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近年、乳幼児から成人まで、特定の食物が原因でアレルギー症状を起こす人が増加しています。
そのため、飲食店のメニューにアレルゲンとなる材料を使用しているかどうか、注文前に確認されるお客様が多くいらっしゃいます。
誤って口に入れてしまうと重篤なケースに発展する場合もある食物アレルギー。
食品を提供する飲食店側は、どのような対応をすればいいのでしょうか。そば?小麦?飲食店の食物アレルギー実例
私たちの体には“免疫反応”といって、侵入してきた異物を攻撃して体を守る働きが備わっています。
本来ならばとってもありがたい免疫反応が、攻撃する必要性のないものに対して過剰に反応することで様々な症状を引き起こしてしまうのが、アレルギー反応です。
その中でも特定の食物が原因となるものを、食物アレルギーと呼んでいます。
アレルギーを持つ患者さんご自身やご家族は、口に入るものに関してかなり注意をされています。
にもかかわらず、飲食店でお客様があやまって口にしてしまいアレルギー症状を引き起こしてしまった様々な事例が報告されています。
一体、どんな経緯で避けているはずの食品が口に入ってしまったのでしょうか。飲食店でのアレルギー事故 実例
実例【1】
「レストランで食事をしたら、じん麻疹がでて高熱が出始め嘔吐した。卵、小麦、牛乳にアレルギーがあることは店側に伝えており、医師もレストランでの食事が原因と診断。店に苦情を伝えたが、卵、小麦、牛乳は一切使っていないと返答された」
実例【2】
「蕎麦店で、そばアレルギーは自覚していたので、きつねうどんを注文した。安心して食べたところ、10分後くらいから口元をかゆがりだし、咳や鼻水もでて嘔吐した。後でうどんとそばを同じ釜でゆでていることを知った」
実例【3】
「ハンバーガー店でジュースとフライドポテトを注文。小麦アレルギーがあるので、店員に口頭で原材料を確認したところ、じゃがいも、塩、油のみとのことだったので食べた。するとすぐに咳こみ始め、蕁麻疹が口の周りから全身へと広がった。後日店に確認したところ、小麦粉をまぶしていた」
実例【4】
「事前に店員にそばアレルギーであることを伝え、そば粉の使用がないことを確認して冷麺を頼んで食事をした。帰宅途中に症状が出始め救急車で搬送された。店側に苦情を言ったが、表示義務はないし因果関係はないと言い、賠償に応じない」
このようにお客様がアレルギー症状を発症してしまった裏側には、飲食店側とお客様との間で認識のズレがあるようです。食物アレルギーのあるお客様が安心して外食できるよう、食べ物を提供する飲食店側にも、食物アレルギーに対する理解としっかりとした対策が求められています
食物アレルギーの原因となる食物とは?
実際にアレルギーの原因となる物質には何があるのでしょうか。
食品表示法では、食物アレルギーの原因物質として27品目を指定しています。
なかでも容器包装された加工食品に対して表示が義務付けられているアレルギー物質は「特定原材料」と呼ばれる7品目です。それは、患者の数が多い「乳、卵、小麦、エビ、かに」の5品目と、重篤な症状に至ることが多い「そば、落花生」の2品目。続いて、可能な限り表示をするように努めることとされる「特定原材料に準ずるもの」20品目が「オレンジ、キウイフルーツ、バナナ、もも、りんご、山芋、カシューナッツ、くるみ、ごま、大豆、松茸、ゼラチン、牛肉、豚肉、鶏肉、さけ、さば、いくら、あわび、いか」です。食物アレルギーで起こる症状
誤ってアレルギー物質を口にしてしまったら、どんな症状があらわれてくるのでしょうか。
食物アレルギーの症状で最も多いのは、じん麻疹とそれに伴うかゆみといった皮膚症状です。
また、目の充血、まぶたの腫れ、のどのかゆみ、くしゃみ、鼻水といった粘膜にも症状がでやすいです。
人によっては呼吸器や消化器系にも異変が現れることがあります。
呼吸器に症状がでる場合は、のどが締め付けられる感じ、ぜんそくのようにゼーゼー、ヒューヒューといった呼吸になったり、声がかれたり、息苦しさを訴えます。
消化器系に出る場合は、腹痛、嘔吐、下痢、血便といった症状がでます。
アレルギーを持った方がNGとされる食べ物を口にしてしまった場合、症状が出始めると、分単位でみるみる進行していくケースが多々あります。
原因物質を食べた直後から反応が出始めるタイプは「即時型食物アレルギー」と分類されます。
また症状がでるまでの時間で最も多いのが食べたものが消化吸収され始める30分後から2時間以内。
ただまれに4~6時間後に出る場合もあります。
また、りんごや桃、洋梨などの生の果実や野菜を食べた後、唇や口の中、のど、耳の奥にかゆみや腫れ、痛みを感じる「口腔アレルギー症候群」と分類される食物アレルギーのタイプもあります。
これは、シラカバなどの花粉症と関連性があるとみられています。
他にも、ゴム手袋など天然ゴム製品に触れて発症するラテックスアレルギーや、バナナ、アボカド、キウイフルーツなどにもアレルギー症状を起こす「ラテックス・フルーツ症候群」が知られています。飲食店にアレルギー物質の表示義務はあるのか?
食物アレルギーでは最悪の場合、死に至る危険性もあり、アレルギーを抱える方にとっては、安全確認は切実な問題です。
そのため食品中のアレルギー物質に関する正確な情報を提供する必要性から、2001年からアレルギー表示に関する制度が始まりました。
以来何度かの見直しを経て、現在の「食品表示法」が2015年4月1日に施行されています。
しかし、この法律でアレルギー表示を義務付けているのは、あらかじめ箱や袋で包装されている加工食品と、缶や瓶詰めの加工食品に限られています。
法律では、店頭で対面販売されるお総菜、パンなどその場で包装されるものやお弁当にはアレルギー表示の義務はありません。
また、外食で出される飲食物にも、アレルギー表示は義務付けられてはいません。
そのため、アレルギー事故防止のための対策は、食品を提供する飲食店の自主的な判断に任されています。飲食店でのアレルギー事故を防ぐには?
最近では、アレルギー食品除去メニューの開発に力を入れるファミリーレストランや遊園地などアミューズメント施設の外食店が増えてきており、多くの店ではあらかじめメニューに表示してアレルギー物質に関する情報をわかりやすく正確に提供しています。
そうすることで、従業員の記憶にたよった案内ミスや互いの思い込みを減らすことに繋がるというメリットがあります。
お客様の安心と安全を考えると、義務でなくともメニューにアレルギー表示の記載はした方が得策といえるでしょう。
またオーダーを取る際、お客様に対し、何か食べられないものはないか、スタッフから確認することもトラブルを防ぐうえでは重要。
事故を防ぐためには、お店のスタッフ全員が同じ認識を持ち、お客様に対しアレルギーのj配慮をひとつひとつ細かく対応していくところから始めるしかありません。
アレルギー事故を未然に防ぐ機械的なシステムはありません。
人が人を守る…という大前提のもと、対応をしていきましょう。【蕎麦屋】の開業方法はこちら≫「蕎麦屋を開業するには?開業資金や準備、繁盛するための対策とは?」
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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