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いくらあれば自分のお店を開くことができる?必要な費用と3つの調達手段を解説!

開業(独立)資金はいくらかかる? 資金の使い方と調達方法をチェックしよう!_記事画像

開業や独立をして自ら事業を興し、個人事業主になろうと計画している方なら、開業に必要とされる資金の多寡や、資金の調達方法について気になっていることでしょう。

もちろん必要とされる金額は業種によっても異なりますが、実際に開業に必要とされる諸々の費用の内訳が分かれば抑えるべきポイントも理解でき、どの程度の資金を集めればいいのか見通しも立ちやすくなります。

事業を始めるには開業資金「だけ」では足りない

事業を始めるにあたって、必要な設備や備品を購入するには多くの費用がかかることがあります。
これらをそろえるために必要とされるのが開業資金(資本金)です。
店舗事業であれば、物件の保証金や内外装の工事のためにお金がかかることは言うに及びませんが、会社経営の場合でもオフィスを借りる場合には店舗経営同様にテナント料が必要になるでしょう。

最近では自宅でネットショップを開業する場合や、リモートワークで業務を行い、特定のオフィスを持たないといった起業の形も増えていますが、それでもパソコンなどの電子機器を購入する場合や、広告費用がかかることもあり、完全にゼロ円で開業するのはなかなか難しいものです。

また、ビジネスを稼働させるための運営費である「運転資金」のことも頭に入れる必要があります。小売業や飲食業なら仕入れにもお金がかかりますし、どのような業種であれ、人を雇う場合には人件費やリクルーティング費が必要になります。

さらには事業が軌道に乗るまでの間、事業主はほとんど利益を得られないことも往々にしてあります。事業主も霞を食べて生きられるわけではないので、少なくとも半年分、余裕を持つなら1~2年分の生活費を用意しておきたいところです。

新規事業を興す際にはこれらの資金について事業計画書にまとめる必要もあり、こうした諸々の費用に関する基礎知識を理解することが事業計画のための第一歩と言えます。まずは「開業資金」と「運転資金」の内訳についてチェックし、開業資金の具体的な金額を見てみましょう。

開業資金と運転資金の具体的な使い道

日本政策金融公庫の「2018年度新規開業実態調査」によると、2018年の開業資金の中央値は600万円でした。事業内容や地域などの前提条件によって必要とされる金額は異なりますが、決して小さな額ではありません。

ここでは、仮にカフェやラーメン屋などの「小規模な店舗を運営する飲食店ビジネス」の開業にかかる費用の大まかな内訳について見ていきましょう(※相場はあくまでも目安です)。

店舗の物件を取得する際に必要な費用

■ 保証金(敷金)
賃料の6~12カ月分。退去時に返金されますが、一般的に償却額が設定されている物件が多く、それを差し引いた額が返金されます。

■ 礼金
契約時にオーナーに支払うお金で、返金されません。賃料の1~2カ月分が相場ですが、最近では礼金が不要な物件も増えています。

■ 仲介手数料
不動産業者に支払う手数料で、返金されません。賃料の1カ月分が相場です。

■ 造作譲渡費
居抜き(前の店舗の内装や設備を受け継ぐ)の場合、以前の借主に譲渡代金を支払います。金額は設備の状態や経過年数によって様々です。

内外装の工事や設備投資、備品の購入などに必要な費用

■ 内外装費
店舗の内装の設計や施工費用で、水まわりや電気、ガス、空調、吸排気などの設備工事も含みます。スケルトン物件の内外装工事の費用相場は坪あたり30~50万円前後となっているようです。

■ 厨房機器費
厨房機器の購入にかかる費用です。お店のジャンルによって必要な厨房機器は異なりますが、リースを利用するなどして費用を抑えることもできます。

■ 看板施工費
看板の施工・設置費用です。店舗の大きさや看板の種類により費用は異なりますが、10万円前後に抑えている場合が多いようです。

■ リクルーティング費
アルバイトなどのスタッフを雇う場合、WEB広告やチラシでのバイト募集の広告費用を指します。金額は利用する媒体によって幅広いです。

■ 広告費
チラシの作成やグルメサイトへの掲載など、集客のための販売促進にかかる費用です。リクルーティング費と同様、価格は媒体によって大きく変動します。

■ 備品費
ユニフォームや食器などの備品購入費です。仕入れる備品の量に応じて費用は異なります。

店舗運営のための運転資金

■ 家賃・光熱費など
店舗を維持するために毎月固定でかかる費用です。家賃は売上予測の10%以内に収めるようにするという考え方が一般的です。

■ 商品の原価
飲食店の場合でも、食材や調味料を仕入れるのに原価が必要です。

■ 人件費
アルバイトなどのスタッフを雇う場合、スタッフに支払う給料が必要です。

これらの固定費用に加え、経営に際して一時的な費用が発生することもあります。目安として、3カ月分の家賃、光熱費と仕入れ代金、スタッフへの人件費(事業主を除く)を準備しておくと理想的です。

その上で運転資金も必要なので、経営をはじめてからしばらくの間は自分自身の給料がないということもありえます。当面の生活費を用意しておくことも非常に重要と言えるでしょう。

開業資金を調達するための3つの手段

すでに事業を始めるのに十分な資金を保有している方ならば問題はありませんが、一般的には開業資金が不足している方の方が多いでしょう。

だからといって開業を諦めるのは早計です。事業を始めたいという方のために、不足している開業資金を調達する方法があります。開業資金はどのように集めればいいのか、代表的な3つの方法について見ていきましょう。

自己資金

自己資金とは、その名の通りあなた自身で貯めた(もらった)お金です。まずはこの自己資金を集めることから始めましょう。
一口に自己資金と言った場合でも、その調達方法には様々な種類があります。

■ 現金や貯金
事業のためにこれまで自分で貯めたお金です。

■ 退職金
これから受け取る場合でも自己資金として認められます。会社の退職金規模を確認しておきましょう。

■ 有価物件・不動産の売却
株や不動産といったお金に換えられる資産をお持ちであれば、これらを売却することで開業資金に充てることができます。

■ 親族・友人・知人からの贈与
自分で資金を貯める場合と比べて評価は落ちるものの、贈与を受けた場合にも自己資金として認められます。贈与税の非課税枠は年間110万円なので、その範囲で抑えられることが多いです。

■ 生命保険の解約
生命保険を解約し、解約返戻金を利用する方法。あるいは契約者貸付制度を利用することで保険金を借りることができます。

創業融資(制度融資)

自己資金が不足している場合には、融資を受けるのが一般的です。しかし、「自己資金が少ない場合、融資が下りないのでは?」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方にもぜひチェックしてほしいのが、創業融資(制度融資)という公的融資制度です。
創業融資とは、日本政策金融公庫や信用保証協会といった政府系金融機関や各都道府県・市区町村といった公的機関が事業者を支援する目的で行われている制度で、事業主にとって様々なメリットがあるため、開業資金に頭を悩ませる方にとっては非常に頼りになる存在です。
日本政策金融公庫が行っている「新創業融資制度」を例に、創業融資の特徴をお教えします。

1. 融資に積極的
創業融資は、政府機関の政策として融資を行っているため、貸し倒れリスクを恐れる銀行などの一般金融機関と比べて積極的に起業家への融資に取り組んでくれます。

2. 無担保・無保証
一般的に、融資を受ける際には万が一返済が滞った場合のために不動産を担保に入れたり、連帯保証人を立てたりする必要がありますが、創業融資では無担保・無保証で最大3,000万円の融資が受けられる点も魅力的です。
また、経営者本人のサインも不要であることから倒産した際の返済義務を負わずに済むため、自己破産等のリスクも下がります。

3. 自己資金の要件
開業資金の融資を受ける場合には、通常3分の1~2分の1程度の自己資金割合が要求されますが、創業融資では創業資金総額の10分の1以上の自己資金があればよいとされています。そのため、自己資金が少ない場合でも融資を受けられる可能性があります。

その他にも金利が約2%と非常に安いことや、申し込みから融資実行までがおよそ1カ月と非常に早いことなど、数多くのメリットがあるのが創業融資という融資制度です。

補助金・助成金

創業融資は事業主にとってメリットの大きい制度ですが、いずれ返済しなければなりません。しかし、政府が公益上の必要性を認めた場合に、民間に対して給付される補助金や助成金を活用すれば返済不要な資金を事業に充てることができます。
また、補助金と助成金は性質的に似ている部分も多いですが、申請期間と給付の難易度には大きな違いがあります。

1. 申請期間
助成金は随時、または長期の申請期間が設けられているものが多いのに対し、助成金は公募期間が短い傾向にあり、1カ月程度しかないこともあります。

2. 給付の難易度
助成金は条件を満たしていれば受給できる可能性が非常に高いのに対し、補助金は採択の上限が決まっていることが多く、申請したからと言って受給できるとは限りません。また、補助金の申請には審査があり、事業内容や社会的必要性をアピールする必要があります。

補助金の受給は若干ハードルが高い部分もありますが、どちらも返済不要の資金調達方法なので、これから事業を始める経営者であればぜひとも有効に活用したい制度です。

まとめ

事業を始めるにあたって、開業資金は欠かせないものです。事業形態や条件によっては開業資金がそれほど多くかからないという場合もあるかもしれませんが、なかなかゼロ円というわけにはいかないでしょう。

もちろん資金が多いのに越したことはありませんが、一番大切なのは資金の多寡よりも「自分が誰に何をどのように届けたいのか」です。

理想の開業の形から逆算して、計画的に資金を集めていきましょう。

この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント

○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。

○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。

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