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従業員による"持ち逃げ"や"着服"などのいわゆる横領行為。「信頼しているから、うちの店は大丈夫」、「うちの店に限ってそんなことあるはずない」と、軽く考えてしまいがちですが、持ち逃げや着服、横領は、飲食店を経営していれば、起きてしまう可能性がある不正行為でもあります。飲食店として知っておきたい「従業員による不正防止」の対策をしっかりおさえておきましょう。
目次
飲食店で起きやすい横領パターン
飲食店で考えられる売上げの持ち逃げや着服、横領は、実際、どのようなパターンがあるのでしょうか?
伝票を破棄!売上をなかったことに…
お客様からお支払いを受けた際、レジを通さずに伝票を破棄し、売上を"なかったこと"にして着服、横領するというパターンです。1日に数件であれば、目立ちにくく、発覚しにくい不正行為でもあります。この不正行為を防ぐ対策としては、伝票に通し番号をつけておくこと。というのも、通し番号があれば、レジ締めの際の売上計算で簡単に不正を見抜くことができます。伝票処理の基本ではありますが、特に、長年続いている店ではおざなりになっている店も少なくないようです。1日数件の不正行為でも、毎日のように続けば、被害額も多くなります。
レジの操作でなかったことに…
通常通りにレジを打ち、取引を完了したあとに「取引の削除」を行い、削除した分の売上げを着服、横領する行為。この不正は、会計したのが誰なのか? という操作記録(ログ)をレジに残すことで解決できます。また、会計を任せる従業員を限定し、レジ締めは必ずオーナー本人や責任者を決めて行うようにします。売上げの計算と同時にレジの操作記録(ログ)をチェックすれば、責任者は従業員の不正にいち早く気づくことができます。
小細工なし!大胆に着服、横領して行方をくらますパターン
文字通り、レジの中の売上げをまるごと着服、横領されるというケースもあります。
この場合、被害金額も大きいケースが多く、持ち出した従業員のその後の行方がわからないというパターンがほとんど。残念ながらこのような持ち逃げについては、事前に立てられる確実な対策もなく、まさにお手上げの状態です。お店の売上げを横領されたら、警察に届けるの?
従業員による売上げの着服、横領は「業務上横領」にあたる立派な犯罪です。そのため、被害にあったら、まずは警察に届ける必要があるのです。しかし、日頃、信頼を寄せていた従業員に持ち逃げされた場合の精神的なダメージは大きく、被害の届け出になかなか踏み出せず、金額が少なければ泣き寝入りしてしまうケースも少なくないようです。また、警察に被害を届け出ても、場合によっては民事不介入とされ、相手にしてもらえないケースもあります。
警察が動ないパターンもある?
被害届を出しても「警察が動かない」あるいは「動けない」ケースがあります。警察が「動かない」「動けない」パターンとしては、
・着服した従業員が家族だった場合
・着服した従業員が借りたと主張する場合
・着服されたことが証明できない場合
・着服金額が少額だった場合
などがあげられます。売上げを着服した従業員が家族だった場合や、従業員が借りたと主張する場合は、単なるお金の貸し借りの問題となり「刑事事件」ではなく「民事事件」の括りとなります。そのため、警察の管轄ではなくなります。また、警察では、人の生死に関わる事件など、凶悪な事件が優先されるため、とくに、証拠が不十分な場合、あるいは持ち出し金額が少ないケースなどでは、積極的な捜査へと進む可能性は少なく、事件の解決は極めて難しいのです。横領されたお金を取り戻すためにはどうすればいい?
警察への届け出は、横領被害の解決の第一歩ではありますが、先述のとおり、警察に相談してもなかなか動いてくれないというのが現実。そういった場合、横領されたお金を取り返すことはできないのでしょうか?
探偵事務所や興信所に相談。横領した従業員を見つけたら裁判も!
横領した従業員を見つけるには、自分の足で捜し出すことも、もちろん選択肢のひとつではありますが、日々の仕事をこなしながら、横領した従業員の足取りを掴むことは、素人にはなかなか難しいこと。このようなケースでは、やはり人捜しのプロ、すなわち、探偵事務所や興信所に相談することが、解決の近道と言えそうです。探偵事務所や興信所であれば、警察と違い、事件性の有無や被害金額に関係なく人捜しをしてもらうことができます。また、横領した従業員を見つけることができた場合、直接、返済を求めることもでき、仮に返済を拒否された場合でも「民事訴訟」を起こすことが可能となります。
従業員に横領されたお金を使われていたら取り返せないことも?
売上げを持ち逃げされた場合、民事による損害賠償で解決することになります。ここで気をつけたいのが時効。民事の場合の時効は10年。これ以上の時間が経過してしまうと、損害賠償の請求はできなくなってしまいます。
そもそも、横領されたお金は、横領した人から取り返すしかありません。そのため、横領されたお金が使われてしまってからでは、お金を取り返すことができず、手遅れとなることも十分にあります。探偵事務所や興信所を使って解決したいと考えた場合は、被害後は時間を置かず、相談するようにしましょう。横領は回避したい!事前にできる対策はないの?
売上げをまるごと持ち出されては、事前の対策が難しいものの、横領に関しては、事前の対策が功を奏する場合があります。
誓約書にサインしてもらう
まず、開店準備の段階で「店に損害を与えない」「万が一、店に損害を与えてしまった場合の処遇について」等を明記した簡単な誓約書を作成しておきましょう。そして従業員を採用したら、この誓約書にサインをもらうようにします(採用者が未成年の場合は、親など法定代理人の同意が必要)。着服などの不正は、ちょっとした気の緩みが原因となっているケースが多いものです。従業員は誓約書にサインすることで気持ちも引き締まり、責任感も芽生え「働くこと」への意識も高まります。
レジはお客様との取引専用にする
店内のレジはお客様との取引専用にし、お釣りで出ることのない万札等は、ある程度まとまったら金庫にいれるなどの対策を講じましょう。また、従業員の給料なども、銀行振込にするなど、なるべく現金を移動させないようにすると、レジの中身をまるごと持ち逃げされた場合のダメージは軽減できます。
監視カメラを設置する
レジ近くに監視カメラを置くことも対策のひとつ。強盗などの対策にも役立つので、設置しておくと安心です。しかし、サイズや距離によっては威圧感が出てしまい、お客様への印象はあまり良いものではありません。また、従業員は「信頼されていないのかな?」といった不信感を抱く可能性も。監視カメラは、このようなデメリットも加味した上で設置を検討しましょう。
不正の防止にはまず、従業員との信頼関係を築くことが大切。従業員とは日頃から積極的にコミュニケーションをとり、不正の生まれにくい雰囲気を作ることも、飲食店経営者の大事な仕事のひとつです。この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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