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過酷なフランチャイズビジネス…24時間営業を取りやめた大阪のセブンイレブンの例から考える

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コンビニに代表されるフランチャイズビジネス。
最近では安いのに高機能でおしゃれ!という声と共に人気がうなぎ登りの「ワークマン」でもフランチャイズ経営を行い、加盟志望者の応募が殺到しているとか。
今やフランチャイズ市場も26兆円規模といわれ、独立開業を目指す人にとって選択肢のひとつになっていますが、個人開業に比べたとき、どのような違いがあるのでしょうか。
メリット・デメリットから、これからのフランチャイズビジネスを考えてみました。

参考記事:フランチャイズにおける7つのリスク&デメリットを解説。失敗しないためのポイントとは?

今さら聞けない…フランチャイズビジネスのおさらい

フランチャイズとは加盟店が本部にロイヤリティを支払うことで、商標や経営ノウハウなどを利用できるシステムのこと。
その業種は、コンビニエンスストアや飲食店、学習塾やエステサロン、ハウスクリーニングなど多岐にわたります。
事業を運営するための基礎的な仕組みがパッケージになって提供されるので、未経験の分野でも比較的簡単に参入することができます。
また大手のフランチャイズはブランド力や知名度があるため集客に有利だったり、開業資金を調達しやすい、広告宣伝やキャンペーンなどの販売促進活動や仕入れコストに関するスケールメリットが受けられるなどのメリットも多くあります。

そもそも、フランチャイズのデメリットとはなんだ?

パッケージされているビジネスモデルをそのまま利用できるのがフランチャイズの利点ですが、もちろんそれにはお金がかかります。
たとえば加盟の際にかかる加盟金と、毎月支払うロイヤリティなどはその最たる例といえるでしょう。
ほとんどのフランチャイズ本部は加盟者との間に契約期間を定めており、その期間内に解約する場合には違約金が発生することも。
また、本部のブランドの名のもとに営業している以上、加盟店は本部の経営方針を守り、ブランド価値と品質を維持する義務があります。
そのため、経営の自由度は高くはなく、価格や仕入れ先などの変更は加盟者の裁量ではできないことがほとんど。
他にもノウハウ流出を防止するための契約を結び、契約終了後にも同業種での営業を禁止しているケースは多く、個人開業と比べると様々な制約が付いて回ります。
フランチャイズのメリットはブランド力を利用して集客が行えることにありますが、実はこれは諸刃の剣になることも。
同じブランドの店で起きた何かしらのトラブルがニュース沙汰になってしまえば、自分がオーナーを務める店は騒動に関係なくても、同ブランドであるがゆえに一緒くたに見られてしまうこともあり、結果として、集客や売上に影響するという可能性はなきにしもあらずなのです。

最近のフランチャイズ事情とは?

日本フランチャイズチェーン協会は「JFAフランチャイズ統計調査」を2019年8月に発表。
この調査の総括として、継続的な人材難が続く中、各社が加盟店を支援すべく、オペレーションの効率化や生産性向上への取り組み、セルフレジの導入や営業時間の見直し等により人材不足を補完するなど様々な企業努力があったとしています。
その結果、2018年度のフランチャイズ市場は、チェーン数 1,328と11チェーン減少しましたが、店舗数は26万4,556店、売上高は26兆2,118億円となり、いずれも前年度より増加したことがわかりました。
一例として外食業を取り上げてみると、チェーン数は8チェーン減(△1.4%)、店舗数は 811 店舗減(△1.4%)、一方売上高は749 億円増(+1.8%)。
中でも注目したいのが 「コーヒーショップ」と「一般レストラン」の分野です。
「コーヒーショップ」は店舗数+2.1%、売上高+10.2%と伸びをみせ、顧客のニーズに合った利用シーンの提供、充実したフードメニューの展開などで消費者に支持されていることがうかがえます。
また「一般レストラン」は、店舗数△3.6%、売上高+0.7%。ピザチェーンでは持ち帰りやキャンペーン等が奏功し、人手不足を背景に外部宅配員サービスの利用も増加傾向だったということです。

フランチャイズのロイヤリティとはどうなっているのか?

フランチャイズのロイヤリティとは加盟店が本部の商品やノウハウを利用する時に支払うお金のこと。
フランチャイズのシステムによってさまざまですが、ロイヤリティの算出方式は主に3種類あります。

売上歩合方式

最も一般的に採用されている方式で、店の売上に対し、数パーセントを本部に支払います。
パーセンテージの割合は数%~数十%まで業種により異なり、売上高が大きくなるとその割合を下げる本部もあります。

粗利分配方式

コンビニで多く採用されている方式で、売上総利益に対してロイヤリティの計算が行われます。コンビニのロイヤリティ率は他のフランチャイズに比べて高額で、約30〜70%といわれています。

定額方式

毎月一定額のロイヤリティを支払う方式です。
売上に左右されないので、売上が上がるほどオーナー自身の手元に残る金額は増えますが、逆に売り上げがなくても支払いは生じるので、その負担は大きくなります。

安ければいいわけではない…業種によって異なるフランチャイズのロイヤリティ率

ロイヤリティの支払いは安ければ安いほどいいと考えがちですが、その安さの裏には必ず理由があります。
たとえばロイヤリティがなかったとしても、その分は加盟料に反映されていたり、本部から材料や商品を仕入れる際の仕入れ値が高くなっていることも。
また「月会費」や「管理手数料」といった名目で回収していることもあります。
「本部ばかりが儲かるようになっていて加盟店のことは何も考えていない!」ともみえますが、特にフランチャイズを始めたばかりの企業にとって、成長するための正当な戦略でもあるのです。
ロイヤリティが安いからと飛びつくのはいけません。
フランチャイズの店を始めるのであれば、まずは本部に対する支払いを必ず把握し、結果として手元にいくら残るのか想定してみる必要があります。

提議のきっかけとなった過酷なフランチャイズ事情

経営ノウハウを利用できるなどフランチャイズにはメリットがある一方で、制約もあることで本部と加盟店との間に歪みが生じるケースがあります。
2019年2月には大阪にあるセブンイレブンの加盟店が深刻な人材不足などを理由に24時間営業を取りやめ、本部と対立したことが大きな話題となりました。
基本的に加盟店オーナーは、休みや勤務時間などを自ら調整でき、場合によってはアルバイトに店を任せることもあります。
しかしこれも経営が軌道に乗っているからできること。
そもそも人手が足らなければ自分が休み返上で働かなければいけませんし、売上が低ければ人件費を捻出できません。
年中無休の24時間営業のお店ともなれば、葬式にも行けず、子供の運動会にも行けないという声も上がるほど、オーナー自身に負担は重くのしかかります。
フランチャイズオーナーを含む経営者は自営業者なので、労働基準法は適用されません。
長時間勤務による無理がたたって身体を壊してしまっては、法に守られないだけではなく、運営も立ち行かなくなります。大阪の一件でコンビニ各社は24時間営業を見直す動きが出ており、今後の行方が注目されています。

独立開業、経営形態としてフランチャイズは「アリ」と言い切れるか…

個人開業は自分の裁量ですべてを決定し、実行しなければいけませんが、フランチャイズは最初から決められたルールの元で行うもの。
つまり、両者の最大の違いは「ビジネスの自由度」と「リスクの多寡」にあることです。
仮に、独立開業を目指す上で、個人開業がフランチャイズかで迷うことがあれば、メリット・デメリットやどのようなビジネスモデルが自分の適性なのか、熟考することが大切です。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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