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【第3回】内装工事を活用し開業資金をなるべく抑える方法

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「お店を開く」という夢を思い描いたときから、どんな内装にしようかと考えを巡らせている方も多いことでしょう。せっかく自分のお店を構えるのだから自分自身が満足できて、お客様にも愛されるようなこだわりのインテリアにしたいですよね。そこで大事になってくるのがパートナーでもある内装業者。「こんなはずじゃなかった……」と後悔しないための物件探しのコツや内装業者との上手な付き合い方など、内装にまつわるいろはを5回にわたってお届けします。教えてくださるのはこれまでたくさんの店舗の内装を手がけてきたその道のプロ、内装に関するセミナーも数多く行う小林佐理さんです。

今回のテーマは「開店資金の抑え方」。居ぬき物件という言葉がまっさきに思い浮かびますが、居ぬき物件は結果的にコストがかかってしまう場合もあります。では安っぽくならずに内装でコストを極力抑えるにはどうすればいいのでしょうか?

コストを削減するなら内装費よりもまず物件契約時にかかるコストを考える

小林:開業資金を抑えるために居抜き物件を探すのはありだと思います。そうすれば本来はイチから内装工事をしていかなければならないところを、内装に手を加えなくても使用できたり、そのまま設備機器が使えたりもするので内装費用が低く抑えられますし、多少色を変えるなどをして使える物を再利用すれば、新規でつくり直すことに比べ大きなコスト削減に繋がると思います。開業資金の抑制を考える際に、上記のような居抜き物件での出店や内装工事費の価格交渉は考えつくと思いますが、実は、その前の物件契約の段階で、開業資金を抑えることも大きなポイントです。それは工事区分やテナントビルのレギュレーションを契約前にしっかり確認することや、契約に際して保証金や敷金礼金、もしくはフリーレント期間の交渉をすることです。そこをきちんとまとめるほうが内装費を減らすよりも、よっぽど大きなコスト削減になることも多いんです。例えば内装工事費の坪単価を10,000円下げようと考えても、100坪を超えるような大きな店舗だったらそこそこの削減になるんですが、個人で開業をお考えの方だと20坪、10坪という物件が多いため、工事単価を下げても期待するほどの削減効果は得られません。だったら物件契約でのコストカットすることを考える方がよっぽど削減になるのではないかと思います。

安っぽくならずに内装費用を抑えるなら

当然、内装工事費を安く抑えるポイントもいくつかあります。そのひとつが素材選びです。内装業者はVE(バリュー・エンジニアリング:見た目を変えずにコストを削減する)と言いますが、施主の要望に対してデザインをしたものが、例えば石やタイルを使った内装だとすると、それが来店者の目に触れやすい、目線の高さにあるものであれば、本物の石やタイルを使ったほうがいいと思いますが、一方、天井や目線から遠い場所で使うのであれば近づいて見たり、触ったりすることはないので、本物の石やタイルでなくともタイル調のプリントがされた塩ビタイルを使うという選択肢もあります。最近は素材の質感も格段にあがっていますので、素材を変えてコストを抑え見た目はあまり変わらないという方法を取ることができるのです。経験上、内装の提案は、施主の要望と予算がそもそも合ってないケースが多いです。そのため提案のやり方として、もし予算が300万円の場合、とにかくその予算内に収めた提案をするのか、予算は300万円と理解しつつも施主が希望する内装にするためには本来600万円必要だとすれば、その内装プランをまず提案して「やりたいのはこれですよね? でもこれだと予算の倍かかるので、どこをどこまで落としていきましょうか?」という相談から始めた方が良いのか…ご提案のやり方が2パターンあるわけです。ちなみに、弊社は後者です。施主の方々は、将来の展望とかビジョンとかどういうお店にしていきたいか、目標があるわけで、それを店舗空間の中に表現して欲しいというのが内装業者への要望だと思っています。そのため我々は、予算はある程度加味しながら、でも理想とする内装をまずは提案します。そして、そこからVE案を協議していきます。お互いに納得できる店舗作りをするために、コンセプトやターゲットといったところも施主の方々からしっかりヒアリングして提案に盛り込んでいくことが大切だと思います。

できるところは自分でやる、これもアリですね

コスト削減のため自分で内装にチャレンジしてみようという方も最近増えています。芸能人が古民家を改装してカフェにするという企画のテレビ番組もやっていますが、内装を施主自らできるのであればそれもありだと思います。自分でやることによって内装工事に対しての理解も深まりますし。ただ、注意点としては設備だけは自分でやらないことです。設備工事に関しては、何かが起こったときにとんでもない損害が出るケースが考えられます。吸排気(煙の逃がし方)、空気の入れ方出し方、あとは空調計画もそうですし、水まわり、電気に関してはきちんとプロの相談を受けて、プロが工事をしなければなりません。国家資格がなければできない工事もあります。建築基準も定められていますので。ただ、一般の方々でも自分でできることを自分で自作することはすごくいいことですし、どんどん物づくりに対して興味を持ってくれる方々が増えたら建築業界にとっては嬉しいことです。今はまだこういうケースが少ないですが、「ここまでは自分でできるからここからはお願いね」という感じで内装業者と協力しあって店舗づくりをすることもおもしろいと思います。また、コスト削減で言えば、物の手配に関しては施主が担うというのもありですね。見積り書を見たときに何平米の工事に何人必要かという部分や、工事単価については専門的な知識がなければ考えられない部分ですが、例えば見積り書上で「何個」と記載されているものに関しては、施主側でも手配できることがあります。例えば配線工事が必要なスポットライトやLEDライトなどの照明器具などでも、型番や品番が分かれば専門家でなくてもインターネットで調べて買えます。「物や材料」は施主側で手配し内装業者が設置だけするという方法はコスト削減につながることも多いです。什器関係、テーブルとかレジカウンターなどもオリジナルをオーダーメイドすれば何十万もかかりますが、今は店舗系什器の通販サイトもあり、数万円で手に入ったりすることもあるので、そのぶんコストを浮かせることもできます。自分で物を手配する際に悩んだら、インテリアコーディネートの一環として内装業者に相談に乗ってもらうことも一つの手です。また、空調機とかキッチン関係の什器などは、リサイクル品を活用するのも一手です。ただし注意点はリサイクル品だと故障した際に保証が効かなくなりますので、責任区分といったものは考えなければいけません。コスト削減のため、中古のエアコン機を使いたいときはと、中古品であることを理解し、経年劣化による故障のタイミングが早いこと、そして、中古のエアコンに関しては内装工事業者からの工事保証の対象ではなくなること、それをわかった上で行うのであれば、施主側で中古の厨房品を支給し、工事業者にて設置することは可能です。実際に弊社が関わっている案件でも居抜き物件をリフォームする割合は多くなってきています。

■プロフィール

小林佐理
オーナー目線で予算的に無理をしない物件探しや、内装工事に対するアドバイスを得意とする内装プロデューサー。

■プロフィール

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