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キッチンカーや屋台などをはじめたとした飲食の「移動販売」。
移動販売飲食店の開業ニーズが急激に高まってきています。
2019年は、タピオカーティーブームによって、移動販売形態での開業希望者が前年以前よりも大幅に増加。
そして、2020年、新型コロナウイルスによる自粛の影響でテイクアウトやデリバリーでの販売が定着、これから飲食店を開業しようとしていた人たちも、オープン時からテイクアウトやデリバリーを導入を検討したり、移動販売型で開業しようという人達が増加しています(すべてcanaeru開業サポート調べ)。
移動販売の飲食店は食品の販売形態別に必要な営業許可が異なるため、開業する際はビジネスモデルとの兼ね合いに注意する必要があります。
昨今では、飲食物の提供に必要な各施設・設備が一式備えられたバンやトラックのリース・レンタルを利用などもあります。
どのような手順で開業していくのかまとめてみまました。
移動販売型での飲食店開業の最大のメリットは、オープンまでの時間が圧倒的に短いことと、開業時の費用が安いこと。
移動販売型からはじめて固定の店舗を構える…という開業方法は珍しくなく、開業の選択肢として検討の余地があります。1. 移動販売のための手続き
二輪車を除き、自動車を利用した移動販売の飲食店は、取り扱う飲食物と販売形態によって2種に大別されます。また、それぞれ開業するにあたって必要な手続きを履行しなくてはいけません。
バンやトラックといった営業車両の内部に設けられた施設で飲食物を調理して販売する形態は「調理営業」に該当し、一方で調理を行わず梱包された既成品のみを販売する場合は「販売業」として扱われます。
移動販売の飲食店を開業する際のベーシックな流れは以下のとおりですが、定められている細目は地域の保健所によって異なる場合があります。管轄区域の保健所にて確認しましょう。
1.施設(車内で飲食物を取り扱うスペース)の構造が判断できる図面などを持参し、管轄区域の保健所にて事前相談を行う。
2.保健所に必要書類を提出した上で調理営業あるいは販売業の営業許可を申請する。
3.保健所の担当者とスケジュールをすり合わせて施設検査を行ってもらう。
4.検査で施設に不備がないことが確認できたら営業許可書が交付される。
5.移動販売を行う飲食店の開業をする。調理営業と販売業どちらも食品衛生責任者の資格が必要
調理営業と販売業の共通事項として、飲食物を取り扱う車両内の施設(キッチンスペース)に食品衛生責任者を配置しなくてはいけません。
食品衛生責任者は飲食物の取り扱いを行う施設ごとに最低1名の配置が義務付けられているため、移動販売の飲食店を開業する際は同資格の習得を忘れないようにしましょう。
食品衛生責任者は食中毒などを防ぐために施設内における各設備の衛生的な保守と運用、飲食物の管理・調理および販売を行うために選任される責任者です。食品衛生責任者の資格は各地域の社団法人によって開催される食品衛生責任者講習会を受講して修了すれば取得できます。
食品衛生責任者講習会は栄養士や調理師といった特定の資格保有者、大学課程において医学や薬学の学問を修めた人などは受講が免除されます。
同講習会の修了証は調理営業および販売業を開業する際に保健所へ提出する書類であり、食品衛生責任者を変更するときに必要なので大切に保管しましょう。2. 移動販売に必要な設備
移動販売の飲食店を開業する際は保健所から営業許可を得る必要があり、車両の調理スペースが一定の施設基準を満たしていなくてはいけません。
保健所が定める施設基準は調理営業と販売業で内容が異なり、業種によって取り扱える飲食物の制限があるのでビジネスモデルとの兼ね合いに注意しましょう。調理営業(移動販売)の営業許可を得るために満たすべき施設基準
焼きそばやクレープといった飲食物を車内で調理・加工して販売する形態は調理営業であり、満たすべき主な施設基準は以下のとおりです。
また調理営業において生肉や生魚の取り扱いは禁止されており、食品の調理・加工は盛り付けや加熱といった簡易なものに限られています。
1.移動販売を営むうえで十分な耐水性と耐久性があり、外部からホコリや虫が侵入しない構造で清掃しやすい固定された屋根・壁がある車両を使う。
2.車両の施設内は調理・加工するエリア、金銭の受け渡しを行うエリアなど用途ごとに区画整備し、十分な明るさと必要に応じて消毒器具を設置する。
3.施設内に換気設備・構造、スタッフ用の手洗い設備、適切な容量の給水タンク・排水タンク、掃除が簡易な耐水構造の蓋がある廃棄物容器を設置する。
4.電源装置は食品衛生に支障をきたさない箇所に配置し、要冷蔵品を扱う場合は冷却保存できる冷蔵設備を設け、また流水式洗浄設備を設置する。販売業(移動販売)の営業許可を得るために満たすべき施設基準
車内で食品の調理・加工を行わず、既成品のみを販売する形態は販売業であり、満たすべき主な施設基準は以下のとおりです。
また取り扱う飲食物はあらかじめ個別に梱包されている必要があり、共通事項とは別途で「乳類」・「食肉」・「魚介」・「食料品」ごとの特定事項が設けられています。【共通事項】
1.移動販売を営むうえで十分な耐水性と耐久性があり、外部からホコリや虫が侵入しない構造で清掃しやすい固定された屋根・壁がある車両を使う。
2.車両の施設内は調理・加工するエリア、金銭の受け渡しを行うエリアなど用途ごとに区画整備し、十分な明るさを確保する。
3.施設内に換気設備・構造、スタッフ用の手洗い設備、容量18L以上の給水タンク・排水タンク、掃除が簡易な耐水構造の蓋がある廃棄物容器を設置する。
4.電源装置は食品衛生に支障をきたさない箇所に配置する。【乳類販売業】
1.営業するうえで十分な電力を供給できる発電装置を有し、要冷蔵品を扱う場合は10℃以下で管理できる冷蔵設備や装置を設ける。
2.要冷蔵品・常温保存できる食品どちらを扱う場合も温度計を設置する。
3.瓶類を扱う場合は空き瓶を回収する用途のボックスといった収納容器を営業に支障をきたさない箇所に設置する。【食肉販売業】
1.営業するうえで十分な電力を供給できる発電装置を有し、温度計を設置する。
2.冷凍食肉を扱う場合は−15℃以下、冷凍以外の食肉を扱う場合は10℃以下で管理できる冷蔵設備や装置を設ける。【魚介類販売業】
1.営業するうえで十分な電力を供給できる発電装置を有し、温度計を設置する。
2.冷凍魚介類は−15℃以下、生鮮魚介類は5℃以下、それら以外の食品を扱う場合は10℃以下で管理できる冷蔵設備や装置を設ける。【食料品等販売業】
1.食中毒などを予防するために食料品を保管するショーケースを備える。
2.要冷蔵品を扱う場合は適宜な冷蔵設備や装置と電力を供給できる発電装置を設ける。3. 移動販売のためのマーケティングのポイント
移動販売のビジネスを軌道にのせるためには柔軟な対応力および発想力が必要であり、また商圏の情報収集も重要なマーケティングの一環です。
移動販売におけるマーケティングのポイントを解説します。販売地域における競合調査を欠かさない
移動販売は商圏を適宜変更できますが、販売地域における競合調査は店舗型と同様に欠かせません。イベントに出店しないときはスーパーや薬局といった商業施設あるいは駐車場などで出店しますが、該当地域でほぼ毎日出店しているなど手強い競合が存在するケースもあります。
実地調査やネットを活用した情報収集を行い、出店する地域の競合を調査しましょう。平日はオフィス街、土日は商業施設付近など曜日に応じて集客が見込めるエリアに商圏を移すといったアプローチも効果的です。季節や天候に応じた柔軟なメニューとサービスを提供する
移動販売は屋外での販売活動が主であるため、広義では季節ごとに狭義では1日単位で売上が変動するビジネスです。例えば「かき氷」の移動販売を行う場合、夏場は清涼を求めるお客さんの需要から一定の売上が見込める一方で冬場は売上が落ち込むと予想できます。
安定的な売上を確保するためには、季節ごとに提供するメニューを変化させてお客さんのニーズに応えなくてはなりません。
また客足は天候によっても左右されるため、降雨など悪天候時は次回使える割引券を配布するなど、お客さんが訪れたいと思えるように臨機応変で対応しましょう。関連記事 キッチンカー(移動販売)で開業する方法がまるわかり!資格や許可・費用などを解説!
この記事の監修
株式会社USEN/canaeru 開業コンサルタント
○会社事業内容
IoTプラットフォーム事業・音楽配信事業・エネルギー事業・保険事業・店舗開業支援事業・店舗運用支援事業・店舗通販事業。
○canaeru 開業コンサルタント
銀行出身者、日本政策金融公庫出身者、不動産業界出身者、元飲食店オーナーを中心に構成された店舗開業のプロフェッショナル集団。
開業資金に関する相談、物件探し、事業計画書の作成やその他の店舗開業における課題の解決に取り組む。- NEW最新記事
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