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コンビニを開業する場合、必要な開業資金、資格、開業までの流れなど、把握しておくべきことがいくつもあります。今回の記事ではコンビニの開業資金を中心に解説します。コンビニの開業におけるメリットやデメリットについても紹介しているので、ぜひ開業時の参考にしてみてください。
目次
フランチャイズのコンビニ開業に必要な初期費用
フランチャイズ形式でコンビニを開業する場合、契約タイプによって開業費用が異なります。フランチャイズ本部が土地と建物をオーナーに提供する場合、開業資金を抑えることが可能です。しかし、土地と建物を用意してもらう分、月々のロイヤリティの支払額が大きくなります。
一方でオーナーが土地や建物を用意する場合は、月々のロイヤリティの支払額も安くなります。ただし、店舗の建設費や内装の設備費などの費用もオーナーが持つ必要があるので、開業資金が高くなるのがデメリットです。
契約タイプごとにメリットとデメリットがあるので、十分に把握したうえで開業方法を検討しましょう。そのほかにも、フランチャイズでコンビニを開業する場合、以下の初期費用もかかります。
1. 加盟金
加盟金はフランチャイズ形式でコンビニを開業する際に、フランチャイズ本部に対して支払う費用のことです。フランチャイズ形式だと、すでにあるブランドの名前を借りるため、加盟金を支払う必要があります。
加盟金には開業準備手数料や研修費も含まれているため、加盟金を支払うことでスムーズにコンビニ事業を開始することが可能です。契約するフランチャイズ本部によって加盟金は異なりますが、100万円〜300万円あたりが相場になります。
2. 保証金
保証金とは商品などの仕入れ債務、ロイヤリティの支払いの担保などの目的で支払う費用のことです。フランチャイズ本部と契約する際は加盟金だけではなく、保証金も支払う必要があります。
この保証金については、フランチャイズ本部と加盟側で自由に設定できる場合があるので相談したうえで金額を決めましょう。
コンビニ運営に必要な資金
1. 人件費
コンビニの運営にかかる費用として、最も大きいのが人件費です。アルバイトを雇って店を営業していく必要があるため、人件費はどうしても外せません。
東京都の最低時給である1,041円で計算した場合、以下の人件費が年間で発生します。
・時給1041円 × 24時間 × 4人 × 365日 = 約3,647万円
ここに深夜手当がつくことを考えるとさらに人件費がかかります。コンビニは人件費がかかりやすい業態なので、開業する前に理解しておきましょう。
2. 賃貸料
コンビニを運営する場合、店舗を設営する必要があるため、賃貸料が発生します。場所によって賃貸料が変動するので注意が必要です。特に駅に近くアクセス性がよい土地であればその分、賃貸料が高くなる傾向にあります。
自宅の一部を使って開業する、または所有している土地に建物を建設してコンビニ開業をする場合、賃貸料は発生しませんが、融資を受けて建設費用をまかなった場合はその返済を、リースバック方式であれば本部に賃貸料を支払うことになります。
3. 商品原価費
コンビニではパンやおにぎり、弁当などの商品を仕入れる必要があるため、仕入れ原価がかかることも考慮しておきましょう。近年では原材料の高騰で仕入れ負担が増えていることも多く、運営資金を圧迫してしまう可能性もあります。
また、コンビニでは廃棄が発生することも考慮しなければなりません。廃棄が増えるほど商品の仕入れにかかる費用が増えてしまうので、仕入れのバランスも上手く調整しましょう。
4. 水道光熱費
コンビニは24時間営業であることが主であるため、さまざまな店舗経営の中でも水道光熱費が群を抜いて高額です。平均で月25万円、年間で約300万円ほどかかります。
フランチャイズであれば、本部が水道光熱費の一部を負担する場合があるので、フランチャイズ選びのポイントにしてもよいでしょう。ただし、昨今の電力事情を考えると電気代は値上がりが続く見通しです。事業計画を立てる際、多めに見積もっておくのがベターです。5. ロイヤリティ
フランチャイズ形式でコンビニを運営していくのであれば、本部にロイヤリティを支払う必要があります。「月の売上や粗利の〇%を支払う」といった風に、決められたロイヤリティを支払うことが一般的です。
フランチャイズ本部や売上、契約内容によって支払うロイヤリティは変わります。フランチャイズ形式でコンビニ運営を始める場合は、事前にロイヤリティについて調べておきましょう。
各コンビニのフランチャイズ開業費用を比較
フランチャイズ形式でコンビニの事業を始める場合、各コンビニごとに開業費用が異なります。ここからは、以下の3つのコンビニごとに開業費用を比較しながら解説していきます。
1. セブン・イレブン
セブン・イレブンにおける開業費用は以下の通りです。
▼土地・建物を持っていない場合
加盟金 260万円(税込) 本部チャージ ・売上総利益にスライドチャージ率を乗じた金額
(例)売上総利益が550万円以下/月の店舗
・月額200,000円
▼土地・建物を持っている場合
加盟金 315万円(税込) 本部チャージ ・売上総利益に45%の率を乗じた金額
※24時間営業の場合は43%になる
引用:セブン・イレブン2. ローソン
ローソンの開業において必要となる費用は、以下の通りです。
▼土地・建物を持っていない場合
加盟金 110万円(税込) 出資金 100万円(税込) 店舗運営必要資金 100万円(税込) 本部チャージ 総粗利益高に対して、スライドチャージを乗じた金額を支払う
・300万円以下の部分:45%
・300万円を超え、450万円以下の部分:70%
・450万円を超えた部分:60%
※:FC-Cn 契約の場合
▼土地・建物を持っている場合
加盟金 110万円(税込) 出資金 なし 店舗運営必要資金 100万円(税込) 本部チャージ 総粗利益高に対して、スライドチャージを乗じた金額を支払う
・300万円以下の部分:41%
・300万円を超え、450万円以下の部分:36%
450万円を超え、600万円以下の部分:31%
・600万円を超えた部分:21%
引用:ローソン3. ファミリーマート
ファミリーマートのフランチャイズ開業において必要となる費用は、以下の通りです。
▼土地・建物を持っていない場合
契約時必要資金 150万円 本部チャージ(月額営業総利益のうち) ・300万円以下の部分:59%
・300万1円以上、450万円以下の部分:52%
・450万1円以上の部分:49%
※:1FC-C契約の場合
▼土地・建物を持っている場合
契約時必要資金 150万円 本部チャージ(月額営業総利益のうち) ・250万円以下の部分:49%
・250万1円以上 350万円以下の部分:39%
・350万1円以上の部分:36%
※1FC-A契約の場合
引用:ファミリーマート
ファミリーマートはどの契約プランの場合でも、共通して契約時の必要資金が150万円と定められているのがポイントです。3社の中では比較的安い費用でコンビニの開業を実現できます。
また、給与をもらいながら最短6か月で独立できる「インターン社員独立支援制度」など、バックアップサポートが充実。店舗数を増やす場合は奨励金が出る制度もあるので、事前に確認した後でフランチャイズ加盟を検討してみるとよいでしょう。
コンビニ開業のメリット
コンビニ開業を行うメリットとして、流行に影響されにくいという点が挙げられます。日用品や食料品といった需要が高い商品をメインに販売しているので、人々から必要とされなくなる心配をすることはありません。
また、コンビニ経営に慣れると、そのノウハウを活かして複数の店舗を運営しやすくなります。売上が伸ばせるだけではなく、フランチャイズ本部から奨励金を受け取れる場合もあるのでさらなる収益が見込めるでしょう。
コンビニ開業のデメリット
コンビニ開業のデメリットとして、フランチャイズ本部へ支払うロイヤリティが高額になりやすいという点が挙げられます。どのコンビニチェーンでもロイヤリティが45%を超えていることが多く、重い負担を背負うことになります。
さらに、コンビニは年中無休の24時間営業がデフォルトであることが多いので、オーナーは長時間労働につながりやすい点にも注意が必要です。採用を強化しないとお店が立ち行かなくなることもあるので、体制を整えて運営していきましょう。
コンビニ開業までの流れ
1. 企業の情報を収集する
コンビニを開業する場合は、どのコンビニのフランチャイズに加入するかを決めるため、企業の情報を収集しましょう。フランチャイズ本部に支払う費用はもちろん、どのようなサービスを強みとしているのかを確認することが必須です。
十分なリサーチを行って、自分が納得できる条件のコンビニを選ぶとよいでしょう。
2. 説明会・相談会に参加する
どのコンビニでも開業の説明会・相談会を開催していることがほとんどなので、開業を考えている場合は必ず参加しましょう。コンビニの制度や仕組みを確認できるだけではなく、質疑応答の時間も用意されています。
細かい疑問を解消できる機会でもあるので、気になったコンビニを見つけた場合は説明会・相談会に参加してみるとよいでしょう。
3. 加盟したい企業の面接を受ける
コンビニの開業は誰でもできるわけではありません。加盟したいコンビニを決めた場合は、フランチャイズ加入のために面接を受けましょう。
面接突破のためには今までの経験、コンビニ開業をしたいと思った理由などをはっきり答えられるようにしておくことが大切です。また、基本的な面接マナーも押さえておき、徹底的に対策してから面接に臨みましょう。
4. 研修を受けてコンビニ経営のいろはを学ぶ
面接に合格した後は、コンビニ経営の基本知識やテクニックを学ぶために研修に参加する必要があります。基本的なオペレーションを学んだ後は、修了検定を受ける必要があることがほとんどです。
スムーズに検定に受かるように、研修内容をしっかりと復習してチャレンジするとよいでしょう。
5. 店舗をオープンする
コンビニオーナーの平均年収はいくら?
どのコンビニに加入するかによっても変わってきますが、コンビニオーナーの平均年収は約700万円とされています。
あくまでこちらの平均年収は1店舗当たりの年収です。夫婦経営を行っている場合は、二人合わせて約700万円の年収と考えたほうがよいでしょう。
1. 開業直後は収入が低い場合も
コンビニを開業した直後は、店舗経営やオペレーションに慣れていないことから売上を伸ばせない場合があります。そのため、開業した直後は稼ぐことよりも、まずは仕事に慣れることが重要です。
接客や売り場のセッティングが上手くなってくれば、お客様からの反応も変わってきます。開業直後は焦らずに、まずはコンビニの運営に慣れることを強く意識して働くとよいでしょう。
2. 収入は売上によって変動する
コンビニ経営の収入は売上や利益によって大きく変動します。売上や利益を向上させるためには以下の対策をとりましょう。
・商品の陳列を工夫する
・レジの前に売れ筋の商品を置く
・従業員のオペレーションを強化してサービスの質を高める
・余計なコストをカットできるように工夫する
いずれもコンビニの売上、利益を高めるために必要不可欠な対策です。早期から対策して、高い利益率を維持しましょう。
コンビニ開業に必要な資格
1. 酒類販売管理
酒類販売管理は、酒類の販売業務を行う際のルールや酒類の特性・商品知識を学ぶための資格です。コンビニではアルコール類を取り扱うので、開業する際は資格を取得する必要があります。
国税庁から酒類販売管理研修実施団体の指名を受けている日本フランチャイズチェーン協会員(JFA)に属していれば、2,200円で講義を受講できます。コンビニにフランチャイズ加盟する場合は適用されるので、コストを抑えたうえで資格を取得できます。
2. 食品衛生責任者
食品衛生責任者は施設の衛生管理、スタッフの健康管理などを中心に学ぶ講習です。コンビニでは多くの食品を取り扱うため、重要度の高い資格といえるでしょう。
6~7時間程度の講習と、受験料10,000円で習得できるので、そこまで負担がかからないのが特徴です。コンビニを安全に運営するうえで必要な知識が詰まっているので、早期の習得を目指しましょう。
3. 安全衛生推進者
安全衛生推進者は、職場の安全管理に関して学ぶ資格。従業員数が10〜49人の事業場を持つ場合は必要となるので、コンビニを経営する場合は資格の取得が必須となるケースがほとんどです。
受講資格は特になく誰でも受講でき、2日間の講習で取得可能です。受講料は地域によって異なるので、公式ホームページで情報をチェックしてから申し込みましょう。
4. 防火管理
防火管理者は、多くの人が利用する建物の火災などによる被害を防止するため、防火管理業務を計画的に行う責任者のことを指します。防火管理の資格には建物の面積を基準とした甲種と乙種があり、コンビニの面積は200㎡程度であることが多いので乙種に当てはまります。
乙種の講習を受ける場合は7,000円の受講料を支払い、約5時間の講習を受講することで資格を取得可能です。講習会当日には「顔写真付き本人確認書類」が必要となるので、持参して受講しましょう。
コンビニ開業を失敗しないために押さえておきたい6つのポイント
1. 開業資金は自己資金で用意する
コンビニ開業で失敗し、閉店することになったとしても、銀行から融資を受けた場合は借入金を返済する必要があるため、生活が圧迫されてしまうでしょう。そこで、コンビニ開業を行う場合、なるべく自己資金で賄い、銀行からの融資を頼らないようにしましょう。
コンビニの開業資金は、飲食店などを開業するよりはるかに安い資金で開業が可能です。ただ、コンビニは安定しやすい事業ですが、近隣にライバル店ができたり、本部の影響力が下がってしまうと経営が苦しくなる場合もあります。撤退のリスクを考慮すると、開業資金はなるべく自己資金で用意しましょう。
2. 幅広い年代のアルバイトやパートを雇用する
コンビニを開業する場合は、幅広い年齢層のアルバイトやパートを雇用することでシフトが組みやすくなります。シフトが安定すると、より健全なコンビニ経営が実現できるでしょう。
もしアルバイトをすべて学生にしてしまうと、授業があるため午前~昼のシフトが組みにくくなってしまうはずです。空いたシフトをオーナー自ら埋めるという方法もありますが、負担が増えるためおすすめしません。
ストレスフリーかつ健全なコンビニ経営を実現させるためにも、幅広い年代のアルバイトやパートを雇用していきましょう。
3. 本部との関係性を良好に保つ
コンビニ経営を続けていく場合、基本的にはフランチャイズ本部の指示に従う必要があります。ただ、従うだけではなく自分からも意見を伝えて、積極的にコミュニケーションを取りながらフランチャイズ本部と良好な関係性を保ちましょう。
例えば、施策やキャンペーンを実施する場合は、改善点があれば本部に対してフィードバックしてみるのがおすすめです。本部では気づけなかった部分を指摘できれば、自店舗に対する評価がアップする可能性があります。
4. コンビニの特徴を把握した上で契約する
コンビニによって注力しているポイントや、サービスの特性が異なります。自分の方向性に合ったコンビニとフランチャイズ契約をすることで、モチベーションを高めたうえでコンビニ経営を継続できます。
また、将来性も考えておくことが重要です。集客が見込めそうな商品、施策を展開しているのかチェックしてから、納得できるコンビニと契約しましょう。
5. 仕入れと在庫管理を徹底する
仕入れや在庫管理が雑だと、多くの廃棄ロスが出てしまい原価率が上がります。利益を上げることが難しくなるので、健全なコンビニ経営を続けたいのであれば仕入れと在庫管理を徹底しましょう。
特に弁当やパンは原価率が約70%前後とされているので、儲けが少なく廃棄ロスのリスクが高い傾向にあります。損失を出さないためにも、平日や休日などの時間帯ごとにどのくらい売れているのか確認したうえで、仕入れと在庫管理を実施しましょう。
6. エリアに最適な商品構成を考える
出店するエリアにおいて最適な商品構成を考えることで、さらに高い売上に繋げられる場合があります。例えば、オフィス街にコンビニを開業する場合であれば、ランチの需要を見込んだ弁当やサラダを多く仕入れるべきです。
他にもビジネスに必要な文房具を仕入れることで、オフィス街に相応しい商品構成になります。売上を確実にアップさせるためにも、エリアの特性を掴んだうえで自店舗の商品構成を考えましょう。
コンビニを開業する場合は必要な資格や注意点を押さえておきましょう
コンビニを開業する場合は、必要な資格や注意点が多く存在します。それぞれの資格の詳細や注意点を把握しておくことで、準備段階からスムーズに動けるでしょう。
しかし、開業準備を進めるうえで「自分だけの力でコンビニを開業できるのか不安…」と感じる方もいるのではないでしょうか。
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この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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