① 「日本政策金融公庫」の創業融資をはじめとする資金調達の相談が出来る!
② 開業時に必要な事業計画書の作成サポートが受けられる!
③ 店舗開業や運営に関するさまざまな疑問点・お悩みを何度でも相談可能!
※ 金融機関出身者、元飲食店オーナーら店舗開業のプロが対応します

PAGETOPへ