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O157は何から発生する?被害を防ぐポイントとは[人気記事]

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惣菜店のポテトサラダなどを食べた人が相次いでO157に感染したニュースは、2017年の夏、世間を震撼させました。
感染源をめぐるその後の調査では、調理した惣菜そのものではなく、店内での“取り分け時”にあったのではないかとの見方も強まっているようです。
飲食店にとっては、他人事ではないO157をはじめとする食中毒被害。
飲食店ではどのような対策をとるべきなのでしょうか?

そもそもO157とはどういった菌なのか?

O157は大腸菌の一種で、動物の腸管内にいる細菌です。
大腸菌は人間の腸内にも存在し、無害なものも多いのですが、中には激しい下痢や腸炎を引き起こす「病原性大腸菌」と呼ばれるものがあり、O157はそのうちの代表的な菌のひとつです。
O157は人間の腸内で「ベロ毒素」という毒を産生して猛威をふるい、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症(けいれんや意識障害)を起こします。
健康な成人では感染しても軽い症状で終わることもありますが、抵抗力が弱い子どもやお年寄りの場合、死に至るケースもあります。
通常の食中毒は100万個以上の菌が体内に入り込むことで感染するといわれていますが、O157はわずか100個程度の菌で感染するほど強い細菌です。
また、一般的に食中毒は気温が高くなる初夏から初秋にかけて発生しやすくなりますが、O157による食中毒は、その感染力の強さから気温の低い時期にも多数発生しています。

調理した食べ物からO157が発生する原因

病原性大腸菌O157は、牛などの動物が保菌していることが知られています。
O157の人間への感染原因は、主に牛肉やその内臓の摂取によるもの。
牛肉やその内臓を扱う焼肉店でのO157による感染被害が多く聞かれるのはそのためです。
焼肉店に限らず、すべての飲食店で注意したいのがO157をはじめとした病原菌の二次汚染です。
発生した菌は、なんらかの接触により調理済みの料理、あるいは調理器具や食器などにうつることがあります。
特に、惣菜店やバイキング形式をとった飲食店では、不特定多数のお客様が同じトングやスプーンで取り分けるため、食中毒被害のリスクは高まり、徹底した衛生管理が必要となります。
取り分け形式で料理を提供する飲食店ではリスク軽減のためにも、トングやスプーンを1皿に付きひとつ以上用意し、こまめに取替えて、洗浄、消毒を徹底しましょう。
取り分け用のトングやスプーンは、多めにストックがあると安心です。
また、お客様ひとりひとりにも食中毒による被害や感染予防について理解を深めていただけるよう、店内の分かりやすいスペースに手洗い場や手指の消毒ができるスプレーを設置し、O157による食中毒被害の注意喚起を促すことも大切です。

飲食店でO157が発生した場合の対処方法

通常の食中毒は、約3日以内に何らかの症状が現れますが、O157による食中毒は、4~9日という比較的長い潜伏期間を経て症状が現れます。
飲食店側がO157の感染を知るのは、お客様からの直接の連絡によって、あるいは、病院から報告を受けた保健所からの連絡によってとなり、来店時からはだいぶ遅くなる傾向があります。
お客様から直接連絡を受けた場合は、症状と発症日時、店で食べた料理と来店日時を尋ね、必ず病院で診察を受けていただくようにしましょう。
同時に、保健所にも連絡しましょう。
診察を受ける前にお客様から責任の所在について問われることもありますが、実際にO157による食中毒であるのかを判断するのは医師です。
お客様にはその旨を理解していただき、可能な限り診察にも同行しましょう。
また、病院への往復の交通費や診察費用も飲食店側が負担をし、誠意を示すことも大切です。
そして、同じ日時に飲食した他のお客様が感染していないか、手の尽くせる範囲で確認しましょう。
病院での診察、検査等で結果が特定されるまでの間、飲食店側として確認しておきたいことは、
・当日、お客様が店で食べたメニューの食材(無ければ連絡を受けた日、手元にある同じ食材)
・メニューとレシピ(仕込み方法、状態、保存時間など)の詳細
・仕入れ業者のリスト
・従業員全員の健康状況 など。

また、厨房内は清掃や消毒をせず、そのままの状態を保つようにしておきます。
詳しくは保健所の指示に従いましょう。

O157を起こさないための予防対策

O157による食中毒事故を回避するために、飲食店が一番注意したい食材は、やはり肉類です。生肉(あるいは生に近い肉)や内臓のメニューの提供を避け、肉は中心部まで十分に加熱しましょう。
O157は比較的熱に弱いので、75℃で1分以上の加熱をすれば死滅します。
特に、抵抗力が弱い子どもやお年寄りがO157に感染した場合、重症化する可能性があります。
お客様自身が食材に火を通す焼肉店のような店は、改めて注意を促すなど、対応の強化を図りましょう。
また、調理スペースの衛生管理や、従業員のひとりひとりの衛生管理も重要です。
飲食店の調理スペースで特にチェックしておきたいポイントは、
・まな板や包丁は、肉用、魚用、野菜用など、食材ごとに分けているか?
・布巾は、複数枚用意し、煮沸消毒、漂白など除菌したものを使用しているか?
・解凍した食材、開封後の食材は、開封日や使用期限等を記したシールを貼って管理しているか? など。

いずれも初歩的なことですが、再度確認して損はありません。
調理器具の手入れの基本は、洗浄〜除菌〜乾燥です。
生ものを扱ったまな板は、その都度、台所用洗剤を使って洗うようにしましょう。
肉などのタンパク質汚れは、60℃以上のお湯で洗うと落ちにくくなる性質があるので、水かぬるま湯で洗い流すのがベスト。
また、包丁による傷がある場所は雑菌が繁殖しやすいので、入念に洗いましょう。
木製のまな板は、洗浄後、熱湯をかけて殺菌し、風通しの良いところで乾燥させます。
プラスチック製のまな板は、汚れを洗い流した後、台所用漂白剤をスプレーすれば1分ほどで除菌が完了します。
この時、まな板に布巾を掛けて台所用漂白剤をスプレーすると、両方同時に殺菌消毒できるので時間の短縮にもなります。
その後は木製まな板同様、風通しの良いところで乾燥させます。
そして、冷蔵庫内の食材は、使用期限の近いものが手前にくるよう整理しましょう。
解凍した肉や魚など、水分が出やすい食材も注意が必要です。
庫内の汚れは、こまめに拭きとり清潔を保ちましょう。
また、冷蔵庫の“取っ手”部分も雑菌が繁殖しやすい場所。
食材に触れた手で掴むことが多く、開閉の度に接触する取っ手部分は、時間を決めてアルコールを噴霧するなど、こまめな除菌が必要です。
また、ホールスタッフなど直接食材を扱わない従業員の衛生管理も重要です。
昨今、食材以外の新たな感染ルートとして問題視されているのが“スマホ”のトイレへの持込み。
多数のお客様が利用する飲食店のトイレは清掃が行き届いていたとしても、多数の菌が存在する場所です。スマホは手で触る機会が多いため菌が繁殖しやすく、さまざまな感染病の原因となる可能性があります。
従業員にはスマホのトイレへの持ち込みを控えるよう指導し、手洗いを徹底させるなどの衛生管理が必要です。
衛生管理の行き届いていない飲食店では、食中毒事故のリスクが高まります。
万が一、O157による食中毒被害を出してしまったら、その後の信頼回復は相当難しく、最終的には閉店、廃業となってしまう事態になりかねません。
あらゆる食中毒事故のリスクを軽減するためにも、飲食店では、基本的な衛生管理をいま一度見直し、徹底していくことが重要となります。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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