ヒーリングサロン開業も、会話が苦手…。セラピストが導き出したその解決方法とは？

千葉県船橋市でヒーリングサロン「心癒～cocoyu～」を営む植草美香さん。もともと会社員をしていたそうですが、34歳の時に一大決心をし、この世界へ。その決断に至った経緯や、彼女が苦手と話す、お客様との会話を克服できた理由をお聞きしました。

34歳での一大決心！脱サラしてヒーリングサロンのセラピストに転身

ーー手に職を付けて独立したいという女性に人気のセラピストですが、植草さんはどのような経緯でこのお仕事に就かれたのか、お聞かせください。
もともとは会社員だったのですが、このままでいいのだろうか、という漠然とした不安がありました。当時の私は仕事をしながら家事・育児をしていたので、疲れが取れずストレスを感じる日々でした。そんな時に、アロマセラピストと知り合い、初めてセラピストという仕事を知ったんです。それまではセラピストとは無縁の生活でした。ただ小さい頃からボランティア活動をしていたので､誰かの役に立ちたいという気持ちから、34歳で一大決心して整体と足つぼのリラクゼーションセラピスト養成学校に通うようになりました。

ヒーリングサロンを開業するきっかけに！セラピストの現実とは？

ーー学校ではどんな資格を取りましたか。
整体師、整体フットセラピストの民間資格を取得しました。養成学校を卒業した後、しばらくは会社の休みを利用し、提携店で実地研修を積みました。その後、セラピストに転進しましたが、まだ技術に自信がない頃は業務委託先から得る報酬だけで生計を立てるのは難しく、2つのサロンを掛け持ちしていました。当時を振り返ると、好きな仕事に就けたことは幸せでしたが、待機時間や電話応対などの雑務に追われてヘトヘトでした。もっとお客様に向き合えたらといつも感じていましたね。そこで、お客様のお時間をフルにおもてなししたいと「心癒」をオープンさせました。

サロンなど、サービス業には必須のコミュニケーション能力。その身につけ方は？

ーーリラクゼーションサロンは競合が非常に多い業態ですし、集客に苦労するという話をよく聞きます。
そうですね。私も開業してから固定のお客様が付くまでにすごく時間がかかりました。その頃の私は会話に対して苦手意識があり、お客様とのコミュニケーションの取り方がわからないことが大きな悩みだったんです。その分、施術や接客を丁寧にすることを心がけたことでお客様からのご紹介が多く、沢山のお客様に応援していただけました。

ーー会話下手ではセラピストとしてやっていくのは難しいですよね……。よい解決方法があったのでしょうか。
先輩経営者から薦められた「傾聴セミナー」を受けました。このセミナーを受けたことで、自分がお客様に入り込んでいなかったことが分かったんですよね。というのも、自分がお客様からどう思われるのかが不安だったし、何か話しかけることで相手の機嫌を損ねるのでは、プライベートに踏み込みすぎるんじゃないかと深読みして自分から話しかけることに躊躇していたからです。傾聴セミナーを機に、お客様のお話を「聴く」という姿勢を学びました。

ーー傾聴セミナーを受けたことで、よかったことは？
お客様の話に耳を傾ける。当たり前のことが出来るようになったことです。思い返すと、関係のない質問をしてしまったり、話を聞いても、「そうですか」と受けて終わってしまったり。でもお客様の中にはもっと話を聞いて欲しいと思っている方もいるんですよね。これもセミナーを受けたことで知りました。お客様にとって話しやすい環境を作り出し、身体に触れて対話する心のデトックスも必要かな。それと同時に私自身の考え方が変わり、お客様も心身共に満足して帰られることが増えました。いずれにしてもリピートに繋がらなかった要因が、お客様のニーズを捉えようとしない自分自身にあることがわかったので、傾聴セミナーを受けてよかったと思います。
あとは、ご来店時に質問シートを記入して頂き、「今日は会話せずにゆっくりしたい」「重点的に施術して欲しい場所がある」など必要最小限の要望をお聞きして、そこから会話の糸口にして話していくことで、お客様自身が身体の辛い場所や、心のストレスになっている出来事をお話ししてくれることもあります。心がほぐれると、不思議と身体もほぐれてくるんです。

ーー手に職を付け、いざサロンを開業しても維持することの方が大変ですよね。セラピストの仕事を長く続けるために、大切なことは何だと思われますか。
技術力はあって当たり前の世界。結局は口コミで広まることが一番だと言いますが、セラピスト自身とお客様との繋がりだと思います。真心と誠意のこもった施術に尽きると思います。