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2020年から複数回にわたり実施されている事業再構築補助金。その第6回公募が2022年3月28日からスタートしました。今回から条件の緩和や新制度の導入など、大幅に変更が加えられている本制度。こちらの記事では、第6回公募からの変更点について解説します。
目次
事業再構築補助金とは
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中小企業等が事業転換、業種転換、事業再編など思い切った事業の再構築に挑戦することを支援するための補助金です。
補助対象者
下記①、②の両方を満たす中小企業者(※)または中堅企業
① 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、
任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
② 経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った3~5年の事業計画書を認定経営革新等支援機関等と共同で策定すること
(※中小企業者の定義)
・資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人であること。
▼製造業、建設業、運輸業
【資本金】3億円
【従業員数(常勤)】300人
▼卸売業
【資本金】1億円
【従業員数(常勤)】100人
▼サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
【資本金】5,000万円
【従業員数(常勤)】100人
▼小売業
【資本金】5,000万円
【従業員数】 50人
▼ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
【資本金】3億円
【従業員数】 900人
▼ソフトウェア業又は情報処理サービス業
【資本金】3億円
【従業員数】300人
▼旅館業
【資本金】5,000万円
【従業員数】200人
▼その他の業種(上記以外)
【資本金】3億円
【従業員数】300人
第6回公募における事業再構築補助金の類型と補助金額について
通常枠
【概要】
新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す中小企業等の新たな挑戦を支援
【補助金額】
補助金額は従業員数によって異なります。
▼ 20 人以下
100 万円 ~ 2,000 万円
▼21~50 人
100 万円 ~ 4,000 万円
▼51~100 人
100 万円 ~ 6,000 万円
▼101人以上
100 万円 ~ 8,000 万円
【補助率】
▼中小企業者等
2/3
※6,000 万円を超える場合、 1/2に
▼中堅企業等
1/2
※4,000 万円を超える場合、1/3に
【どんな経費が対象になる?】
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門 家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費
大規模賃金引き上げ枠
【概要】
多くの従業員を雇用しながら継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させるための事業再構築を支援する類型です。
もし、「大規模賃金引き上げ枠」で申請して不採択になった場合は通常枠で再審査されます。再審査にかかる手続きは不要なので、該当する場合はチャレンジしてみるといいでしょう。
【補助金額】
8,000 万円~1億円
※多くの従業員を雇用することが条件のため、従業員数が101人以上である必要があります
【補助率】
▼中小企業者等
2/3
※6,000 万円を超える場合、 1/2に
▼中堅企業等
1/2
※4,000 万円を超える場合、1/3に
【どんな経費が対象になる?】
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門 家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費
【新設】回復・再生応援枠
【概要】
新型コロナウイルスの影響を受け、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等の事業再構築を支援する類型です。
もし、「回復・再生応援枠」で申請して不採択になった場合は通常枠で再審査されます。再審査にかかる手続きは不要なので、該当する場合はチャレンジしてみるといいでしょう。
【補助金額】
補助金額は従業員数によって異なります。
▼ 5人以下
100 万円 ~ 500 万円
▼6〜20 人
100 万円 ~ 1,000 万円
▼21人以上
100 万円 ~ 1,500 万円
【補助率】
▼中小企業者等
3/4
▼中堅企業等
2/3
【追加要件】
「回復・再生応援枠」の申請にあたって、追加で以下の要件を満たす必要があります。
①2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年又は2019年同月比で30%以上減少していること
②再生支援協議会スキーム等に則り再生計画を策定していること
【どんな経費が対象になる?】
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門 家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費
最低賃金枠
【概要】
最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難であり特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援する類型です。
もし、「最低賃金枠」で申請して不採択になった場合は通常枠で再審査されます。再審査にかかる手続きは不要なので、該当する場合はチャレンジしてみるといいでしょう。
【補助金額】
補助金額は従業員数によって異なります。
▼ 5人以下
100 万円 ~ 500 万円
▼6〜20 人
100 万円 ~ 1,000 万円
▼21人以上
100 万円 ~ 1,500 万円
【補助率】
▼中小企業者等
3/4
▼中堅企業等
2/3
【どんな経費が対象になる?】
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門 家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費
【新設】グリーン成長枠
【概要】
研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援する類型です。
こちらの「グリーン成長枠」は他の類型とは違って、不採択を理由に通常枠で再審査を受けたい場合、追加書類(売上高等減少要件を満たすこと を示す書類)の提出が必要です。
【補助金額】
▼中小企業等
100 万円 ~ 1 億円
▼中堅企業等
100 万円 ~ 1.5 億円
【補助率】
▼中小企業者等
1/2
▼中堅企業等
1/3
【グリーン成長枠の対象要件】
「グリーン成長枠」は、売上高10%減少要件を課さないとされています。代わりとして、以下の3つの要件を満たすことが必要です。
①事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること
※補助額3,000万円超は金融機関との策定も必須
②補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加
または「従業員一人あたりの付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定する」こと
※通常はそれぞれ年率平均3.0%以上増加
③グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと
【どんな経費が対象になる?】
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門 家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費
「事業再構築補助金」第6回公募から大きく変わる点は?
①売上高10%減少要件の緩和
今回の公募から、売上高10%減少の定義として含まれていた「2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前と比較して5%以上減少していること」が撤廃されました。
これによって、「2020年4月までの売り上げとそのあと3か月間の売り上げを比較して10%以上減少していれば」申請できるようになりました。要件がシンプルになった分、緩和されたといえるでしょう。
②回復・再生応援枠の新設
「緊急事態宣言特別枠」に代わって新設された、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業者を手厚く支援する類型です。
補助金額は最大1,500万円まで、補助率を3/4に引き上げる(通常枠は2/3)といった手厚い支援が受けられるようになりました。さらに事業再構築指針の要件について、主要な設備の変更を求めないこととするといった緩和も行われています。
なお、回復・再生応援枠の申請にあたって、追加で以下の要件を満たす必要がありますのでご注意ください。
(1)2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年又は2019年同月比で30%以上減少していること
(2)再生支援協議会スキーム等に則り再生計画を策定していること
③グリーン成長枠の新設
「卒業枠・グローバルV字回復枠」に代わって新設された、グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者が対象となる類型です。これによって補助上限額が最大1.5億円まで引き上げられるとともに、売上高10%減少要件を課さないとされています。
代わりとして、以下の3つの要件を満たすことが必要です。
(1)事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること
※補助額3,000万円超は金融機関との策定も必須
(2)補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加
または「従業員一人あたりの付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定する」こと
※通常はそれぞれ年率平均3.0%以上増加
(3)グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと
④通常枠の補助上限額の見直し
一部の従業員数に対し、補助上限額が見直されました。従業員数が100人以下の場合、それぞれの規模に対して上限が2,000万円減少しているため申請する際には十分注意しましょう。
▼20人以下
【第5回公募まで】100~4,000万円
【今回の公募から】100~2,000万円
▼21人~50人
【第5回公募まで】100~6,000万円
【今回の公募から】100~4,000万円
▼51人~100人
【第5回公募まで】100~8,000万円
【今回の公募から】100~6,000万円
⑤その他運用改善等
以下3つの項目に対して、第6回公募から変更されています。
(1)補助対象経費の見直し(建物費・研修費)
▼「建物費」について
原則、改修の場合に限ることとし、新築の場合には、一定の制限を設ける。
▼「研修費」について
補助対象経費総額の1/3を上限とする。
(2)複数企業等連携型の新設
1者あたり各申請類型の上限額を上限として、最大20社まで連携して申請することを認めることとし、一体的な審査を行う。この場合、売上高10%減少要件は、①各者で要件を満たすこと、②連携体合算で要件を満たすこと(ただし同月を用いる)のいずれかを満たすことで要件を満たすこととする。
(3)事前着手の対象期間の見直し
事前着手とは、補助金の交付決定前であっても事務局から事前着手の承認を受けた場合に、令和3年12月20日以降に購入契約 (発注)等を行った事業に要する経費も補助対象経費とすることができる制度です。
事前着手の対象期間が第5回公募までは2021年2月15日からでしたが、今回から2021年12月20日以降となりました。
※既に事前着手を開始している場合、第6回公募以降は対象経費として認められなくなる場合がありますのでご注意ください。
審査スケジュールと準備しておくべき3つのこと
事業再構築補助金の公募・審査に関わるスケジュールは以下の通りです。
・公募開始:令和4年3月28日(月)
・申請受付:令和4年5月下旬~6月上旬予定
・応募締切:令和4年6月30日(木)18:00
また、申請の形式は電子申請のみとなります。スムーズに手続きを進めるために、以下3点の準備をしておきましょう。
GビズIDプライムアカウントの取得
電子申請のためには、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。「GビズIDプライムアカウント」の取得には1週間程度の期間を要しますので、未取得の方は今のうちに取得することをおすすめします。
添付書類の準備
申請には書類の提出も必要です。これらの書類は必ず事前に準備しておきましょう。必要書類は申請する類型や事業者の形態によって異なりますが、下記の7点はほとんどのケースにおいて提出が求められます。
(1)事業計画書
(2)認定経営革新等支援機関による確認書
(3)金融機関による確認書(補助金額3000万円を超える事業の場合)
(4)コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類
又はコロナ以前に比べて付加価値額が減少したことを示す書類
(5)決算書等・決算書
(貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表)
(6)経済産業省ミラサポplus「電子申請サポート」により作成した事業財務情報・事業財務情報
(7)労働者名簿
資料の詳細は公式サイトから公募要領をチェックしてください。
事業再構築補助金 電子申請用資料
入力内容の事前確認・準備
電子申請の際に必要な項目をあらかじめ把握し、入力情報を準備しておくと円滑に手続きを進めることができます。必要な項目に関しては、事務局より公表される「電子申請入力項目」をよく読んで把握しておきましょう。
※「電子申請入力項目」は現在準備中です。
最新情報は公式サイトをチェック
今回から大きな変更点が加えられ、申請しやすくなった事業再構築補助金。ですが、採択されるためには入念な準備とスケジュール管理が不可欠です。
5月下旬の申請受付スタートに向けて、できることから準備を始めることをおすすめします。
最新情報はcanaeru(カナエル)でもご紹介していきますが、公式サイトもチェックするよう心がけましょう。
事業再構築補助金公式サイトこの記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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