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2022年6月10日から、約2年ぶりに外国人観光客の受け入れが再開されました。当面は流入リスクが低い地域から添乗員付きのパッケージツアーに参加した人に限られますが、外食業界では早くもインバウンド需要の回復に期待が寄せられています。
この記事では、飲食店におけるインバウンド集客のメリット・デメリットに加え、インバウンド集客に必要な準備、対策について詳しく解説します。
目次
飲食店の多くはインバウンド客の受け入れに前向き
インバウンドの受け入れ再開を受けて、「飲食店リサーチ」を運営する株式会社シンクロ・フードは、インバウンド客の獲得・受入対策に関するアンケート調査を実施。その結果、店舗運営規模の大小に関わらず、東京23区内の約8割の飲食店がインバウンド客の受け入れに前向きであることがわかりました。
こちらの調査は、東京23区内に店舗を持つ飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)を対象に行われたものです。
2店舗以下を運営する飲食店で80%、3店舗以上運営する飲食店では78%が「インバウンド客を積極的に獲得したい」「国内顧客と同様に考えている」と回答。
外国語対応などの難しさやコロナ再流行への懸念はあるものの、インバウンド客の受け入れによる売上拡大への期待が伺えます。
インバウンド集客のメリット
売上アップ、客単価アップにつながる
インバウンド客は、日本人客と動きや来店時間が異なるため、ランチやディナーなどのピークタイム以外の時間帯でも売上の獲得が期待できます。
また、外国人は日本人以上にお酒をよく飲む方が多く、旅行中ということも相まって客単価アップにも期待できます。
顧客層を広げるチャンスになる
少子高齢化により人口減少が続く日本。日本人客だけにこだわっていると、年々客数が減少していく可能性も。
新たな顧客層としてインバウンド客を取り込むことは、中長期的な目線でも必須です。
インバウンド集客のデメリット
店舗運営に支障が出る可能性がある
一方で、店舗スタッフがインバウンド客の対応に時間を割かれてしまうと、店舗運営に支障を及ぼす場合もあります。
その結果、店の回転率が下がったり、常連客の足が遠のいたりする可能性がありますので、注意が必要です。
文化の違いによるトラブルの発生
お通し代の請求に対するクレーム、完全予約制の店での無断キャンセルなど。
文化の違いによって、日本では当たり前なことでも、外国人には通じずトラブルになる可能性もあります。
飲食店に必要なインバウンド集客対策は?
外国語メニューの準備
まずは英語メニューを準備し、余裕があれば中国語や韓国語など多言語のメニューを揃えておくのが好ましいです。
その際、写真やイラスト付きのメニューにすることも重要。
写真やイラストが入っていれば、文字や口頭での説明も最小限で済みます。
また、アレルギー食材の使用明記に加え、ベジタリアンやイスラム教徒の方々に向けて、動物性食材の使用有無や使用している肉の種類の明記も必要です。
そこまで細かい対応ができない場合は、「食べられない食材がありましたらお申し付けください」という案内を置いておく手もあります。多言語が話せるスタッフの雇用
片言の外国語やジェスチャーでのコミュニケーションにはどうしても限界があります。
アレルギー食材や料理の説明をするとき、インバウンド客とトラブルが発生したときなどは、多言語が話せるスタッフがいると対応がスムーズになり安心です。
スタッフの雇用が難しい場合には、音声翻訳機を活用する策もあります。
キャッシュレス決済の導入
日本は他国と比べてキャッシュレス決済の導入が遅れており、決済方法は現金のみという飲食店もまだまだ多く見られます。
しかし、インバウンド客にとって、キャッシュレス決済の有無は来店を決める判断材料の一つであり、現金(日本円)を持たずに観光する方も珍しくありません。
クレジットカードはもちろん、QRコード決済や電子マネー決済を導入し、店の外からも利用可能な決済方法がわかるようにしておきましょう。
キャッシュレス化が進む昨今、決済方法が豊富であることは日本人客の集客にも有効です。
Wi-Fi環境の整備
日本人が海外へ出かけた際と同様に、インバウンド客にとって、情報収集のためのWi-Fi環境は必須です。
Free Wi-Fiの導入は、インバウンド客の集客につながるだけでなく、店舗での滞在時間の増加も見込めるため、客単価アップのメリットもあります。感染防止策の徹底
コロナ前と大きく異なるのが感染対策です。手指のアルコール消毒やマスク着用など、お客様に協力を依頼する案内の多言語化も忘れずに行いましょう。
店内でのソーシャルディスタンスの確保、客席や厨房の消毒作業、換気の徹底など、通常の感染防止策も引き続き欠かせません。口コミプラットフォームの活用
日本人と同様に、多くのインバウンド客が旅行中の訪問先を決める情報源として口コミを活用しています。
より多くのインバウンド客を集客するためには、ホームページやSNSでの発信に加え、口コミプラットフォームにおける情報整備・発信が重要となります。
今回は特に人気の高い「トリップアドバイザー」と「Googleマップ」をご紹介します。
トリップアドバイザー(Tripadvisor)
世界中で毎月約5億人ものユーザーに利用されている世界最大級の旅行口コミサイトで、口コミ件数は約8億件にものぼります。
旅行口コミサイトと聞くと、宿泊施設をイメージされる方も多いかもしれませんが、トリップアドバイザーでは飲食店や観光施設も登録可能です。
食べログやぐるなびなどのグルメサイトと同様に、無料で店舗の基本情報やメニュー、写真等を登録でき、ユーザーから投稿された口コミへの返信も行えます。
Googleマップ
Googleマップは1億回を超えるダウンロード数を誇り、月間ユーザー数は1億5000万人以上。
世界で最も利用されている地図アプリといっても過言ではありません。
日本を含む220を超える国と地域でサービスを提供しており、70を超える言語をサポートしています。
そんなGoogleマップは、単なる地図アプリとしてだけでなく、インバウンド客に向けて情報を発信するプラットフォームとしても見逃せない存在になっています。
周辺の飲食店を探す際、Googleマップを開いて「寿司」「ラーメン」と検索をかけるインバウンド客は多いもの。
店舗の基本情報やメニュー、写真、口コミがGoogleマップ上に掲載されていることで、集客につながりやすくなります。Google翻訳によって、口コミも含めて自動翻訳してくれるのも大きな特徴です。
中長期を見据え、今からインバウンド集客に取り組もう!
外国人観光客の受け入れが再開されたものの、当面は添乗員付きのパッケージツアーに限定されていることもあり、インバウンド客が今すぐ日本に押し寄せることはない状況です。
しかし、少子高齢化で人口減少が続く日本において、飲食店におけるインバウンド客の獲得はとても重要な事柄です。
昨今の円安はインバウンドに追い風であり、2025年には大阪・関西万博の開催も控えています。
コロナ再流行への懸念もあり、インバウンドに頼りすぎるのは問題ですが、中長期を見据え、今のうちからインバウンド集客に取り組んでいくことが求められます。
ライター:上田はるか(フリーライター)
大学卒業後、輸入食品商社に勤務し、新規店舗の立ち上げや自社直営ティーサロンのメニュー開発を経験。その後、大手ギフト会社の企画開発部、広報宣伝部を経てフリーランスに。現在はWEB媒体をメインに、食ジャンルの原稿執筆を行う。
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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