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原価率とは?計算方法や目安、高くなる原因別の対処法などを徹底解説![人気記事]

原価率とは?計算方法や目安、高くなる原因別の対処法などを徹底解説!

原価率の高低に応じて、飲食店の利益は大きく左右されます。適正な原価率を維持することは、健全な経営を行ううえで極めて重要です。

今回の記事では、原価率の考え方や適正水準、さらに原価率が高くなる原因と対処法についてわかりやすく解説します。利益を確保しながら品質も維持できる飲食店経営のために参考にしてください。

原価率とは?

原価率は、売上高に対する原価の割合を示す指標です。具体的には、提供する商品やサービスの原材料費や製造コストが売上の何%を占めるかを表します。

飲食店の適正な原価率は25〜30%が上限といわれていますが、業種やビジネスモデルによりさまざまです。原価率が高いと売上に対する材料費の割合が多くなり、結果として利益が少なくなります。逆に原価率が低ければ、同じ売上でも利益が増えます。つまり、利益を増やしたければ原価率を低く抑えればいいわけです。

しかし、利益を増やすために無理に原価率を下げると、商品やサービスの品質が低下する恐れもあるためやりすぎは禁物です。いかに適正な原価率を設定、維持するのかが飲食店経営を継続するポイントになってきます。

また、季節による食材の高騰や予期せぬロスを考慮し、原価率には一定のバッファーを持たせることが大切です。健全な飲食店経営を行うためには、原価率を適切にコントロールし、品質を維持しつつ利益を確保することが重要です。

原価率の計算方法とは?

原価率は売上に対する原価の割合で求められます。計算式は次のようになります。

原価÷売値×100(%)=原価率(%)

たとえば、800円で仕入れたものを1000円で販売したとします。上記の計算式に当てはめると、原価800円÷売値1000円×100%=80%となります。つまり、この場合の原価率は80%だということがわかります。

《応用編》原価率から売値を決める計算式

原価率の計算式は、応用として売値を決める際に使うこともできます。その際の計算式は次のようになります。

原価÷原価率(%)=売価

たとえば、500円で仕入れ、原価率を40%に設定したいと考えたとします。上記の計算式に当てはめると、原価500円÷原価率40%=1250円となります。つまり、1250円で売れば、500円の仕入れで原価率を40%に抑えることができるとわかるわけです。

原価率の目安は企業規模・業界で異なる

原価率は業種や企業規模によって大きく異なります。一般的な目安として、飲食店では25〜30%程度が適正とされていますが、具体的な適正原価率は各ビジネスの特性や経営方針によって変動します。例えば、製造業は原材料費が高く原価率も高めで、サービス業は人件費が高く原価率はやや低めです。

また、同じ飲食業界内であっても、企業の規模や経営方針によって原価率の設定は異なります。小規模な飲食店では、コスト削減を重視して原価率を低く抑える戦略がよく見られます。逆に、大規模なチェーン店では、スケールメリットを活かし、原材料を大量購入することで低い原価率を実現しています。

原価率が高くなる原因と高い場合の対処法

原価率が高くなる原因は多岐にわたりますが、適切に管理することで、健全な経営の維持が可能になります。以下に、原価率が高くなる代表的な原因とその対処法を説明します。

不良在庫|在庫管理の方法を変更する

不良在庫が発生すると、その原価分が売上に反映されないため、原価率が上がってしまいます。不良在庫を減らすには、定期的な棚卸しや在庫管理システムの導入が効果的です。また、売上データを分析して需要予測を行い、必要最低限の在庫を保つことが継続的な不良在庫問題の解決に繋がります。

さらに、季節やトレンドを考慮した上での在庫の回転促進や、不良在庫の発生を防ぐためのプロモーション活動を行うことも効果的です。これにより、在庫の適正化が進み、原価率を抑えられるようになります。

食品ロス|賞味期限の管理を徹底する

食品ロスは直接的に原価率を上昇させるため、賞味期限の管理を徹底することはコスト削減に直結します。入荷した食材は必ず鮮度や製造日、賞味期限を確認し、古いものから順に使う「先入れ先出し」の原則を徹底しましょう。また、定期的に在庫をチェックし、賞味期限が近い食材を優先的に使うようにします。

さらに、調理プロセスの効率化や、ロスを減らすための創意工夫をスタッフと共有することも重要です。料理の提供量や調理方法を見直し、余剰食材の活用法を考えることで、食品ロスを最小限に抑え、原価率の適正化が図れます。

保存環境が悪い|設備の導入や保存方法を見直す

保存環境が悪いと、食材の劣化が早まり、廃棄が増えて原価率が高くなります。対策として、冷蔵庫・冷凍庫の性能を見直し、必要な設備を導入することが効果的です。設備の導入にはまとまった費用が必要になりますが、長期的な視点で捉えると安くつくケースもあります。購入が厳しい場合は月払いのリースを活用するとよいでしょう。

また、保存方法も適切に見直すと食材が長持ちする可能性があります。食材ごとに最適な保存温度や湿度を確認し、適切に管理する方法が理想ではありますが、温度や湿度の調整ができない場合は保存容器の見直しや、冷蔵庫内の配置変えが有効です。こうした対策を通じて保存環境の改善を図り、食材の廃棄を減らすと原価率が抑えられます。

オーバーポーション|適切なポーションに抑える

オーバーポーションとは、料理に規定以上の量を使用することです。これが頻発すると、想定よりも多くの食材を消費し、結果として原価率が上昇します。

対策としては、調理スタッフに対してポーション管理のトレーニングを実施し、クッキングスケールなどを用いて正確な量を測るようにすれば問題ありません。また、レシピを明確にし、標準化することでオーバーポーションは防げます。さらに、定期的なキッチン監査を行い、ポーションが最適かどうか確認することも重要です。こうした取り組みによって、材料の無駄を減らし、原価率の適正化が図れるでしょう。

原価率が高い料理の注文率が高い|全体の原価率を調整する

一部の高原価率メニューの注文が多いと、全体の原価率が上がります。対策としては、集客力のある高原価率商品については適正価格を設定する一方、低原価率商品の販売を促進し、バランスの取れたメニュー構成を組むことが重要です。

加えて、原価率を抑えたセットメニューやコース料理を設定して、積極的にプロモーションを打ち出すことも効果的です。具体的には、季節限定や数量限定といった特別感を打ち出すことで目当てのメニューに顧客の関心を引きつけ、注文を促します。

そのほか、定期的にメニューの分析と見直しを行い、売れ筋商品と利益率のバランスが崩れていないか確認することも大切です。

仕入れ額が高額|仕入れ先を再考する

仕入れ原価が高いと、その分を商品の売価に転嫁しきれず、原価率が高くなります。これを防ぐには、複数の業者と交渉し、価格比較を行い、より安価で高品質な材料を提供してくれる仕入れ先を見つける必要があります。

また、業者によっては一度に大量に仕入れることで価格交渉を有利に進めることが可能です。地元の生産者や農園などと直接取引を行うことで、中間マージンを削減し、コストを抑えることを検討してみても良いでしょう。価格が安定している冷凍食材を活用するのも一案です。

ただし、仕入れは信頼のおける業者と継続的な関係を築くことも重要です。新規取引のタイミングだけ安く見積もる業者もいるため、既存の業者への交渉を優先しましょう。

原価に対して売値が安すぎる|販売価格を適正にする

販売価格が原価に対して低すぎると、いくら売上が向上しても利益が出にくくなってしまいます。十分な利益を出すためには販売価格を適正に設定し、原価率と利益率のバランスを取ることが重要です。市場調査を行い、競合他社の価格帯を参考にしながら適切価格を設定します。

また、価格に見合った価値を提供するために、サービスの質を向上させることも大切です。顧客に対して、商品の価値をしっかりと伝え、納得してもらえる価格設定を行うことで、長期的な信頼関係が築けます。これらの取り組みにより、健全な利益を確保し、持続可能な経営が実現できるでしょう。

突発的な原価の高騰|適宜、販売価格を変更する

市場の変動により、突発的に原価が高騰することは多々あります。この場合、原価率を維持するためには、販売価格を一時的に調整することも検討しましょう。ただし、コスト増加による価格変更であることを顧客に納得してもらわなければなりません。

また、可能であれば高騰する前に大量購入や長期契約を行い、価格の安定化を図ることも一つの手段です。価格変更に際しては、顧客への告知を迅速かつ丁寧に行い、理解を得るようにしましょう。こうした柔軟な価格設定と事前対策によって、一時的なコスト増加に対応できるようになります。

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まとめ

原価率を適切に管理することは、飲食店経営において極めて重要です。原価率が高すぎると利益が出にくくなり、低すぎると品質の低下を招く恐れがあります。

飲食店が健全な経営を実現するためには、原価率の目標値を設定し、それに見合った価格設定と品質維持を行いながら、利益確保に努める必要があります。原価率は業種や規模で異なりますが、バランスの取れた原価率の管理こそが飲食店を長く続ける秘訣といえるでしょう。

この記事の執筆

ライター・飲食店経営_大杉 元則

ライター・飲食店経営

大杉 元則

調理師学校卒業後、大手老舗ホテルの西洋料理部門に勤務。フレンチレストランやベーカリー、給食会社を経て2010年、無農薬野菜にこだわったイタリアンを開業。現在は店舗のオーナーシェフを務めながら飲食関連を中心としたライターとして活動中。

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