女性に人気の先生業。その先輩が考える「シゴトに必要なモノ」。

栄養士を始め、野菜ソムリエ、雑穀エキスパート、そして、料理家としても活動中の平井一代さん。女性に人気の職業「料理教室の先生」として10年キャリアを積まれ、企業のフードコンサルティング、経営者としても活躍されるに至ったその礎とは？

先生業は、持っている知識を生徒さんに向かって唱えていくだけではない

ーーお持ちのキャリアでは、いろいろな独立方法があったと思うのですが、「教えること」を生業にされたのはなぜですか？
新卒で食品メーカーの研究職に就きましたが、学生時代からお料理を作ること自体が好きだったので、いずれフードコーディネーターか、お料理の先生になろうと考えていたんです。プライベートな時間を使って、講座や料理教室などで勉強をしていましたが、通っていた料理教室の先生に感化され、自然とお料理の先生を目指すようになりました。具体的ではないですが、自分の勘で、「私はお料理の先生になるのがいい。絶対うまくいく」というのを感じたんでしょうね（笑）。自分の教室を開くまでに、料理教室、不動産、広告代理店などいくつか転職して経験と資金を貯め、開業してちょうど10年になりました。おかげさまで生徒さまに恵まれ、講座の規模が大きくなってきましたが、実は、ちょうど、今の教室を違うカタチにしようと思っているところなんです…

ーー違うカタチというのは具体的にどんなことですか？独立・開業された、その次に目指すもの、気になります。
「お料理の先生を目指す人たちのための教室」を開く予定です。後身を育成したいと考えるようになって。お料理を教えるのではなく「先生業ってこういうモノ・コト」のノウハウを提供します。先生業は、自分の知っていること、持っている知識を生徒さんに向かって唱えていくだけでは商品にはなりません。自分の知識や経験はもちろんのこと、自身のキャラクターなども自己分析し、生徒さんのレベルで吸収できるモノとして提供していくのが、この商売の難しいところだと思います。料理教室としての規模は小さくなりますが、その分、教える内容は深く・濃くなる。私自身も新たなチャレンジです。

ーー次のステップに進むんですね。仕事をさらに昇華させようと考えたきっかけは何ですか？
私が教室を開こうとした時、本当に右も左も分からず、遠回りをした点もたくさんあったので、そういう方々のニーズに応えたい、というのが一番の理由です。開講してから10年間、大好きなお料理を教えてきて、自分の料理の腕前は提供できた。そして、その間で、お料理だけではなく、お料理教室の運営方法や販促方法、スタイル、コンセプト作りなど、新たなナレッジもできた。そのナレッジも必要としている人に提供していきたい、と思うようになったんです。私自身、お料理の先生としては、「やりたいことをやりきった」という達成感があるから、次へ進もうと思ったんでしょうね。

「仕事には愛」。それが無ければ、例えばお料理なら、おいしく無くなる

ーー夢を叶えても、終わらないで次の夢を掲げ追いかけていく…ステキな生き方ですね。そのパワーの源は、ご自身で何だと思いますか？
開講するまでの間も、いろいろな仕事を経験してきて、なんとかしてきた（笑）。そして、「なんとかなった」という自信と、その成果と結果を得た時の喜びを知っているから、上を目指していこうと思うんでしょうね。自分で決めた仕事をやってきて、「卒業」みたいなタイミングがあって、次のステージへ進む。私にとっては、それが、仕事人としてのルールみたいなものかな（笑）

ーーいつまでも自分の夢を追いかけ、そして、叶えていく人になるために、平井さんが考える必要なファクターとは何ですか？
会社勤めでも、経営者でも、独立開業した人でも、働いている限りビジネスパーソンであることに変わりはなく、どんな仕事でも「愛」がなければうまくいかないと思います。「仕事だからこなす」と思ってしまっては、提供する側の想いは伝わらないし、例えば、お料理なら、おいしく無くなる。だから、開業前から、「仕事に愛」というスタンスを持っていた方がいい。開業してから、急に、「仕事に愛」には、変われないと思います（笑）。