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【小阪裕司コラム】第31回:事例を自社で活かすには②

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全国・海外から約1500社が参加する「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰する小阪裕司が商売成功のヒントを毎週お届けします。

趣味が顧客との絆作りに役立つことも

 前回、ある動物病院が文具店での事例を参考にして、足踏み式のアルコールディスペンサーをマーライオンにした事例をご紹介した。そして今回、このように事例を活用するときのコツをお伝えすると予告した。そこで今回は、ワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する企業とビジネスパーソンの会)会員の事例を題材に、そのお話をしたい。
 それは、ある歯科医院での取り組みだ。当院には、院長の趣味に関連して、コッヘル(キャンプで使う小型の鍋のような調理器具)などのキャンプ用品や釣り竿などが展示されているコーナーがある。それも診察台1台分ものスペースを割いて。そのような展示物に歯科医院に来る方が興味を持つのかといえば、これが興味津々。コッヘルの蓋を開けて中をのぞき込む方もあり、「バーナーも年代物だねえ」「(コッヘルの)焦げぐあいがいいわね」と言われたり、後日ハガキが届き、そこにこのスペースを楽しみにしているとわざわざ書かれていたこともあったそうだ。
 では、なぜこんなことをやっているのかといえば、ワクワク系の基本的な実践のひとつである「顧客との絆作り」の一環だ。そして、この「好きなものや趣味のものの展示」は以前から行っているものの、このたび、実践会の他の方の事例から、自分の実践も再確認できたと院長は言う。
 彼が再確認できたという事例は、あるレストランでの取り組みだ。同店の店主はブルースリーが好き。そこでブルースリーの写真を店のトイレなどに展示したところ、お客さんとの会話のきっかけにもなり、顧客との絆作りに貢献したという。
 もちろん、レストランと歯科医院では業種は大きく異なる。方や外食を楽しみに行く場所であり、方や治療に通う場所だ。利用者の心の持ちようも大きく異なるだろう。しかし、先の院長は当たり前のように、レストランの事例をもとに、自院の事例を参照した。

異業種の事例は宝の山

 実はこれがコツだ。事例を参考にしようとする方は多い。そんなとき、多くの方は同業者の事例を探すが、そこが間違いのもとだ。それでは事例の活用力は高まらない。コツは、この院長がやっているように、異業種の事例を活かすことなのである。彼のような方には、毎月様々な機会に多くの事例が共有される当会のようなところは宝の山となる。そしてこの活用力が高まると、町を歩いているだけで、多くのアイデアや参照先を得られるようにもなるのである。

〇執筆者
小阪裕司(こさかゆうじ)
博士(情報学)/ワクワク系マーケティング開発者
1992年「オラクルひと・しくみ研究所」を設立。人の「心と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法(ワクワク系)を研究・開発し、2000年からその実践企業の会「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得ている。2017年からは、ワクワク系の全国展開事業が経済産業省の認定を受け、地方銀行、信用金庫との連携が進んでいる。

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