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開業届とは?出し方や必要書類、メリット・デメリットを解説

記事メイン画像,開業届の出し方とは?必要な書類や提出のメリット、デメリットを徹底解説

個人事業主やフリーランスとして独立を考えている方々にとって、開業届の提出は重要なステップです。ただし、「本当に必要なのか」と不安を抱く方も少なくありません。この記事では、開業届とは何かを解説し、提出することで得られるメリットや注意すべきデメリットについて詳しくお伝えします。
開業届を提出すれば、屋号入りの口座の開設、小規模企業共済への加入、補助金申請、さらに青色申告特別控除といった数多くの恩恵を受けることが可能です。また、提出しない場合のリスクや、正しい提出方法・必要書類についても分かりやすく説明します。本記事を通じて、開業届提出への不安を解消し、一歩前進するきっかけを掴んでください。

開業届とは

開業届は、事業を始めたことを税務署に知らせるための重要な書類であり、個人事業主としての第一歩を踏み出す際に必要となります。正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれ、個人が事業を開始することを税務署に申告する目的があります。事業として認められるには、継続して同一の活動を行い、利益を追求する営利性が求められます。法人設立時に提出する「法人設立届出書」とは異なり、個人事業主としての特色があります。開業届の提出により、税務処理や社会的信用が得られ、後の手続きがスムーズになります。提出義務を正しく認識することで、必要書類の準備も円滑に進められます。

開業届を提出するメリットとは

開業届を提出することは、個人事業主としての第一歩です。多くの飲食店従事者が開業を考える際に、どのようなメリットがあるのか気になることでしょう。このパートは、開業届を提出することで得られる具体的なメリットを解説し、起業を考える方の疑問を解消します。

①屋号入りの口座を作成できる

開業届を提出することで、屋号入りの銀行口座を作成することができるようになります。屋号とは、事業を行う際に使用する名前のことで、銀行口座に屋号が入ることで、ビジネス上の取引がスムーズになります。特に飲食店を運営する際は、取引先や顧客との信用を築く上で重要な役割を果たします。屋号入りの口座を持つことで、ビジネスの信頼性を高めることができるでしょう。

②小規模企業共済に加入できる

小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者が退職金を準備するための制度です。開業届を提出することで、この共済に加入する資格が得られます。小規模企業共済に加入することで、将来の資金計画を立てやすくなり、安心して事業に専念できる環境が整います。特に、飲食店のような不安定な業種では、将来の備えとして非常に有効です。

③融資を受けやすくなる

開業届を提出することで、金融機関からの融資が受けやすくなります。開業届は、事業を公式に開始した証明となるため、金融機関は信頼性を評価しやすくなります。特に飲食店を新たに開業する場合、初期投資がかかるため、融資を受けることは重要です。開業届を提出することで、事業計画の信頼性が増し、融資の審査が通りやすくなるでしょう。

④補助金・助成金の申請に必要

開業届を提出することで、正式な個人事業主としての地位が認められ、様々な補助金や助成金を申請できるようになります。これは国や自治体が提供する多くの支援策で必要条件となっています。
具体的には、申請時に開業届の控えと開業日が記載された書類の提出を求められるケースが一般的です。開業届を出していないと支援の対象外となり、効果的な資金調達のチャンスを逃してしまうことになります。こうした支援を活用するためにも開業届の提出は初めの重要なステップです。事業の初期段階で必要な資金を確保し、堅実なスタートを切るためにも積極的に検討しましょう。

⑤青色申告特別控除を利用できる

開業届を提出することで、青色申告特別控除を利用できるようになります。青色申告とは、一定の要件を満たした帳簿を備えて申告することで、税務上の特典を受けられる制度です。特に、青色申告特別控除は所得から最大65万円を控除できるため、税負担を軽減する大きなメリットがあります。これにより、飲食店の経営をより安定させることができるでしょう。青色申告を行うためには、事前に青色申告承認申請書を提出する必要がありますが、開業届を提出する際に一緒に手続きを進めることで、スムーズに進行できます。e-Taxを利用したオンラインでの申告も可能で、時間を有効に活用できる点も魅力です。

⑥社会的信用が向上する

開業届を提出することで、個人事業主として税務署に正式に認定され、これが社会的な信頼を高める要素となります。特に、取引先との関係性を構築する際に有効です。
事業用の口座やクレジットカードの申請においても、開業届は信頼性を証明するための書類として重要です。また、融資や補助金申請時にも信頼できる証拠となり、事業実態をアピールするための有効な手段です。社会的信用の向上により、金融機関や取引先からの信頼を得やすくなり、結果として事業運営を円滑に進めるための基盤が強化されます。このため、開業届の提出は経営の安定に寄与します。

開業届を提出するデメリット・注意点

開業届の提出は、メリットが多い一方で、本業や扶養、失業保険、税務の扱いに影響する可能性があり、特に今後の生活設計に関わる場合は注意が必要です。

①失業保険や扶養に影響が出る恐れがある

開業届を提出すると事業を行っていると判断され、失業保険(基本手当)の受給対象外となる可能性があります。
また、配偶者の扶養に関しては、年間の収入額や事業の継続性に応じて扶養から外れる可能性があります。
どのような影響が出るかは、収入の金額、事業の実態、制度ごとの判断基準によって異なるため、提出前に確認すると安心です。

②開業届を出すと確定申告が原則必要になる

開業届を提出すると、収入は事業所得として扱われ、原則として毎年確定申告が必要になります。
売上よりも経費が多く、赤字だったとしても、事業実態がある限りは確定申告を行わなければなりません。
申告を怠ると、無申告加算税の対象となるなどの指摘を受けるリスクがあるため、税務対応は早めに把握しておくことが重要です。

③副業の場合、会社の規定に違反するリスクがある

開業届を税務署に提出しても、税務署から勤務している会社に通知されることは原則ありませんが、勤務先の副業規定との関係には注意が必要です。
副業収入があると、住民税の金額変動から副業が発覚する可能性があり、特に「特別徴収」のままだと会社に通知されやすくなります。
就業規則で副業が禁止または制限されていないか、事前に確認しておくことが重要です。

④簡単に「なかったこと」にはできない

開業届は一度提出すると簡単に撤回できるものではなく、事業を終了した際には原則として廃業届の提出が必要になります。
廃業届を提出しないまま放置すると、確定申告の案内が税務署から届き続ける可能性があり、後々の手間になります。
「とりあえず出す」という軽い判断は、後に余計な負担につながる可能性がある点に注意が必要です。

⑤デメリットはあるが、正しく理解すれば大きな問題にならない

確かに失業保険や扶養などに影響が出るのは、受給中や扶養対象の方など一部のケースに限られます。
制度や条件をあらかじめ把握しておけば、必要な対策や判断が取れます。
また、継続的に事業を行う予定がある場合、総合的に見れば開業届の提出によるメリットの方が大きい方が多いため、安心して準備できます。

副業・フリーランスでも開業届は必要?

副業やフリーランスでも、継続的かつ反復的に収入を得ている場合には「開業届を提出すべき」ことが多いです。税務署はそのようなケースを「事業」として判断しやすい傾向があります。事業所得として開業届を出すと、雑所得のままに比べて節税や経費計上で有利になる可能性が高まります。特に節税や経費処理に重点を置く方には、開業届提出によるメリットが大きい状況です。
継続的・反復的な収入は事業と判断されやすい点が重要です 。雑所得のままにするか、事業所得として開業届を出すかで税務上の扱いは大きく変わります 。特に節税効果や経費計上を重視するなら、開業届を出す方がメリットが大きいです。

開業届を出さないとどうなる?罰則・リスク・実態

結論として、開業届を提出しなくても法的な罰則はありませんが、大きなデメリットがあります。
所得税法では開業届未提出に直接的な罰則はないものの、税務署から事業実態を求められることがあり、経費の適用を否認されるリスクがあります。例えば、事業経費と個人経費の区別が曖昧だと、税務調査で経費が認められず納税額が増えることもあります。
さらに、開業届を出さないと青色申告の特典が受けられず、最大65万円の控除や損失の繰戻しができません。節税メリットを逃すことで、経済的な損失が増加する可能性があります。また、開業届を出していないと、融資や助成金申請時に不利になることも考えられます。事業を円滑に進めるためにも開業届の提出は重要です。

開業届の入手方法

開業届は、提出方法に応じて最適な入手手段を選べるため安心です。税務署の窓口では直接用紙を受け取ることができ、国税庁公式サイトからPDFをダウンロードすることも可能です。また、freeeやマネーフォワードなどのオンラインサービスを使えば、ネット上で開業届を作成し提出まで完結できます。
たとえば税務署窓口なら、必要事項の確認をその場で受けられる安心感があります。公式サイトからのダウンロードでは手間が少なく、自宅で準備できます。オンラインサービスでは、スマホやPCで簡単に作成・提出でき、時間や場所にとらわれず進められるのが魅力です。

開業届の書き方

「開業届の書き方」の見出しでは、記入項目ごとのポイントと注意点、および提出時の準備をわかりやすく解説します。これから飲食店で独立を目指す方にもスムーズに進めていただける内容です。
開業届は正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、税務署への提出が必要です。国税庁のホームページや税務署窓口で入手できます。提出期限は事業を始めた日から1か月以内(休日の場合は翌平日)で、期限を過ぎても罰則はありませんが、制度を活用するにはできるだけ早く出すことが望まれます。
記入する際は、次のポイントに注意しましょう。まず「届出の区分」で「開業」に〇をつけ、「納税地」には自宅や事業所の住所を記入します。続いて「職業」「屋号」「所得の種類(たいていは事業所得)」を明記し、「開業日」も正確に記載します。
さらに、「青色申告承認申請書」や「消費税課税事業者選択届出書」を一緒に出す場合は、「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」で「有」に○をし、事業内容を具体的に「事業の概要」に記入するのが効果的です。補助として提出する書類によって節税の幅が広がります。
提出方法は、窓口、郵送、e‑Tax(オンライン)のいずれかを選べます。窓口提出なら記入に不安がある際に確認してもらえますし、e‑Taxはいつでもどこでも提出可能です。郵送の場合は控えをとっておくと安心です。

開業届の各項目について

開業届は複数の記入欄で構成されており、それぞれが税務上の意味をもちます。項目の役割やポイントを押さえることで、記入漏れやミスを減らし、安心して申請を行えるようになります。

税務署長・届出年月日

届出先となる税務署名と、実際に届出を行った日を記入する欄です。提出先の特定と提出時期の明示に必須で、開業届を出すタイミングの確認にも役立ちます。

納税地

所得税を納める先の所在地を示す重要な欄です。通常は自宅住所ですが、居所や事業所を指定することも可能で、後の税務手続きに影響する点に注意が必要です。

上記以外の住所地・事業所等

自宅以外に事業所や作業場所がある場合に記入する補足欄です。税務署からの郵送先や連絡先を整理し、混乱を避けたい場合にも役立ちます。

氏名・生年月日

本人確認に必要な基本情報を記入する欄です。氏名やふりがな、生年月日などを正確に記載して、税務署に申請者を明確に示します。

個人番号

マイナンバー(個人番号)を記入する欄です。税務署での本人確認や管理に使用されるため、正確に記載することが求められます。

職業

「飲食業」など業務内容を簡潔に記載する欄です。税務署が事業内容を把握する目安となり、個人事業税の判定にも影響するため明瞭に記入しましょう。

屋号

事業を行う際の名称を記入する欄です。店舗名として銀行口座開設や商標登録にも使えるため、後の展開を意識して考えるのがポイントです。

届出の区分

「開業」や「廃業」など届出の種別を選ぶ欄です。新規に開業する場合には「開業」にチェックを入れ、内容を正しく示すことが重要です。

所得の種類

「事業所得」「不動産所得」など所得の分類を選ぶ欄です。事業に応じた所得区分を記入し、適正な税計算につなげることが求められます。

開業・廃業等日

実際に事業を開始(または終了)した日付を記載する重要欄です。制度上は開業から1カ月以内の提出が望ましいとされています。

事業所等を新増設、移転、廃止した場合

過去に事業所を増設・移転・廃止した経験がある場合に記入する欄です。税務署へ変更の経緯を明示するために使われます。

廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合

個人事業を廃業し、法人を設立する際に記入する補足欄です。そのような移行があったことを税務署へ明確に伝える目的があります。

開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

「青色申告承認申請書」や「課税事業者選択届出書」を同時に提出するかどうかを示す確認欄です。該当書類と合わせて提出する場合は「有」にチェックします。

事業の概要

事業内容を詳細に記載する欄です。「飲食業」なら「イタリアンレストラン経営」など具体的に書き、第三者が事業内容を理解できるようにします。これにより個人事業税の判断も明確になります。

給与等の支払の状況

従業員(専従者・使用人)への給与支払いの有無を記入する欄です。人数や給与の定め方、源泉徴収の有無を記載して、税務署への事務対応を整理できます。

その他参考事項

補足的な情報を任意で記載できる欄です。必要に応じて特記事項や後日確認すべき内容などを自由に記入できます。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する場合には「有」にチェックします。

給与支払を開始する年月日

給与支払いを始める予定の年月日を記入する欄です。該当する場合、税務署に対して支払い時期の予定を明確に伝えることができます。

関与税理士

「関与税理士の記載内容」を記載する欄です。

開業届でよくある記入ミスと失敗例

開業届は一度提出すると修正しづらく、税務手続きや事業運営に影響が出ることがあります。まず、事業内容を狭く書きすぎるケースです。業務を限定してしまうと、将来の業務拡大時に「届出内容と実態が違う」と説明を迫られる可能性があります。このため、現在行う業務に加え将来行う可能性のある業務も見据えた、やや幅を持たせた表現が安心です。
次に、開業日と実態のズレによるトラブルです。売上発生日と開業日が大きく異なると、税務署からその経緯を説明するよう求められることがあります。合理的に説明できる日付、例えば準備開始日や初回取引日などを開業日とすると無理がありません。
さらに、控えを取らずに提出してしまうパターンも少なくありません。控えがないと、屋号付き口座の開設や補助金申請時に「事業の証明」ができず、再提出が必要になることがあります。提出後は必ず控えを保管してください。窓口提出なら受付印付きの控えを、郵送時は返信用封筒を同封して受け取れるようにしておくと安心です。
これらの典型的なミスと対処法を押さえておくことで、開業後の手続きや事業展開でのトラブルを未然に防げます。特に飲食業の経験があり、店舗開業を検討している方にとっては、スムーズで安心なスタートに直結します。準備段階から正しく整えることが、安心できる未来への第一歩です。

開業届の提出先・提出期限

開業届を正しく提出するためのポイントは、適切な提出先と期限の把握です。この手続きにより、税務上の手続きがスムーズに運び、事業開始が安心して行えます。以下で詳細を確認していきます。

開業届の提出先

開業届は、選んだ「納税地」を管轄する税務署に提出する必要があります。自宅を納税地にする場合、自分の住民票上の住所を管轄する税務署が提出先となります。事務所やバーチャルオフィスを納税地に設定する場合、その所在地に対応する税務署が担当です。誤った税務署に提出しても、多くのケースで税務署間で回付されますが、再提出が求められる場合も考慮する必要があります。重要な書類であるため、提出前にしっかり確認することが大切です。疑問がある場合は専門家に相談することを推奨します。また、国税庁のウェブサイトで管轄税務署を確認することもできます。

開業届の提出期限

開業届の提出期限は、開業年の所得税確定申告期限までとされています。これは、その年の翌年3月15日が一般的な期限です。最近の法改正により、開業後1か月以内の提出義務が緩和され、開業準備に余裕ができました。この変更は、新たに事業を開始する方にとって、計画的に準備を進めるためのよい機会となっています。ただし、開業届を早期に提出することで税制上のメリットを受けられる可能性もあるため、早めに準備することを検討する価値があります。スケジュールを綿密に立てて、余裕を持った事業スタートを目指すことが重要です。

開業届の提出方法

結論として、開業届は原則として事業開始から1か月以内に提出すべきですが、開業日を売上発生日や準備開始日、初回契約日など合理的な日として自己申告できるため、売上前でも準備を始めた日を開業日とするのが一般的です。提出期限を過ぎても受理されることは多いですが、青色申告承認申請書などは期限厳守が必要で注意が必要です。

税務署に持参

税務署に直接持参する方法は最も確実です。受付の際にその場で記入内容や不備を確認してもらえる点が大きなメリットです。税務署は平日8時30分~17時に開庁しており、この時間内に持参する必要がありますが、時間外には税務署に設置された時間外収受箱を利用することも可能です。訪問による手間はかかりますが、安心して提出したい方には最適です。

税務署に郵送

郵送による提出は、時間を気にせず提出できる便利な方法です。封筒に開業届と控え返送用の返信封筒・切手を同封し、管轄税務署宛に送付します。消印日が提出日として扱われるため、期限内にポスト投函すれば提出期限に間に合ったことになります。ただし、書類に不備があった場合のやり取りに時間がかかることもあるため、記載内容は慎重に確認しておくのがよいでしょう。

オンラインで提出

e‑Taxを利用したオンライン提出は非対面で完了できる方法です。パソコンやスマートフォンなどの環境と、マイナンバーカード・電子証明書の準備が必要です。利用者識別番号の取得やe‑Taxソフトのインストールなどの事前準備を済ませれば、自宅から24時間いつでも提出可能で、受信通知などの履歴が控えになります。提出手続きが完結するスピーディさが魅力です。

提出時に必要なもの

開業届を提出する際、準備すべきものは次の通りです。まず、開業届の用紙を記入し、控えとしてのコピーも用意します。次に、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)を持参し、身分を証明してください。これらを揃えて税務署の窓口で提出すれば、開業手続きはスムーズに進みます。

控えの保管が重要な理由

開業届の控えは、事業用口座を開設する際や融資を申請する際に必要な証明書となるため、しっかりと保管することが求められます。控えがなければ、金融機関や支援を受ける際に手続きに支障を来す可能性があります。また、オンライン提出では、e-Taxの送信記録から電子データとしてダウンロードできるので、万が一紛失しても再度入手可能ですが、この場合も税務署での再発行手続きが必要で、通常2週間から1ヶ月程度かかることがあります。これにより事業計画や取引先との契約などにも影響が出るため、失くさないよう十分に注意しましょう。

そのほかに提出が必要な書類

開業届は、個人事業主として事業を始めるために提出する書類の中でも代表的なものですが、開業届以外にも提出しなければならない書類はいくつかあります。

開業届以外に提出が必要な書類について、以下で説明します。

都道府県税事務所へ提出する開業の書類

個人事業主として開業する際には、都道府県税事務所へ個人事業を開始したことを申告する書類を提出しましょう。

提出する書類は自治体によって異なり、たとえば東京都では「事業開始等申告書」、大阪府では「事業開始・変更・廃止申告書」という書類を提出することになります。

税務署に対して開業届を提出しているにも関わらず、これらの書類を提出しなければならないのは、税務署と都道府県税事務所では所管する税金の種類が異なるからです。

税務署は国税を所管しており、都道府県税事務所は地方税(個人事業税)を所管しているため、個人事業主としての納税をきちんと行うためにも提出が必要となります。

青色申告承認申請書

青色申告承認申請書は、確定申告時に青色申告を行うために必要な書類です。本書類を提出しなければ、確定申告は白色申告で行うことになります。

青色申告は白色申告よりも控除を多く受けられるなどのメリットがあるため、特別な事情がない限りは青色申告を行うのが賢明でしょう。

青色申告承認申請書は最寄りの税務署の窓口で受け取ることができるほか、国税庁のサイトからPDFで取得することも可能です。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書は、従業員を雇って給与の支払いを行う場合に、源泉徴収した所得税を毎月支払うのではなく、年2回まとめての支払いへと変更してもらうために必要な書類です。

ただし、納期の特例が適用されるのは、常時雇用する従業員が10人未満の場合のみです。常時雇用する従業員が10人以上の場合や、従業員を雇わずに自分だけで事業を行う場合には提出する必要はありません。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書は、最寄りの税務署の窓口で受け取ることができるほか、国税庁のサイトからPDFで取得できます。

青色事業専従者給与に関する届出書

青色事業専従者給与に関する届出書は、確定申告で青色申告を行う際に、配属者や親族に対して支払う給与を経費計上するために必要な書類です。

確定申告を青色申告で行わない場合や、配偶者や家族を従業員として雇わない場合には、提出する必要はありません。

青色事業専従者給与に関する届出書は、最寄りの税務署の窓口で受け取ることができるほか、国税庁のサイトからPDFで取得することも可能です。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

結論として、従業員を1人でも雇い給与を支払う事業者は、「給与支払事務所等の開設届出書」を必ず提出しなければなりません。この書類は、給与支払事務所の開設状況を税務署に公式に通知するものです。
提出期限は、「給与支払いを開始した日から1ヶ月以内」とされています。未提出の場合、源泉徴収に関して税務署から指摘を受けることがあり、後々手続きが面倒になる可能性も出てきます。また、事務所の移転や廃止があった場合も速やかに提出が必要です。この手続きは、規模が小さい個人事業主でも重要で、しっかりと対応を行うことで、事業者としての信用を維持できます。必要な手続きを把握し、即時対応することが事業の安定化につながりますので、怠らないようにしましょう。

所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書

所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書は、開業1年目の税負担を減らしたい場合に提出しておくと効果的な書類です。

本書類を提出しておくことで棚卸資産の評価方法を自由に選択できるようになるほか、減価償却の方法も「定額法」と「定率法」のいずれかを選択できるようになります。

棚卸資産の評価および減価償却を都合のよい方法で行うことによって、税負担を軽くできる点がメリットです。

所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書は、最寄りの税務署の窓口で受け取ることができるほか、国税庁のサイトからPDFで取得できます。

電子申告・納税等開始(変更等)届出書

結論として、e‑Taxを利用して申告や納税を行う事業者は、「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を提出することが欠かせません。この手続きを通じて、税務署へオンライン手続きの利用を申請できます。
この届出をもとに、開業届や青色申告承認申請書と併せて進めると、その後の手続きはすべてe-Taxで完了できます。特に、個人事業の負担を軽減したい方にとって、大きな利点があります。マイナンバーカード方式を併用すると、さらに手続きが効率化されるためです。自宅から申告が可能になり、時間や場所を気にせずに手続きが可能になって便利です。また、初回の手続きで将来的な手間を減らすことができるため、準備段階からの着実な対応が、スムーズな安心感をもたらします。

開業届をe-Taxで提出するための準備・流れ

e‑Taxで開業届を提出するには、事前準備が整っていれば、自宅にいながら効率よく手続きを完了できます。まず必要なのは、電子証明書の確認です。これはマイナンバーカードに内蔵された本人確認用のデジタル証明書で、カード作成時に設定したパスワードとともに、有効期限内であることを確認します。同時に、e‑Taxで個人を識別するための「利用者識別番号」を取得しますが、現在はオンラインで申請すればその場ですぐに発行・確認が可能です。さらに、ブラウザで動く「e-Taxソフト(WEB版)」を利用します。これはインストールの手間がなく、最新のブラウザ環境があればすぐに操作を開始できます。これら3つの準備が整ったら、e‑Taxでの開業届の作成・提出へスムーズに進めます。この流れがあれば、「開業届って大変そう」と感じている人も一歩踏み出しやすくなるはずです。なお、初めての方は国税庁の公式情報も併せて確認すると安心です。

準備① 電子証明書を確認する

電子証明書は、e‑Taxを利用する際に本人確認を行うために必要なデジタル証明書です。利用するには、まず市区町村の役所でマイナンバーカードを作成し、署名用電子証明書を有効にする必要があります。注意点として、電子証明書には5回目の誕生日までの有効期限が設定されているため、必要に応じて更新手続きが必要となります。また、カードを読み取るスマホやICカードリーダーが必要になるので、事前に対応機種を確認し準備しておくとよいでしょう。

準備② 利用者識別番号を取得する

利用者識別番号は、e‑Taxを利用する際に必要な個人識別番号です。国税庁のホームページ(e-TaxソフトWEB版)からオンラインで申請することができ、手続きは非常に簡単です。申請時には、氏名や住所などの基本情報を入力し、マイナンバーカードで本人確認を行います。申請後、画面上に即座に番号が表示されるため、郵送を待つ必要はなく、その日のうちに開業届の提出まで進めることが可能で大変スピーディです。

準備③ e-Taxの環境確認

e‑Taxを利用するためには、お手持ちのパソコンやブラウザがe-Taxに対応しているか環境をよく確認しておきましょう。OSやブラウザは常に最新バージョンにアップデートしておくことも忘れないでください。国税庁の公式サイトには推奨されるブラウザ(EdgeやChromeなど)の記載があるので事前に確認しておくと慌てずに済みます。専用ソフトの導入が不要なWEB版なら、設定の手間も最小限に抑えられます。

e-Taxで開業届を提出する手順

e‑Taxで開業届を提出する手順は以下の通りです。
・e‑Taxソフト(WEB版)にログイン
・作成メニューから「個人事業の開業・廃業等届出書」を選択
・画面の案内に沿って各種必要事項を入力
・マイナンバーカードを読み取り、電子署名を付与して送信

これにより、税務署に行かずに開業届を提出できます。必要事項の入力後は、マイナンバーカードを使って電子署名を施すことで正式に提出完了となります。操作に不慣れな場合にも、画面の案内に沿って進めれば迷わず対応できます。また、提出後は「送信結果・お知らせ」から控え(受信通知)を確認し、PDFでダウンロードして保管しておくと安心です。

開業届と合わせてe-Taxや郵送で提出可能な書類

開業届を提出する際、同時に提出できる書類は以下の通りです。

書類名
内容
提出期限
青色申告承認申請書
所得税の青色申告を行うための申請。最大65万円の控除が受けられる。
開業から2か月以内

青色事業専従者給与に関する届出書
家族に支払う給与を経費として計上するための届出。
開業から2か月以内

給与支払事務所等の開設届出
従業員や専従者に給与を支払う際に必要な届出。
開業から1か月以内

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
源泉所得税の納付を年2回(7月・1月)に集約できる申請書。
随時(提出翌月から適用)

【業種別】開業届以外に必要な手続き

ここまで紹介した書類は、個人事業主として開業する方であれば誰もが提出しなければならない可能性がある書類でした。

しかし、業種によってはさらに別途提出しなければならない書類や、行わなければならない申請などがあります。

たとえば飲食店の場合、「飲食店営業許可」および「防火管理者選任届」が必要となり、深夜12時以降に酒類を提供するのであれば「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」も必要です。

そのほか、美容院・マッサージ店・エステサロンで開業する場合には、以下の書類の提出や申請が必要です。

・ 美容院:美容所開設届
・ マッサージ店:施術所開設届(国家資格所持者が医業類似行為としてのマッサージ等を行う場合)
・ エステサロン:美容所開設届(マツエクサロンのような化粧等の方法により容姿を美しくするための施設を併設する場合)

このように業種に応じて必要な届け出は異なるため、自身が営む予定の業種ではどのような届け出が必要かに関しては、事前に調べておかなければなりません。

個人事業主として開業後に必要な手続き

個人事業主として開業するために必要な手続きは、書類の提出や資格・許認可の申請だけではありません。

ここからは、個人事業主として開業した後に行うべき手続きについて説明します。必須ではないものの、行ったほうがよい手続きも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

国民健康保険・国民年金への加入

会社をやめて個人事業主になる際には、国民健康保険に加入するか、勤めていた会社の健康保険を任意継続するかを選択する必要があります。

一般的には国民健康保険に加入するケースが多いものの、扶養家族がいるケースなどにおいては任意継続のほうがお得なこともあるため、各自が抱える事情に応じて適宜判断するとよいです。なお、任意継続には最大2年という期限があることは覚えておきましょう。

また、保険だけでなく年金も、厚生年金から国民年金へ加入することになります。

事業用の口座やクレジットカードの作成

個人事業主として開業すると、個人で利用するお金とは別に、事業関係で出入りするお金が発生するようになります。

個人のお金の動きと事業のお金の動きを判別しやすくするためにも、個人の口座とは別に事業用の口座を作るのがおすすめです。

名刺やホームページの作成

個人事業主として取引の幅を広げるためには、名刺やホームページが重要な役割を担います。とくにホームページは、数多くの人にリーチできる方法なので非常に効果的と言えるでしょう。

ホームページは自分で作成することも可能ですが、貧相なものを作成してしまうと逆効果になりかねないため、クオリティに自信が持てない場合は費用を払ってでもプロに外注することをおすすめします。

確定申告の準備

個人事業主として開業を行ったら、1年に1回決められた期間内に確定申告を行わなければなりません。

確定申告を青色申告で行うのか白色申告で行うのかによって、手続きの煩雑さは異なりますが、行うべきタイミングでスムーズに行えるように事前に準備しておくことが望ましいです。

青色申告では複式簿記が必要となるため、簿記の知識がない方は税理士などの専門家に相談する、もしくは会計ソフトを活用するなど対策を行えば、円滑に確定申告が進めやすくなるでしょう。

時系列チェックリスト表

| 開業直後 | 青色申告承認申請/青色事業専従者給与届出(税務署)
個人事業税の開業届(自治体)
国民健康保険・国民年金への加入
事業用口座の申請・クレジット発行
会計ソフトの選定・導入 |
| 1ヶ月以内 | 領収書・請求書の整理ルールを決める
名刺作成・ホームページの立ち上げ
帳簿付け(会計ソフトへの入力開始) |
| 初年度中 | 毎月の帳簿更新習慣化
収支・資金繰りの見直し(収益対策)
必要に応じて融資や補助金の情報収集・申請
開業1年目の確定申告の準備(書類・申告様式の確認)
保険や制度変更の確認(例:消費税課税事業者選択の検討) |

開業届に関するよくある質問

開業届について多くの方が抱える疑問をまとめました。提出に費用がかかるの?廃業届や内容変更はどうすればいい?その疑問に順にお答えします。

Q1.届出に費用はかかる?

A1.開業届そのものの提出に費用は一切かかりません。税務署へ提出する「個人事業の開業・廃業等届出書」は、e‑Tax・郵送・窓口いずれの方法でも無料で提出できます。費用が生じるのは、申請を税理士に依頼した場合や有料サービスを利用したケースのみです。

Q2.開業届と廃業届は別?

A2.はい、開業届と廃業届は異なります。事業開始時には「個人事業の開業・廃業等届出書」を開業の区分で提出し、事業を終える際には同様の書式を廃業の区分で提出します。廃業届を出さずに放置しても罰則はありませんが、税務上の整理や通知対応のためには提出しておくと安心です。

Q3.開業届を出したあとに内容変更はできる?

A3.はい、変更可能です。住所・納税地・屋号などに変更があった場合、「異動届出書」を提出することで対応できます。変更があった時点から速やかに提出するのが望ましく、未提出のままだと税務署からの通知が届かず、事務的な不都合が起こる可能性があります。

開業時には開業届の提出や各種申請などのさまざまな手続きが必要

個人事業主として開業するにあたっては、開業届をはじめとしたさまざまな書類を提出する必要があります。

また、開業届の提出以外に必要となる手続きは業種によって異なるため、自分が開業を検討している業種で必要な手続きについてきちんと確認しておきましょう。

開業する方法についてはこちらの記事でも紹介しているのでぜひ参考にしてください。

さまざまな手続きについて、自分一人だけではすべて網羅できるか心配だという方は、開業準備を支援してくれる「canaeru(カナエル)」のようなサービスを利用してはいかがでしょうか。

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