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お酒好きの方にとってバー経営は夢のある職業です。好きなお酒を提供したり、腕を磨いてオリジナルのカクテルを開発したりと、工夫次第で自分好みの魅力的なお店を作れます。
経営面で見ても、利益率の高いアルコール類をメインで提供するバー経営は、安定した収益も見込めます。しかし、バーの開業や経営には一般的な飲食店と異なる資格や準備が必要です。
本記事では、バー開業に必要な資格や準備を解説。さらに、バー経営に向いている人の特徴を5つの視点から紹介します。バー経営を志す方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
バーを開業するにはいくら必要?
店舗の規模やスタイル(オーセンティック、ショット、スタンディング、ダイニング
)、立地にもよりますが、バーの開業資金は500万円〜1000万円程度が相場とされています。
バーで必要な開業資金は、おもに5つに分けられます。
●物件取得費
●設備工事費
●備品・消耗品費
●宣伝費
●お酒の購入費
それぞれの費用について、以下で詳しく説明します。
物件取得費:立地で大きく変わる初期投資
物件取得費とは、店舗となる物件を借りるための費用です。保証金(敷金)や礼金、仲介手数料などが該当します。物件や立地にもよりますが、保証金(敷金)は家賃の6~12ヶ月分程度、礼金および仲介手数料がそれぞれ家賃の1~2ヶ月分程度必要なケースが多いようです。
また、工事などを行う関係上、実際にバーをオープンさせる1~2ヶ月前から物件を取得しておく必要があり、その間の「空家賃」も必要になります。設備工事費:内装や厨房設備にかかる費用
物件を取得したら、次は設備工事です。スケルトン物件の場合、電気・ガス・水道・厨房機器などの内装設備や、内外装を整備する必要があります。工事費は店舗の広さにもよりますが、一坪あたり30~50万円が一般的だといわれています。
居抜き物件は工事費を抑えられるメリットはありますが、別途、造作譲渡費を支払う必要があったり、レイアウトに制限があったりするため、注意しておきましょう。備品・消耗品費:グラスやお酒の在庫など
備品・消耗品費は、グラスや食器などの什器、インテリアなどを購入するのにかかる費用です。これらは「どのようなコンセプトのお店にするか」によって大きく変わります。
たとえば、誰でも気軽に飲みに来られるアットホームなバーを目指すなら、グラスやインテリアに大金をかける必要はないでしょう。しかし、ターゲットを富裕層に設定するのであれば、ブランドもののグラスや高級感あるインテリアを揃えることが望ましいです。
高級ブランドの食器やグラスの購入には数百万円かかることも珍しくありません。備品を揃える際は、お店のコンセプトや雰囲気に合ったものを選ぶようにしてください。宣伝広告費:オープン前後の集客に必須
広告の種類には、チラシやパンフレットをポストに投函する「ポスティング広告」や、InstagramやXを利用した「SNS広告」などがあります。ホームページの開設費もこちらの費用に含まれます。
宣伝はターゲットの客層に合わせた媒体を選ぶことが大切です。インターネットの利用率が比較的低い高齢者層に対しては、SNS広告よりポスティング広告のほうが効果的です。反対に、スマホ利用率の高い若年層をターゲットにするなら、SNS広告のほうがより効果的です。お酒の購入費:品揃えで差をつける重要項目
バーをオープンする前に、ビール、ウイスキー、ジン、ウォッカなど、さまざまな種類のお酒を用意する必要があります。
お酒のラインナップは、お店のコンセプトに合わせて揃えるのが一般的です。ヴィンテージワインや高級ウイスキーを扱う場合や、昨今の為替相場などを考慮すると、お酒の仕入れ費用だけで数千万円かかることも珍しくありません。初期費用を抑えてバーを開業する方法
なるべく初期費用を抑えてバーを開業したい方には、次の3つの方法がおすすめです。
●「居抜き物件」を探す
●中古の什器・備品を探す
●リース賃貸を利用する
各方法について、詳しく解説します。「居抜き物件」を探す
居抜き物件とは、前のテナントが利用していた設備や備品が残っている物件のことです。厨房設備や空調設備のほか、カウンターなどのインテリアがそのまま利用できる
ため、設備工事費や備品の購入費を節約できます。中古の什器・備品を探す
新品で購入すると金額の負担が大きい冷蔵庫やエアコンなどの大型な備品は、中古品で揃えることで費用を節約できます。中古の什器・備品を利用したい場合は、リサイクルショップや中古家具店、業務用厨房機器の専門店などで購入しましょう。
リース賃貸を利用する
リース賃貸とは、設備や備品があらかじめ揃っている物件を借りることをいいます。自分で内装工事をする必要がないため、初期費用を大幅に抑えられます。
「居抜き物件」と似ていますが、居抜きが設備や備品の譲渡や購入を前提としているのに対して、リースはあくまでも賃貸を前提としている点が大きく異なります。設備や備品をレンタルする分、リース物件は通常の物件よりも賃料が高いのが一般的です。バー開業に使える助成金・補助金を利用する
開業費用の負担を軽減するために、活用できる助成金・補助金を探すようにしましょう。バーの開業には比較的高額の費用がかかりますが、さまざまな公的支援策があります。
東京都内で開業を検討している方におすすめなのが、公益財団法人東京都中小企業振興公社の「創業助成金」
です。上限400万円の助成金を受けられ、賃借料や備品購入費などの開業費用に充てることができます。
一方、都内の都心部を除く地域で開業する場合は、各都道府県が実施している「地方創生起業支援事業」
を活用するのが有効です。最大200万円の助成金が得られ、設備投資や賃借料の支払いに充てられます。
これらの助成金や補助金は返済不要の制度のため、積極的に活用しましょう。バーを開業するのに必要な資格は2つのみ
飲食店を経営するには「食品衛生法」と「風営法」で規定されているルールをクリアしなくてはいけません。また、必要な資格を取得せずに経営をしてしまうと、行政指導や罰則の対象になってしまいます。
バーの経営には、お店のオープン前に以下2つの資格を取得する必要があります。
●食品衛生責任者
●防火管理者バーの開業に必要な資格①「食品衛生責任者」
業態に関わらず、飲食店の経営者には1人以上の「食品衛生責任者」の設置が義務付けられています。各都道府県が実施している6時間の講習を受講することで取得可能です。資格取得後は、営業開始までに保健所へ「食品衛生責任者設置届」を提出してください。なお、食品衛生責任者は必ずしも経営者である必要はありません。
バーの開業に必要な資格②「防火管理者」
店内の収容人数が30人以上の場合、火災の発生などに備えて「防火管理者」を選任する必要があります。防火管理者は、店舗の広さによって以下2種類に分かれます。
●甲種…延べ床面積が300平方メートル以上
●乙種…延べ床面積が300平方メートル未満
どちらの資格も、消防署が実施する講習会を受講して取得できます。甲種は2日間(約10時間)、乙種は1日間(約5時間)の講習を受け、受講後に消防署に申請して資格取得となります。バーを開業する前に提出しなくてはいけない「4つの届出」とは?
バーの営業を開始する前に、関係各所に以下4つの届出を提出しましょう。
●営業許可申請書
●深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書
●防火管理者選任届出
●特定遊興飲食店営業許可
各内容について詳しく解説します。
営業許可申請書
営業形態に関係なく、飲食店を経営する際は「営業許可申請書」を保健所に提出してください。申請から許可までに時間がかかるため、開業の10日〜2週間前までには手続きを済ませるとよいでしょう。申請には地域によって1万6千円〜1万9千円ほどの手数料がかかります。
なお、営業許可申請書を提出せずに無許可で営業した場合、「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科されます。深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書
深夜0時〜午前6時に酒類の提供をメインに行う飲食店は、管轄する警察署に「酒類提供飲食店営業営業開始届出書」を提出する義務があります。
手数料は無料で、申請した日の10日後から深夜営業が可能になります。なお、届出せずに無許可で営業した場合、風営法により「50万円以下の罰金」が科されます。防火管理者選任届出
前述のとおり、収容人数が30人以上の飲食店はこちらの届出を行い、防火管理者を選任することが義務付けられています。
防火管理者を選任せずに営業を続けると、所轄の消防署から指導が入ります。それでも従わない場合、消防法により「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されます。特定遊興飲食店営業許可
午前0時〜6時に飲食物だけでなく、ダンスやカラオケなどの「遊興」を提供する飲食店は、こちらの届出をして営業許可を取らなくてはなりません。
申請をせず無許可で営業した場合、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこれの併科」が科されるので注意が必要です。提供するサービスが遊興に該当するかわからない場合は、事前に警察署に相談しましょう。バーを開業し、経営するのに向いている人
バーに限らず、飲食店の経営は生半可な気持ちでは成功しません。そこで、どのような方がバー経営に向いているのか、5つの視点からひも解いてみましょう。
独立心と信念を強く持っている人
バーの開業は、他人に頼らず自分の力で進めなければならない場面が多くあります。独立心が強い人は、自分のビジョンやコンセプトを貫く力を持ち、困難な状況でも自分の判断を信じて行動することができます。また、強い信念があれば、長期的な目標に向かって努力し続けることができ、経営の成功につながります。
行動力・決断力がある人
バー経営には迅速な対応と決断が求められます。例えば、メニュー設定やイベント企画など、日々の経営判断が迅速に求められることが多いです。行動力や決断力がある人は、チャンスを逃さず行動に移すことができ、問題が発生したときに迅速かつ適切に対処できます。
冷静で客観的な人
どのビジネスでも同様ですが、バー経営も冷静に物事を判断する力が重要です。経営状況の分析や従業員の管理、顧客対応など、冷静な判断が求められる場面が多々あります。客観的に物事を見つめ、感情に左右されずにデータや状況を分析できる人は、トラブルを未然に防ぎ、健全な経営を維持することができます。
貧乏や逆境を苦と思わない人
開業直後は売上が思うように上がらず、経済的に厳しい状況に直面することも想定しておきましょう。そして、このような逆境に対しても挫けず、粘り強く努力を続けられる人は、最終的に経営を軌道に乗せることができるかもしれません。貧乏や逆境を乗り越えるためには、困難を乗り越えるための強い意志と忍耐力が必要です。逆境を成長の機会と捉え、ポジティブに挑戦し続ける姿勢が大切です。
プラス思考・ポジティブ思考な人
経営には多くの困難や失敗が伴いますが、失敗を前向きに捉え、次の成功へのステップと考える思考を持つことが重要です。ポジティブな考え方は、従業員や顧客にも良い影響を与え、バーの雰囲気を明るくする要素にもなります。
出典 バーのオーナーに向いている人はどんな人?バーを開業するまでに決めておくべき6つのこと
バーを開業する前に、事前に決めておくべきことが複数あります。
①店舗の場所
②座席数
③従業員の有無
④バーで使用するグラスなどの選定
⑤お酒の仕入れ先
⑥メニューと価格
ひとつずつ内容を解説します。①店舗の場所
人通りが多い立地の物件は人気があるため、賃料も高いのが一般的です。開業してすぐに大きな売上を出せれば問題ありませんが、そうでない場合は高額な賃料が経営を圧迫するかもしれません。
駅から遠くて通行量が少ない場所でも、隠れ家的な存在として人気のある飲食店は多いです。とくにバーの場合、人通りが少ない場所にあることがむしろプラス要素になることもあります。
店舗の場所を決める際は、単に通行量だけを判断材料にせず、お店のコンセプトやターゲットの客層を加味しながら決めましょう。②座席数
店内の座席数によって、見込まれる売上や確保すべき従業員の人数は変わります。用意できる資金と想定売上を勘案して、適切な座席数を決めましょう。
③従業員の有無
店舗の規模によっては、自分1人だけではお店を回し切れない場合があります。一般的に、20席以上ある店であれば最低でも1人は従業員を雇ったほうがよいといわれます。
従業員を雇う場合は、雇用する人数や給与額、どのような形で募集するのかを事前に決めておく必要があります。④バーで使用するグラスなどの選定
グラスや家具、店内に飾る花や絵などは、お店の雰囲気を演出するのに欠かせないアイテムです。開業前に、お店のコンセプトに合った備品を仕入れましょう。
⑤お酒の仕入れ先
事前にお酒の仕入れ先を決めておくことも重要です。お酒を一般価格よりも安い業務用価格で仕入れるには、酒販会社との取引が必要になります。酒販会社とは、レストランやバーなどの飲食店にお酒を卸す小売業者のことです。
バーの経営者は、新規で取引してくれる酒販会社を探さなくてはいけません。知り合いの飲食店経営者に紹介してもらうケースもありますが、酒販会社が合同で主催する試飲会に参加する方法もあります。⑥メニューと価格
1ヶ月の想定売上から客単価を導き出し、それをもとにメニューと価格を考えてください。他店と差をつけるために、提供するお酒やフードメニューを工夫することも大切です。コスパの高い目玉商品や、SNSで話題になりそうな個性的なカクテルなど、集客につながりそうなメニューを考案しましょう。
バーの経営で成功するための5つのポイント
一般的にバーの経営は、以下のポイントを守ることで成功する可能性が高まるといわれます。
①お店のコンセプトに合った立地を選ぶ
②サービス・接客が良い
③コスパが良い
④オリジナル商品がある
どのような内容なのか、順番に解説します。
①お店のコンセプトに合った立地を選ぶ
飲食店を経営するうえで「立地の良さ」は重要な要素です。しかし、繁華街や駅前などの物件は人気があるため、賃料が高い傾向にあります。また、駅前であっても人気がでない飲食店もあり、人通りが多ければ必ず繁盛するというわけではないようです。
バーの立地は、以下の3点を基準に選ぶのが定石とされています。
●お店のコンセプトに合っているか
●ターゲット層が多く通るか
●近くに競合店はあるか
たとえば、富裕層をターゲットにした高級店を学生の多い地域にオープンしても、期待したような来客数は望めないでしょう。また、近くに自分のお店と似た雰囲気のバーがあると、お客様の取り合いになることが考えられます。②リピーターを増やす
どの業態にもいえることですが、安定した飲食店経営にはリピーターを増やすことが必要不可欠です。特にオーセンティックバーやショットバーなど、一人客が多いスタイルのお店では、何度も足を運んでもらえるような店づくりが大切になります。
リピーターを増やす施策として、以下の3つを押さえておきましょう。
●良い接客・サービスを心掛け、好印象を与える
●お客様の好みや性格などを把握し、居心地がよい場所にする
●クーポンなどを配布し、再来店するキッカケを作る
バーは、お客様一人一人との関係づくりが重要な業態です。会話を楽しみたいお客様とは積極的にコミュニケーションをとり、静かにお酒を楽しみたいお客様には気配りをしたりと、お客様がお店に何を求めているかをキャッチしなければなりません。③コスパが良い
お酒類の提供がメインのバーは、レストランなどの飲食店と比べて原価率が低い(=利益率が高い)特徴があります。利益が増えるため、お店にとってはプラスの要素となりますが、お客様の中には「コストパフォーマンスが悪い」と感じる方もいるかもしれません。
「バーはコスパが悪い」という前提がある中で、原価ギリギリの商品を何品か用意しておけば、コスパの良さに魅力を感じて来客する方が増える可能性があります。コスパの良さで他店との差別化を図る方法も、集客には効果的です。④オリジナル商品がある
集客力を上げるには、オリジナルのカクテルやフードなど、他店にはない看板商品を提供することもおすすめです。
バーの開業を考えている方の中には、前職で飲食店の料理人をしていた方もいるでしょう。たとえば、前職で中華料理店のコックをしていた場合、フードメニューに餃子やシュウマイなどを加えることで、その店独自の個性を出せます。
前職の経験をうまく活かせば、他店にはないオリジナルのメニューを作れるかもしれません。⑤初めての方も入りやすい店づくり
バーは店外から中を覗きにくかったり、常連で賑わっているイメージがあることから、敷居が高いと感じる方も少なくありません。初めての方でもお店に入りやすくなるように、以下の工夫を施しましょう。
●店構えを「明るく」「温かみ」を感じさせるデザインにする
●入口に掲示物を置いて店内に誘導する
どれほどお酒がおいしいバーでも、店に入りづらいと集客につながりません。特に、初めてバーに来店する方は身構えている可能性が高いので、入りやすくなる工夫をすることが重要です。
もちろん、バーのコンセプトによってはマッチしないこともあるので、あくまでも一例として参考にしてください。バーを開業するために必要な知識を身につけましょう
お酒をメインに扱い、深夜も営業するバーは、一般的な飲食店とは開業準備が異なります。自分一人で準備を行い、経営戦略を立てるのが難しいと感じる場合は、プロのコンサルタントに無料相談を申し込みましょう。
飲食店などの開業支援を行っている「canaeru(カナエル)」では、抱えている悩みに応じて、起業経験者や金融機関・不動産業界出身者といった、さまざまな経歴を持つ開業プランナーに相談することができます。
また、canaeruの運営元である株式会社USENは、国が定める経営革新等支援機関(認定支援機関)です。税務、金融および企業財務に関する専門的知識や支援にかかる実務経験が一定レベル以上ある支援機関として国に認められています。
不安や悩みをクリアにしたうえでバーを開業したい方は、ぜひcanaeruの利用をご検討ください。
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